ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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西の都、日本遺産降格……

2025-02-13 22:38:58 | 日記


今日2月13日は、「日本遺産の日」です。

この日本遺産というものに、福岡、佐賀の史跡が認定されているという記事を
3年前に書いたんですが……



日本遺産「西の都」

2月13日は、「日本遺産の日」だそうです。日本遺産……これは、世界遺産の国内版といったところでしょうか。日本各地の有形・無形の文化財を「日本遺産」と認定し、その魅力を発信して......

最近、それが取り消しになったというニュースがありました。

複数の構成資産の間で連携がとれておらず、誘導ができていないといったことが理由として挙げられているそうです。
結果、候補地域に格下げに。これは、日本遺産認定制度が始まって以来初の降格だとか。
まあたしかに、大宰府天満宮は突出して有名ですが、その周辺にある施設はともかく、そこからちょっと離れたところに足をのばすかといえば……なかなかそうはならないのかな、という気もします。福岡、佐賀の二県にまたがっているのも、連携を難しくしているところでしょう。実際私も、3年前に当該記事を書いた際に、佐賀のほうへは行きませんでした。ここからこんなふうにすれば行けるというような案内がわかりやすくなされていなかったというのは確かにあると思います。
2026年度になればまた再申請できるということなので、そのあたりを見直して、また挑戦するのもいいんじゃないでしょうか。
まあ、認定されることにどういうメリットがあるのかというも正直よくわからないんですが……




ビートルズの日2025 Help!

2025-02-04 22:08:38 | 日記
 
今日は2月4日。

ビートルズの日……ということで、今年もビートルズ記事です。

このシリーズでは、60周年を迎えるアルバムを紹介するというようなかたちが続いていますが、その流れでいくと、今回は65年発表のHelp!ということになります。

 

以前のビートルズ記事でもちょっと言及しましたが、この頃のビートルズは、渡米してボブ・ディランの影響を受け、そこから内省的な方向を出すようになったといわれます。
ビートルズが本格的な変化を見せ始めるのは次作Rubber Soul からだと私は認識していますが、たしかにこのHelp!でも、それまでになかった側面を見せ始めてはいるでしょう。それは、収録曲のカバーなどを見ていても感じられます。ということで、それらのカバーをいくつか見てみましょう。



まず、タイトル曲を、ディープ・パープルがカバーしています。
以前このブログでそのMVを紹介しましたが、今回はアルバム音源のバージョンで。

Help

ディープ・パープルが当初サイケデリック系のバンドだったというのは、何度か書いてきました。その時期の彼らがHelp!を取り上げたのは、そこにサイケデリックに通じるものを感じていたからでもあるでしょう。


ディランの影響ということでよく言及される「悲しみはぶっとばせ」。
私の敬愛するジャクソン・ブラウンがカバーするバージョンがあります。

You've Got To Hide Your Love Away

2011年に行われたジョン・レノントリビュートイベントでのパフォーマンス。
2011年というのはつまり、東日本大震災の年ということで、そのチャリティ的な意味合いで、イベントの収益から日本赤十字に寄付されているということのようです。
「悲しみはぶっとばせ」というタイトルはその趣旨にふさわしいように思えますが、実は歌の内容はそういう感じでもなく……日本語ではそんなタイトルになっているということで選曲したんでしょうか。そのあたりの事情はわかりませんが、ボブ・ディラン、ビートルズ、ジャクソン・ブラウンとつながってくるのは、たしかにフォークロックの魂を感じさせます。


ディランに勝るとも劣らぬロックンロールのレジェンド、エルヴィス・プレスリー。「イエスタデイ」をカバーしています。

Yesterday (Live)


「涙の乗車券」。
ヴァニラ・ファッジのカバーするバージョンで。
この曲は、カーペンターズのカバーも有名だと思いますが、ヴァニラ・ファッジなんかもやっていたわけです。

Ticket to Ride

余談ながら、ここでドラムを叩いているカーマイン・アピスは、後年はHR/HM方面でも活躍していて、先日死去したジョン・サイクスとも一緒に活動したことがありました。


アルバム中唯一の非オリジナル曲Dizzy Miss Lizzy。
ここはカバーではなく、オリジネイターであるラリー・ウィリアムズのバージョンを。

Dizzy Miss Lizzy

ラリー・ウィリアムズといえば、ビートルズのSlow Downという曲も、オリジナルはこの人です。Slow Downは、ジャムがカバーしたりもしていました。

……といふうにこの記事で出てきたアーティストの名前を見て来ると、ジャンルがじつに多彩です。
オールディーズ系から、フォーク、ハードロック、ヘヴィメタル、パンク……それらがまだ混然一体だった時期から、次第に細分化し始めるのが60年代の終わりごろ。Help!は、それを先取りするような作品ともいえるのではないでしょうか。




ピロウズ解散

2025-02-02 21:50:28 | 日記

昨日のことになりますが、ピロウズが、突然解散を発表しました。

なんの前触れもなく……

解散の原因などもよくわからない状態で、ファンの間では衝撃が広がっています。

ピロウズは、35年という長きにわたって活動してきたバンドではありますが、その間決して安定した状態だったわけではありません。オリジナルベーシストの脱退や、活動休止、サポートベーシストの解雇といったことがありました。

このうち、サポートベーシストの解雇については、“卒業”といったような言い方もできたでしょうが、あえて「素行不良による解雇」とはっきりアナウンスしたところに、彼らの誠実さが表れていたと思います。

今回の解散発表も、そういうことでしょう。
公式声明では、「解散という強い言葉を使う事は非常に迷いましたが、いつか再始動があるか期待させるような言葉を使うのはためらわれ、このような表現とさせて頂きました」としています。

それだけ強い意思での決定ということなので、ファンとしてはとにかくその決断を尊重するしかないでしょう。
今はとりあえず、長い間お疲れさまでした、といいたいと思います。

ハイブリッドレインボウ/the pillows



西山女流三冠、棋士編入試験突破ならず

2025-01-22 22:32:40 | 日記


本日、西山朋佳女流三冠の棋士編入試験第五局が行われました。

今まで将棋の記事というのは書いてませんでしたが……実は私、ちょっと将棋をかじっていて、今回の編入試験も注目してました。


一応簡単に説明しておくと、これまでおよそ100年のプロ将棋史において女性のプロ棋士は一人もいませんでした。
「女流棋士」というのは存在しているわけですが、これは一般のプロ棋士とは別の枠組み。プロ棋士になるためには、奨励会という組織に所属して、昇段を重ね、最後の三段リーグというものを勝ち抜く必要があるわけですが、このルートを通過してプロになった女性はこれまで一人もいないということなのです。
西山さんは、かつて奨励会三段リーグまでいき、あと一歩というところの紙一重で四段昇段(プロ入り)を逃した方。そこから女流棋士に転向し、同じような経歴をもつ福間(旧姓:里美)香奈女流五冠とともに女流棋界の二強と目される存在になっていました。

で、今回の編入試験ですが……これは、前述した正規ルートでのプロ入りを逃した猛者がプロになるための別ルートです。
一定の条件を満たすと受験資格が与えられ、受験を希望すると、プロ棋士のなかから若手の棋士五人と対局。3勝すればプロとなることができます。
たいていは、奨励会を一度退会した人があらためて挑戦するという感じで、福間さんもかつて受験しました。女性としては今回の西山さんがそれに続く2例目。ここで、いよいよ史上初の女性棋士が誕生するかもしれないということで注目を集めていたわけです。

その結果は、残念ながら不合格だったわけなんですが……しかし、あと一勝というところにまでいたり、得意の三間飛車でのぞんだ最終局。西山さんも、持てる力を出し切った戦いだったんじゃないでしょうか。
また、試験官である柵木幹太四段も、どんな状況であろうと全力で勝ちに行くという勝負師の哲学をきっちり実践したのだと思います。


女性のプロ棋士がこれまで誕生しなかった理由はいろいろ論じられていますが、まず、女性の棋士人口が少ないということが大きな理由であることは疑いないところです。女流棋士界の存在によって、そのあたりはだんだん改善されてきていて、あと一歩というところに手が届く段階まではきているというのが現状でしょう。今回、西山さんの編入試験突破はかないませんでしたが、女性棋士の誕生もそう遠いことではないんじゃないでしょうか。



もう一つのロックの日 ~グラムについて考える~

2025-01-08 22:46:16 | 日記

今日1月8日は「ロックの日」。

6月9日と並ぶ、もう一つのロックの日となっています。

というわけで、ここ数年は、この日付にロック関連の記事を書いてきました。

この日がロックの日とされているのは、エルヴィス・プレスリーとデヴィッド・ボウイという二人のロックスターの誕生日であることから、ということなんですが……
そのうちの一人デヴィッド・ボウイは、70年代初頭頃には、グラムロックのミュージシャンとみなされていました。今回は、そのグラムという要素をちょっと掘り下げ、グラムメタルというものについて考えてみようと思います。


ヘヴィメタルのはじまりがどこかというのは意見が分かれるところでしょうが、まあ、だいたい1970年ぐらいと考えていいでしょう。
そこから少しずつポピュラリティを獲得していき、80年代ごろにヘヴィメタルというは一つのブームを迎えます。
そこで活躍したいくらかポップ寄りなメタルを総称して、グラムメタルと呼ぶことがあります。
この言い方は、もちろんグラムロックを意識したもの。
ロックンロールの初期衝動回復運動……それが、ヘヴィメタルと結びついたものが、グラムメタルとひとまずいえるでしょう。

代表的なバンドの一つに、W.A.S.P.がいます。

W.A.S.P. I Don´t Need No Doctor Official Music Video

よくも悪くも、アリス・クーパー的な感じが濃厚に出ています。

アリス・クーパーといえばアメリカのグラムロックを代表するアーティストで、グラムメタル系バンドの活動を追っていると、アリス・クーパーの影がちらほら見え隠れします。
たとえば、Hurricane というバンド。
デビュー・アルバムで、アリス・クーパーのI'm Eighteen をカバーしていました。

I'm Eighteen

このハリケーン、デビュー時には期待の新人として注目されていたようですが、彼らがデビューした時にはもうグラムメタルは退潮の兆しを見せ始めていました。グランジ/オルタナが隆盛をきわめる90年代がやってきて、91年にハリケーンは活動を終了してしまいます。その後2000年代に入って再結成してるんですが……これは、グラムメタル系バンドに非常に多くみられるパターン。90年代に入ったところで解散、もしくは活動終了し、2000年代に入るぐらいに再始動という……これは、グラムメタルを追いやったグランジ系が退潮しはじめたために、息を吹き返したということでしょう。こういう栄枯盛衰をみていると、時代性をあれこれいうことの不毛さを感じるようにもなります。

ちなみに、ハリケーンでドラムを叩いていたのは、ジェイ・シェレン。現在イエスでドラムを叩いているあの人です。ボーカルのケリー・ハンセンはフォリナーに参加したりしていて、このハリケーンというバンドは、ジャンル分けのあいまいさも感じさせてくれます。

実際、ジャンル分けというのは相当部分が虚構というか、外野の人間が勝手にいってるだけで、当人たちがなんとなくそれに合わせてるというような部分があると私は思ってます。

80年代ごろのメタルシーンにおいて、グラムメタルと対立関係にあったとみられているスラッシュメタルというジャンルがありますが……そのスラッシュメタルを代表するバンドの一つ、Anthraxが、先ほどの I'm Eighteen をカバーしています。

I'm Eighteen

それだけアリス・クーパーという人が広くリスペクトされていて、アンスラックスがクロスオーバー的な試みをしているということでもあるわけですが……実際のところ、スラッシュメタルVSグラムメタルという図式は、時代の空気で演出されたものという側面を否定することができません。それは、70年代のパンクスたちが旧世代のロックンロールを否定していたのがある種の“演出”であったということと同じでしょう。
たとえば、エクソダス、スレイヤーというゴリゴリのスラッシュメタルバンドでギターを弾いてきたゲイリー・ホルトが、実はウォーレン・デ・マルティーニのギターを密かにリスペクトしていたというようなことを、最近になっていったりしているのです。


最後に、なぜかポイズン。

Poison - Talk Dirty To Me

メタルの退潮→グランジの台頭→グランジの退潮→メタルの復権という流れは、ロック史において幾度も繰り返されてきた振り子運動の一つでしょう。
しかし、そうして揺れ動きながらも、そこに貫かれている一つの軸はある。
個人的見解ではありますが、グラムメタルにおいてポイズンはそんなバンドの一つだったんじゃないかと思ってます。あの時代に山ほどいたグラムメタル系バンドの中でとびぬけて大ヒットしたわけでもないし、特に技術的に優れていると評されることもないバンドだとは思いますが……衝動というのは、そういう尺度では測れないものでしょう。