ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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米軍駐留費「日本は5倍負担を」ボルトン氏が来日時に

2019-07-31 16:58:30 | 時事


さんざん追従して、奉仕してきた結果がこれです。

以前書きましたが、追従的な姿勢は駆け引きの余地をなくし、一方的な要求を突きつけられるようになるだけなんです。

北朝鮮との拉致問題の行き詰まり、ロシアとの北方領土問題の行き詰まり、韓国との際限ない関係悪化などを見ても、いまの日本には外交交渉能力がまったくなくなっています。

これは危機的状況といわざるをえないでしょう。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「Dororo」

2019-07-28 13:10:08 | 音楽批評
 

 

今回は、音楽記事です。

 

以前アニメ記事として『どろろ』について書きましたが……そこからのつながりで、『どろろ』のオープニング曲として使われていたアジアンカンフージェネレーションの「Dororo」を紹介しましょう。

 YouTubeにアニメOPのノンクレジット映像があったので、まずはそれを貼り付けておきます。

 

TVアニメ「どろろ」オープニング・テーマ ASIAN KUNG-FU GENERATION「Dororo」OPノンクレジット映像

 

アニソンのタイアップといっても、普通の曲をアニソンとして使うことも多いですが……この曲は、タイトルを「Dororo」として、「どろろ」をイメージして作られました。

この曲に関して、アジカンのフロントマンである後藤正文さんは次のようにコメントしています。

「時代設定の古い奇譚の裏には、現代社会や人間そのものへの風刺が含まれていて、とても重層的で奥深い作品だと思います。原作である手塚漫画に恥じないよう、思いを込めて楽曲を制作しました」

 

まさに、そういうことでしょう。

 

 

  滾る闇の奥に光が在って 遠く声を確かめ合って

  濡れた指先で撫でるように いつか君に触って

 

 

光も音もない世界を生きる百鬼丸の、外界・他者に対する切々たる思いが、ここに歌われているのではないでしょうか。

 

 

ここで、アジカンについても書いておきましょう。

 

私は最近のアーティストについては疎いんですが……

しかし、アジカンについては、少しばかり注目していました。

 

 

というのも……彼らが数年前、「ロックフェスに政治をもちこむな」騒動でも話題になったことがあったからです。

あの、安保法制のときですね。SEALDsのメンバーが有名ロックフェスに登場するなどという話があって、ロックに政治を持ち込むな的な言説が出てきて、アジカン後藤さんも政治的な発言云々ということをいわれていました。

先日このブログで著名人の政治的発言について書きましたが……後藤さんは、その先駆的存在であったわけです。

 

「ロックに政治を持ち込むな」というのには、私はまったく賛同できません。

 

そのルールでいったら、いったいどれだけのロックの名曲がひっかかることになるでしょう。

ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、ジャクソン・ブラウン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、シカゴ、CCR、ニール・ヤング、クラッシュ、プライマル・スクリーム、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーン……これらのアーティストが認められないとしたら、ロックの歴史はじつに寂しく味気ないものになってしまうでしょう。

アジカンの後藤さんは、「ロックに政治を持ち込むな」という主張を「読経に宗教性を持ち込むなというようなもの」と皮肉をきかせて反論しています。

 

「どろろ」に話を戻すと、「どろろ」という作品が持つメッセージは、社会性、政治性と完全に切り離すことはできないでしょう。この作品がもし戦前に描かれていたら、たぶん発禁処分になってたと思います。

いいたいことをいったら、たまたま“政治的”ととられるものになってしまった……そういうことだってあるはずです。そこを、政治的だからという理由でいいたいことなのにいわずに口を鎖すのはばかげています。

 

いいたいことをいい、歌いたいことを歌えばいいと思います。

鋭敏な感性を持つアーティストがそうするとき、おそらくそれは自然と時代を切り取るものになり、場合によっては“政治性”ととられうるメッセージをまとうことになるかもしれません。それは、カナリアが鳴くときなのです。

 

アジカンもまた、鋭い時代感覚を備えたカナリアであり、であるがゆえに「著名人の政治的発言」の先駆となり、また、手塚作品に共鳴しえたということなんだと思います。

 

そういう意味で、彼らは紛れもないロッカーなのではないでしょうか。


「生産性」発言を振り返る

2019-07-26 21:13:25 | 過去記事
 
「生産性」発言

自民党の議員が、雑誌への寄稿で、同性カップルについて「『生産性』がない」と書いたことが問題になっています。この件に関しては、釈明の余地はまったくないでしょう。ツイッターなど......
 

 

過去記事です。

いわゆる「生産性」発言問題について書いています。

記事では、ナチスにも言及してますが……ナチスが行った虐殺は、障碍者や同性愛者を対象にしていて、その根底にはまさに、生産性で人間の価値を測る思想がありました。

 

おりしも、今回の参院選ではれいわ新選組から介助を必要とする方の当選がありました。

これは、注目すべきことでしょう。

ナチス的な排除の思想が社会のひび割れから顔をのぞかせる……そんな現代日本を変える契機になってほしいと思います。


『どろろ』

2019-07-24 19:53:30 | アニメ
 

アニメ『どろろ』を観ました。

もちろん、今年の新作のほうです。amazonプライムで見られるようになっていたので、そちらで視聴。テレビ放映終了からやや遅れて、最終回まで到達しました。


原作はいうまでもなく手塚治虫の漫画で、過去にもアニメ化され、また実写映画化されたこともありました。
で、また新たにアニメ化されたわけですが……

まず、絵のクオリティが素晴らしいですね。
中世の日本を描いた美しい背景画に、百鬼丸や鬼神たちの姿が映えます。和風を基調にしたBGMも秀逸でした。


ストーリーも、原作とはだいぶ変わっていますが、原作の設定をうまく取り入れながら、新たな『どろろ』の世界を作り上げてます。最近のアニメを見ないのでよくわからないんですが、この十年ぐらいのなかでも傑出した作品なのではないかと思いました。


原作との最大の違いは、百鬼丸のキャラクターでしょう。

鬼神に身体機能を奪われていながらも、原作の百鬼丸は普通の人間と同じように行動することができますが、今回のアニメにおける百鬼丸は、まったく他者と意思疎通できない状態で登場します。そこから鬼神を倒すごとに、感覚を一つずつ取り戻していくのです。

一方で、百鬼丸のライバルである多宝丸や、醍醐景光に関しても、かなりキャラが変っています。
原作では、ふつうに悪役として登場しますが、今回のアニメ版では、それなりに領民のことを思いやる領主であったりして、そこに、全体のために個を犠牲にしてもよいかといった重いテーマがたちあらわれることにもなります。


そういう大きな設定変更がなされてなされはいますが……原作の持っていたテーマは踏襲しています。

それは、戦争の悲惨さというところですね。

戦争を体験した手塚治虫だからこそ描いた、残酷なまでにむごたらしい戦の姿――子供も容赦なく殺戮する武士たちや、戦災で親を失い四肢を欠損した孤児たち。
武将の勇ましい活躍を描くのではなく、辺境においやられたものたちのリアルな姿がそこにあります。
アニメでも、そこはしっかりと描かれていました。特に、第五、六話「守子唄の巻」は、原作のエピソードを巧みにふくらませ、胸に迫る物語でした。

もっとも、戦争の惨禍を描くという点に関しては、原作のほうがより凄惨ではあると思います。手塚御大独特のユーモアセンスで、あまり重苦しくはならないんですが……アニメでは変更されていた部分や、カットされていた部分も少なくありません。

戦争の悲惨さという以外にも、『どろろ』には現代に通ずる重要なテーマがいくつも描かれています。
そういうこともあってか、海外では、数ある手塚作品の中で『どろろ』が最高傑作という人も少なくないらしいです。
……というわけで、今回のアニメで関心を持った人は、ぜひ原作のほうも読みましょう。

参院選雑感

2019-07-22 10:33:15 | 時事
参院選の投開票が行われました。

今回も、ほぼ与党の圧勝という結果でした。

まっとうな多党制を主張する私としては残念な結果です。
“亥年の選挙”ということで投票率も史上ワースト2位……ここもまた、残念なところでした。

ただ……与党側もいくらかは議席を減らしており、多少ブレーキはかかなるかなというところでしょう。
ものはいいようで、たしかに「自公で過半数確保」ではあるんですが、「自民党単独過半数確保ならず」とか「改憲勢力三分の二維持できず」というふうに表現できる結果でもあるのです。

野党側に目を転じると、立憲民主党の躍進は、それなりに意義があることだと思います。
立民も、まだできて2年ほどしか経っていない政党なので、今はこれぐらいでもとりあえずいいんじゃないでしょうか。ただ、国民民主党との微妙な関係を今後どうしていくかという問題がくすぶり続けますが……

あと、今回の収穫は、やはり山本太郎さんの率いる「れいわ新選組」でしょう。

党首である山本さん自身は落選しましたが、2議席を獲得。
政党要件も満たしたということで、そう遠くないうちに行われるとみられている衆院選では、テレビの党首討論などにも出てくるはずです。
彼の言動に賛否はあるでしょうが、あれだけ自分の言葉できちんと理念を語り、草の根運動で支持を広げてきた政治家は、いまの日本では相当レアでしょう。
れいわ新選組は、今回の参院選においてほとんどテレビで取り上げられることがありませんでしたが、ツイッターなどを見ると、地下でマグマがわきたつような大きなムーブメントになっていました。
山本太郎さんは落選したわけですが、それも、「出馬していれば当選はほぼ確実」とみられていた東京選挙区から出馬せず、比例で、しかも自分自身をあえて安全地帯に置かなかったためです。
すでに彼は衆院選立候補を見据えているようですが、山本太郎本人がテレビに出て語りはじめれば、ムーブメントは一気に拡大する可能性もあるでしょう。そうなれば、与党に対抗しうる軸となるかもしれません。いまは、そこに期待というところでしょうか。