ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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岸田文雄氏、自民党新総裁に

2021-09-29 21:32:50 | 時事



自民党総裁選の投開票の結果、岸田文雄さんが新総裁に選出されました。

まあ、事前に蓋然性が高いと考えられたシナリオの一つが実現したという感じでしょう。予想外のことがあったとすれば、岸田さんが一回目の投票からトップに立ったというところぐらいでしょうか。

ひとまず、おめでとうございますというところですが……

しかし、岸田政権はどうも短命に終わるような気がしています。目前に迫った衆院選はひとまず乗り切れると思いますが、結局また一年ぐらいでもたなくなりそうな……

歴代の自民党総裁をみても、岸田さんのようなタイプはだいたいそうだったなじゃないかという気がします。あくまでも私の個人的な感想ではありますが……
なにしろ、岸田さんは地味です。こういう地味な人が総裁になるときというのは、背後で蠢いている力の微妙な均衡によるところが大きいと思われ、その背後の勢力図が変化すると、土台が崩れてしまい、総裁の座を維持することができなくなる、ということだと私は思っています。
背後で蠢いている勢力の均衡ということでいえば、今回の岸田さんはまさにそのパターンでしょう。岸田さんが事前の予想を覆して一回目の投票からトップだったというのも、その力が強く働いたゆえではないか。そうなると、長期政権は難しいのではないか……せっかくの勝利に水を差すようですが、そんなことを考えました。




PPMの名曲を振り返る+α

2021-09-27 16:21:09 | 過去記事

ピーター、ポール&マリー「花はどこへ行った」(Peter, Paul and Mary - Where Have All the Flowers Gone)

先日、中東情勢緊迫という記事を書きました。その前には、戦争ファンタジーという記事も書きましたが……どうも、また戦争が起きそうな気配が高まってきているように感じられます。アメリ......


過去記事です。
ピーター、ポール&マリーの「花はどこへ行った」について書いています。
今回も動画を。ちょっと前にジョーン・バエズが歌っている動画を紹介しましたが、こちらがオリジナルです。

Where Have All The Flowers Gone


ここからは、プラスアルファとして、PPMについてちょっと書きましょう。

「花はどこへ行った」は、反戦フォークの代表のようにいわれているわけですが、意外にも、本人たちにはあまり反戦の歌を歌っているという意識はなかったともいいます。

方向性が似ている歌として、たとえば「悲惨な戦争」がありますが……

Cruel War

これは、南北戦争の頃の歌。つまり、PPMがこれをとりあげたのは、フォークシンガーが古い歌を採集してきて歌うその一環であって、ことさらに反戦という部分を強調しているわけではないと……

そのあたりはどうなんでしょうか。
ジョーン・バエズの場合は明確に反戦の意識をもってやっていたわけで、まあ、聞く側の解釈次第という部分もあるとは思われます。

解釈といえば……PPMの代表曲 Puff, the magic dragon。この歌にさえ、反戦歌という解釈があります。
歌の最後にジャッキー少年がパフのもとにやってこなくなるのは、兵士として戦場に行ったからだと……
この点に関して、ピーター・ヤーロウはこういっています。

 ジャッキーは大人になったのさ。ずっと子どものままでい続けることはできない。誰もがいつかは大人になり、穏やかで平和な世界をつくる側にまわらなければいけないのだから。「パフ」では、子どもの頃の純粋な気持ちや、少年と竜の間の純粋な愛情、そして大人になっていく過程で感じられる悲しみを表現したんだ。

なるほど、たしかにそういう歌でしょう。
せっかくなので、この歌を由紀さおりさんが歌っている動画で紹介しましょう。由紀さおりさんの歌声で、その物語が伝わってきます。

Pink Martini&Saori Yuki - パフ / Puff,the magic dragon


ちなみに、先に引用したピーターの言葉は、2012年、日本の朝日新聞のインタビューに答えたものです。
PPMが50周年を迎え、ライブアルバムなどを発表するのにあわせた記事ですが、この中でインタビュアーは次のような質問をしています。

―「花はどこへ行った」も含め、60年代、多くの反戦歌が歌われました。しかし、いまだに紛争は各地で続いています。音楽は世界を変えることができなかったのでしょうか。

これに対して、ピーターはこう答えます。

 変わったことだっていっぱいある。僕らは63年、ワシントン大行進で人種差別撤廃を訴えた。いま、米大統領はアフリカン・アメリカンだ。これが進歩でないと言えるかい? 完璧とは言えないけれど、女性の権利も守られるようになってきている。
 今こそフォークが必要だ。格差、原発、環境危機……。様々な問題に対して、手を携えて心を一つにし、本当の意味でグローバルで平和な世界を目指していなかければ。フォークはそれができる音楽だと思う。
 昨年のオキュパイ運動(経済格差解消を求め、米ウォール街を占拠する市民運動)では、娘や息子、孫と一緒にフォークを歌った。フォークは過去の音楽じゃないし、僕自身だって終わったとは思っていない。ピート・シーガーは93歳。僕なんて74歳だから、まだまだ、これからだよ

一応注釈をつけておくと、ピート・シーガーとは、アメリカの伝説的フォークシンガー。「花はどこへ行った」を作った人です。最近このブログにたびたび登場するブルース・スプリングスティーンも彼を強くリスペクトしています。
このインタビューが行われた2012年には93歳だったわけですが、その翌年、94歳となったピート・シーガーがステージに立つ動画があります。

Pete Seeger - If I Had A Hammer (The Hammer Song) (Live at Farm Aid 2013)

ジョン・メレンキャンプに紹介され、バンジョーを抱えて登場するシーガー爺さん。
さすがに、おい大丈夫かとちょっと心配になってくる動画ではありますが……しかし、「私にはじゅうぶんな声がないが、みんなが歌ってくれる」とシーガー爺さんのいうとおり、オーディエンスがちゃんと歌ってくれます。
歌っているのは、「天使のハンマー」。PPMもカバーしている曲です。

 もしも槌があったなら
 朝な夕なに打つだろう
 この国じゅうに
 危険を知らせ 警告し
 同胞たちの愛を打ち鳴らすだろう
 この国じゅうに


この後「鐘があったら」「歌があったら」と続き、最後はこう歌われます。

 そして私は槌をもっている
 鐘を 歌う歌をもっている
 それは正義の槌
 それは自由の鐘
 それは同胞たちの愛の歌
 この国じゅうで

この合唱を聴いていると、ピーター・ヤーロウが語るいくらか楽観的な言葉も、あるいは信じられるのかもしれません。
個々の歌の来歴がどうであれ、PPMは「本当の意味でグローバルで平和な世界を目指して歌ってきたのでしょう。

たとえばポール・ストゥーキーは、日本の拉致被害者、横田めぐみさんにむけた歌を作ったりもしています。歌の中には、日本語の歌詞も。

Song For Megumi

この歌一つとっても、彼らのメッセージが、国籍や年代、政治的立場といったものを超越していることがわかるでしょう。




Nevermind 30周年

2021-09-24 21:30:26 | 日記

今日は9月24日。

Nirvana のロック史に燦然と輝く名盤 Nevermind の発売から30周年となります。


 
というわけで、この有名なジャケット写真のモデルとなった赤ん坊スペンサー・エルデンくんも、30歳に。

しかし今、彼がこのジャケットのことでバンドを訴えたことが話題となっています。
これが児童ポルノにあたると……
正確にいえば、カート・コバーンは死亡しニルヴァーナというバンドはすでに消滅しているので、存命のメンバー二人とカートの遺産を管理するエステート、そしてバンドの関係者が相手ということですが。
件のアルバムジャケットに関して、「悪評を得て売り上げを伸ばし、メディアの注目や批評を集めるために、性的に挑発的な方法で子どもを撮影しています」と主張し、15万ドルの賠償金や、今後発売されるアルバムジャケットの写真差し替えなどを求めているとか。



児童ポルノといわれると、果たしてどうなんでしょうか。

いまのところ、訴訟がどうなったのか、私には情報がありません。ただ、訴訟自体をナンセンスなものと批判する論調も強いようです。そうした問題を専門に扱う弁護士からも、批判されているといいます。


25周年の際にメディアに出たインタビューでは、アルバムの大ヒットにもかかわらずスペンサー本人に支払われたロイヤリティはなく、そのことでスペンサーがゲフィン・レコードへの訴訟を検討したことがあるという話が出ていました。
結局そのときは断念したということなんですが……そういったことを考えると、今回の訴訟もどうなんだろうなという気はします。もっともその記事では、Nevermindのジャケットに関して複雑な感情を持っているということも話していますが。

ただ、スペンサーは、たびたびこのアルバムジャケットを自ら再現した写真を発表してもいます。
水着を着用したうえでですが、25周年のときにはカメラマンに「裸になって撮ろう」と提案したという話も。そして、その写真をみると、スペンサーの胸には Nevermind というタトゥーが……こうなってくると、今回の訴訟の真意を疑われても仕方ない部分はあるでしょう。
そういうわけなので、訴訟も門前払いになるのではないかと見られているようですが……そのあたりは続報を待ちたいと思います。



ついでなので、Nevermind 収録曲の動画をいくつか。



まずはBreed。
カート・コバーンのクレイジーさの一端が伝わってくる動画となっています。
まあ、カートが本気出したらこんなもんじゃ済みませんが……

Nirvana - Breed (Live At Paradiso, Amsterdam, 1991)


次に、Come As You Are。
先日カエターノ・ヴェローゾによるカバーを紹介しましたが、こちらがオリジナル。印象的なMVには、問題のジャケットの動画版のようなものも挿入されています。

Nirvana - Come As You Are


Territorial Pissings。
歌の主題や曲調の激しさといったところから、ニルヴァーナらしさがもっとも出ている曲の一つじゃないでしょうか。
この動画の最後のほうでは、カート・コバーンもちょっと本気を出し始めます。しかしまあ、これで80%ぐらいといったところでしょうか。

Nirvana - Territorial Pissings (Live at Reading 1992)

バンドのメンバーや機材を載せたワゴンを運転する際、ニルヴァーナのメンバーは、カートにだけは決してハンドルを握らせなかったといいますが、賢明な判断でしょう。


最後は、一説に日本人のことを歌ったともいう Something in the Way。
動画は、あの伝説のMTVアンプラグドから。

Nirvana - Something In The Way (Live On MTV Unplugged Unedited, 1993)

あの曲がないじゃないか……と思われるかもしれませんが、あれに関してはまたいつか別に記事を書きたいと思います。今回はこのへんで。




ブルース・スプリングスティーンの誕生日

2021-09-23 23:27:43 | 日記


今日は、9月23日。
ブルース・スプリングスティーンの誕生日ということです。
最近このブログではよく彼の名前が出てきますが……その流れで、今回はブルース・スプリングスティーン特集でいきたいと思います。


まずは、だいぶ前に一度紹介した曲 Long Walk Home。
公式YouTubeチャンネルに動画がありました。

Bruce Springsteen - Long Walk Home (Official Video)


スプリングスティーンはいろんなアーティストの曲をカバーしてもいますが、そのなかから、クラッシュ London Calling のカバーを。

"London Calling" at the Hard Rock Calling Festival

クラッシュのカバーをもう一曲。
Clampdown です。
こちらは、Rage Against The Machine のギター、トム・モレロとともに。

Bruce Springsteen- "Clampdown" (Sunrise, FL 04/29/14)


こちらは、ブライアン・アダムスとの共演。

Bryan Adams & Bruce Springsteen performing "Cut's A Knife & “Badlands"


そして、エルヴィス・プレスリー Love Me Tender のカバー。
ちょっと前にこのブログで取り上げましたが、ブルース・スプリングスティーンもこれを歌っていました。

Love Me Tender (Live at Joe Louis Arena, Detroit, MI - 03/28/88 - Official Audio)

前にも書いたように、Love Me Tender は19世紀に書かれた曲がもとになっているわけですが、スプリングスティーンは、そういう古い曲もやっています。
そのなかの一つ、Hard Times (Come Again No More)。
作ったのは、「おお、スザンナ」などでも知られるスティーヴン・フォスターです。

Hard Times (Come Again No More) (London Calling: Live In Hyde Park, 2009)

その路線で、最後にもう一曲。
「聖者が町にやってくる」。

Bruce Springsteen with the Sessions Band - When the Saints Go Marching In (Live In Dublin)

もともとの歌詞は黙示録的な世界観に基づいたもので、新約聖書の黙示録の記述を踏まえて読むと結構おそろしい内容になってるんですが……ブルース・スプリングスティーンはちょっと違う歌詞で歌っています。おそらくスプリングスティーンが書いたものと思うんですが、後半の歌詞はこんな感じに。

  この苦しみに満ちた世界が
  俺たちに見ることのできる唯一のものだという奴もいる
  だけど俺は 夜明けをまっている
  新しい世界がひらかれるときを
  その夜明けのとき 俺はそこにいたいんだ

ブルース・スプリングスティーンがアメリカンロックのボスだとすれば、日本のボスは忌野清志郎であり、カエターノ・ヴェローゾはブラジルの忌野清志郎だ……と私はいってきました。
この3人はそれぞれに「ラブ・ミー・テンダー」を歌っていますが、これは偶然ではないと思うんです。
反逆者、皮肉屋、根無し草……という仮面の奥にあるのは、この上なくピュアな「愛と平和」の心なのです。
だからこそ、彼らは多くの人に愛され、リスペクトされているのでしょう。




没後40年企画展だけど……

2021-09-20 22:24:05 | 日記

新青年」創刊100年 編集長・乾信一郎と横溝正史

くまもと文学・歴史館で行なわれている“「新青年」創刊100年 編集長・乾信一郎と横溝正史”という展示会にいってきました。ともに雑誌『新青年』の編集長をつとめた二人。乾信一郎が熊本に......


一年前の記事です。

熊本で行われた、横溝正史関連の展示会……
記事中で言及している横溝書簡公開企画はちょうどいま行われているところですが、緊急事態宣言の延長で、熊本まで行くのは断念。
戦前、軍部の台頭への不快感を示した書簡などもあるということで非常に興味深かったんですが……またいつかの機会を待つこととしましょう。

YouTubeにその告知動画があったので、リンクさせておきます。
これは、横溝ファンなら行きたくなるでしょう。

【展示紹介】くまもと文学・歴史館企画展「没後40年 橫溝正史展」