ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

西山女流三冠、棋士編入試験突破ならず

2025-01-22 22:32:40 | 日記


本日、西山朋佳女流三冠の棋士編入試験第五局が行われました。

今まで将棋の記事というのは書いてませんでしたが……実は私、ちょっと将棋をかじっていて、今回の編入試験も注目してました。


一応簡単に説明しておくと、これまでおよそ100年のプロ将棋史において女性のプロ棋士は一人もいませんでした。
「女流棋士」というのは存在しているわけですが、これは一般のプロ棋士とは別の枠組み。プロ棋士になるためには、奨励会という組織に所属して、昇段を重ね、最後の三段リーグというものを勝ち抜く必要があるわけですが、このルートを通過してプロになった女性はこれまで一人もいないということなのです。
西山さんは、かつて奨励会三段リーグまでいき、あと一歩というところの紙一重で四段昇段(プロ入り)を逃した方。そこから女流棋士に転向し、同じような経歴をもつ福間(旧姓:里美)香奈女流五冠とともに女流棋界の二強と目される存在になっていました。

で、今回の編入試験ですが……これは、前述した正規ルートでのプロ入りを逃した猛者がプロになるための別ルートです。
一定の条件を満たすと受験資格が与えられ、受験を希望すると、プロ棋士のなかから若手の棋士五人と対局。3勝すればプロとなることができます。
たいていは、奨励会を一度退会した人があらためて挑戦するという感じで、福間さんもかつて受験しました。女性としては今回の西山さんがそれに続く2例目。ここで、いよいよ史上初の女性棋士が誕生するかもしれないということで注目を集めていたわけです。

その結果は、残念ながら不合格だったわけなんですが……しかし、あと一勝というところにまでいたり、得意の三間飛車でのぞんだ最終局。西山さんも、持てる力を出し切った戦いだったんじゃないでしょうか。
また、試験官である柵木幹太四段も、どんな状況であろうと全力で勝ちに行くという勝負師の哲学をきっちり実践したのだと思います。


女性のプロ棋士がこれまで誕生しなかった理由はいろいろ論じられていますが、まず、女性の棋士人口が少ないということが大きな理由であることは疑いないところです。女流棋士界の存在によって、そのあたりはだんだん改善されてきていて、あと一歩というところに手が届く段階まではきているというのが現状でしょう。今回、西山さんの編入試験突破はかないませんでしたが、女性棋士の誕生もそう遠いことではないんじゃないでしょうか。



もう一つのロックの日 ~グラムについて考える~

2025-01-08 22:46:16 | 日記

今日1月8日は「ロックの日」。

6月9日と並ぶ、もう一つのロックの日となっています。

というわけで、ここ数年は、この日付にロック関連の記事を書いてきました。

この日がロックの日とされているのは、エルヴィス・プレスリーとデヴィッド・ボウイという二人のロックスターの誕生日であることから、ということなんですが……
そのうちの一人デヴィッド・ボウイは、70年代初頭頃には、グラムロックのミュージシャンとみなされていました。今回は、そのグラムという要素をちょっと掘り下げ、グラムメタルというものについて考えてみようと思います。


ヘヴィメタルのはじまりがどこかというのは意見が分かれるところでしょうが、まあ、だいたい1970年ぐらいと考えていいでしょう。
そこから少しずつポピュラリティを獲得していき、80年代ごろにヘヴィメタルというは一つのブームを迎えます。
そこで活躍したいくらかポップ寄りなメタルを総称して、グラムメタルと呼ぶことがあります。
この言い方は、もちろんグラムロックを意識したもの。
ロックンロールの初期衝動回復運動……それが、ヘヴィメタルと結びついたものが、グラムメタルとひとまずいえるでしょう。

代表的なバンドの一つに、W.A.S.P.がいます。

W.A.S.P. I Don´t Need No Doctor Official Music Video

よくも悪くも、アリス・クーパー的な感じが濃厚に出ています。

アリス・クーパーといえばアメリカのグラムロックを代表するアーティストで、グラムメタル系バンドの活動を追っていると、アリス・クーパーの影がちらほら見え隠れします。
たとえば、Hurricane というバンド。
デビュー・アルバムで、アリス・クーパーのI'm Eighteen をカバーしていました。

I'm Eighteen

このハリケーン、デビュー時には期待の新人として注目されていたようですが、彼らがデビューした時にはもうグラムメタルは退潮の兆しを見せ始めていました。グランジ/オルタナが隆盛をきわめる90年代がやってきて、91年にハリケーンは活動を終了してしまいます。その後2000年代に入って再結成してるんですが……これは、グラムメタル系バンドに非常に多くみられるパターン。90年代に入ったところで解散、もしくは活動終了し、2000年代に入るぐらいに再始動という……これは、グラムメタルを追いやったグランジ系が退潮しはじめたために、息を吹き返したということでしょう。こういう栄枯盛衰をみていると、時代性をあれこれいうことの不毛さを感じるようにもなります。

ちなみに、ハリケーンでドラムを叩いていたのは、ジェイ・シェレン。現在イエスでドラムを叩いているあの人です。ボーカルのケリー・ハンセンはフォリナーに参加したりしていて、このハリケーンというバンドは、ジャンル分けのあいまいさも感じさせてくれます。

実際、ジャンル分けというのは相当部分が虚構というか、外野の人間が勝手にいってるだけで、当人たちがなんとなくそれに合わせてるというような部分があると私は思ってます。

80年代ごろのメタルシーンにおいて、グラムメタルと対立関係にあったとみられているスラッシュメタルというジャンルがありますが……そのスラッシュメタルを代表するバンドの一つ、Anthraxが、先ほどの I'm Eighteen をカバーしています。

I'm Eighteen

それだけアリス・クーパーという人が広くリスペクトされていて、アンスラックスがクロスオーバー的な試みをしているということでもあるわけですが……実際のところ、スラッシュメタルVSグラムメタルという図式は、時代の空気で演出されたものという側面を否定することができません。それは、70年代のパンクスたちが旧世代のロックンロールを否定していたのがある種の“演出”であったということと同じでしょう。
たとえば、エクソダス、スレイヤーというゴリゴリのスラッシュメタルバンドでギターを弾いてきたゲイリー・ホルトが、実はウォーレン・デ・マルティーニのギターを密かにリスペクトしていたというようなことを、最近になっていったりしているのです。


最後に、なぜかポイズン。

Poison - Talk Dirty To Me

メタルの退潮→グランジの台頭→グランジの退潮→メタルの復権という流れは、ロック史において幾度も繰り返されてきた振り子運動の一つでしょう。
しかし、そうして揺れ動きながらも、そこに貫かれている一つの軸はある。
個人的見解ではありますが、グラムメタルにおいてポイズンはそんなバンドの一つだったんじゃないかと思ってます。あの時代に山ほどいたグラムメタル系バンドの中でとびぬけて大ヒットしたわけでもないし、特に技術的に優れていると評されることもないバンドだとは思いますが……衝動というのは、そういう尺度では測れないものでしょう。



2025年スタート

2025-01-01 23:03:52 | 日記


2025年、あけましておめでとうございます。

今年は、アメリカでトランプ政権が発足。
日本では参院選と、政治の世界でなにか大きな変動が起きる予感も……
現在進行形の問題もいろいろとありますが、いい年になるよう願いたいところです。
今年も、よろしくお願いします。

動画で振り返る2024年

2024-12-31 21:57:54 | 日記

いよいよ2024年も、残りわずかとなりました。

このブログも、今年最後の記事。
ということで……Youtube動画で音楽界を振り返ってみたいと思います。

必ずしも今年の話題でないものも混じってますが……



今年、何度かこのブログで登場したエルトン・ジョン。
近況として、夏ごろ感染症にかかって右目の視力を失ったという話がありました。左目のほうも視力が低下していて、ほとんど何も見えない状態で治療中とか……どの程度回復できるものなのかはわかりませんが、目が見えなくても音楽はできるということで、本人はそこまで打ちのめされているわけではないようです。
そんなエルトンがジョン・レノンとコラボしたWhatever Gets You Thru the Night のライブバージョン音源が最近Youtubeで公開されています。

Elton John - Whatever Gets You Thru The Night ft. John Lennon


先日クリスマスの記事でも登場したシカゴ。
今年はデビュー55周年にあたり、そのアニバーサリーを記念して行われたイベントの音源がリリースされています。
そのなかから、「長い夜」。

25 Or 6 To 4 (Live)

豪華なゲストが出演していて、この曲ではスティーヴ・ヴァイのギターソロが聴けます。


リンキン・パーク。
今年はオアシス再結成が大きな話題となりましたが、リンキン・パークの再始動というニュースもありました。亡きチェスター・ベニントンの後任として女性ボーカルを迎えるというサプライズつき。この人選には賛否あるようですが……

Over Each Other (Official Music Video) - Linkin Park


キュアー。
再結成とか再始動ということではありませんが、今年ひさびさの新譜を発表しました。
そのなかの一曲、I Can Never Say Goodbye。兄の死を受け、その翌日に作ったという曲です。

The Cure - I Can Never Say Goodbye (6 Music Live Session)


新譜といえば、キュアーとは世代的に近いプライマル・スクリームも今年ニューアルバムをリリースしていました。
最近の話題として、彼らはポール・ウェラーが企画したガザ支援ライブに出演しています。最後のほうは、主催者であるポール・ウェラーとの共演も。

Primal Scream ft Paul Weller - Live at O2 Brixton Academy London. December 13 2024

こういうイベントに登場するのはいかにもプライマル・スクリームといったところでしょう。


今年亡くなった高石ともやさん。
ボリス・ヴィアンの詩になる歌に日本語訳をつけた「拝啓大統領殿」。

拝啓大統領殿

  大統領殿
  お暇があれば読んでくれるだろう
  この手紙を
  僕は今戦場へゆく徴兵カードをもらったところ
  僕は逃げる 戦いたくない
  哀れな人を殺したくない

  大統領殿
  腹を立てないで聞いてほしい
  僕は逃げる

  親父は昔戦争で死んで
  子供たちは泣きじゃくってた
  女手一つ苦労していた
  おふくろも今はお墓の中
  爆弾をもてあそび 僕の心を奪っていった
  
  血を流すなら あなたの血を
  猫っかぶりの偉い方々
  僕は逃げる 武器は持っていない
  憲兵たちよ 撃つがいい


ウクライナ戦争が始まったぐらいのころにも注目されていたといいます。
もう60年近く前の歌ですが、この歌を聞かせてやりたい人たちが世界中にいるというのが残念な現実です。


このブログで扱う音楽ジャンルとしては異色ですが……先日、冬木透さんが亡くなりました。
昭和のウルトラマンシリーズで音楽を手掛けた方。
ウルトラセブンでは、あの印象的なOPテーマも作曲しました。

ウルトラセブンの歌

シリーズ屈指の名曲でしょう。
円谷一(筆名、東京一)が書いた詞が先にあり、その詞があまりに短かったことから尺をかせぐために「セブン」を連呼する曲になったといいます。名曲というのは、往々にしてそういう行き違いみたいなところから生まれるということでしょう。


円谷特撮つながり……といえるかはわかりませんが、フランスにGojiraというメタルバンドがいます。バンド名は、もちろん日本が誇る怪獣ゴジラから。権利関係の問題でGodzillaという本来のスペルは使えず、やむなくGojiraになったとか。
たまたまですが、彼らは今年、パリ五輪の開会式でパフォーマンスを披露していました。ショッキングな演出で物議をかもしていましたが……

Gojira - Mea Culpa (Ah! Ça ira!) [OFFICIAL VIDEO]


ダフ・マッケイガン。
今年「ベースの日」で、この人がピストルズのスティーヴ・ジョーンズとコラボしている動画を紹介しましたが、このとき同時にいくつかのコラボを発表しています。その中から、LAパンクの伝説FEARのリー・ヴィングとの共演を。

Duff McKagan - All Turning Loose (feat. Lee Ving)


同じく「ベースの日」記事で登場したニルヴァーナのクリス・ノヴォセリック。
当該記事ではジョーン・ジェットを迎えてSmells like Teen Spirit をやっている動画を紹介しましたが、同じステージでSt.Vincent との共演もありました。曲は、Lithium。
これは特に最近の話題というわけでもありませんが……

Nirvana w/St. Vincent - "Lithium" | 2014 Induction


ついでにデイヴ・グロールのほうも。
ハスカー・デュのボブ・モールドと共演した動画がありました。
ハスカー・デュは、グレッグ・ギンのSSTレコードから出てきたバンド。ニルヴァーナは、相当このバンドに影響を受けています。

Bob Mould and Dave Grohl - "Ice Cold Ice" live from the Walt Disney Concert Hall


最後に日本から、B’z。
朝ドラの主題歌に使われている「イルミネーション」。私はこのドラマを観てませんが、だいぶ賛否が分かれているようで……

B'z / イルミネーション

朝ドラとの関係もあって、B'zは今年の紅白に出るということです。あるいはもうすでに出たんでしょうか……


今回は、このへんで。
それでは皆様、よいお年を。




クリスマス2024

2024-12-25 22:40:40 | 日記

今日は12月25日。

クリスマスです。

というわけで……毎年恒例となっている、クリスマスソング特集をやりたいと思います。

今回は、カバー曲特集といった感じ。
最初からそうしようと思ってたわけじゃないんですが、動画を集めていたらなんとなくそんな感じになってました。スタンダードナンバーや、有名なクリスマスソングのカバーが中心となってます。


Do They Know It's Christmas?
のっけからカバーといえるか微妙なものになりますが……1984年に発表されたチャリティソングです。その後10年ごとに新たなバージョンが作られてきいて、今年は40周年ということで新たなミックスバージョンが公開されています。過去3回の音源をミックスして、一つのバージョンに仕上げたもの。ライブエイドの発起人でもあったボブ・ゲルドフ、ミッジ・ユーロのコンビに加え、トレヴァー・ホーンもこのプロジェクトに参加しているということです。

Band Aid - Do They Know It’s Christmas? (2024 Ultimate Mix / 40th Anniversary Video)


今年リリースされた編集盤的作品ということでもう一つ、カーペンターズ。
クリスマスソングを集めたアルバムが、今年リリースされています。タイトルは、『クリスマス・ワンスモア』。そのなかの一曲、クリスマススタンダードのWhite Christmasを。

White Christmas (2024 Mix)


ヴィンス・ギル。
昨年、この人がイーグルスのファイナルツアーにサポートで参加しているという話がありました。
彼はクリスマスアルバムをリリースしていて、そのなかで娘のジェニーとともに Let There Be Peace on Earth を歌っています。娘さんもプロのミュージシャンとして活動しているようですが、これを録音したのはローティーンぐらいの頃で、イノセンスを感じさせる歌声です。

Let There Be Peace On Earth


シカゴ。
彼らがクリスマスアルバムとして発表した『シカゴ25』というのをいつか紹介しましたが、その後にもクリスマスアルバムを出していました。
そのなかの一曲、What the World Needs Now Is Love。

What the World Needs Now Is Love

必ずしもクリスマスソングではないかもしれませんが、バート・バカラックの手になるスタンダードナンバーで、いろんな人が歌っています。このブログでも一度、亡き高橋幸宏さんのバージョンを紹介しました。


ボス、ブルース・スプリングスティーン。
クリスマススタンダード「サンタが街にやってくる」をライブでやっている動画です。

Santa Claus Is Comin' To Town (Live in Houston, 1978)


ここで日本代表を一曲。
先日、中山美穂さんについて書きましたが、彼女の代表曲の一つであるクリスマスソング「遠い街のどこかで…」を、倖田來未さんがカバーしたバージョンで。
今頃の季節になるとあちこちで聴こえてくる、日本のクリスマスを代表する一曲でもあるでしょう。

倖田來未-KODA KUMI- Digital Single『遠い街のどこかで…』


最後は、Happy Xmas(War Is Over)。
毎年載せてると思いますが、今年はアリシア・キーズによるカバーで。

Alicia Keys - Happy Xmas (War Is Over) (Official Visualizer)