今日は10月3日。
“アンパンマンの日”だそうです。
1988年のこの日、『それいけ! アンパンマン』の放送が始まったということで……
そんなわけで、この日にあわせて3DCGでアンパンマンを作ってみました。
顔だけですが……体の部分まで作るのは、それなりに手間がかかりそうだったので断念。
アンパンマンの原作者は、いうまでもなく故やなせたかしさん。
やなせたかしさんは、手塚治虫とほぼ同世代で、戦争体験があります。
日中戦争で大陸に赴き、宣撫工作にあたっていたといいます。そういう経歴ゆえに、戦争が終わってからは、“正義”という概念に大きな疑問を持つようになりました。
宣撫工作とは、つまり日本軍による占領を現地住民に対して正当化することなわけで、早い話がプロパガンダです。そういうことをやっていたために、敗戦後の価値観の大転回がより痛切に感じられたのでしょう。
果たして、本当に正義といえるのは何なのか――
そう自問したやなせさんがたどり着いたこたえが、アンパンマンでした。
飢えた人に食糧を与える――それは、確かに正義といえるだろう。
あのアンパンマンの背景には、そういう壮絶な問いがあるのです。
やなせさんは、アニメ『アンパンマン』の主題歌である「アンパンマンのマーチ」の詞を書いていますが、その歌詞は、子供向けアニメに主題歌とは思えない深い内容で知られています。
なにが君のしあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのはいやだ
忘れないで夢を
こぼさないで涙
だから君は とぶんだ
どこまでも
そうだ おそれないで
みんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああ アンパンマン
やさしい君は
行け! みんなの夢
まもるため
この歌にも、アンパンマンを生み出すに至ったやなせさんの経験が反映しています。
そうであるからこそ、アンパンマンはやなせさんの代表作であり、ライフワークとなったわけでしょう。
正義とはなにか――
安易なニヒリズムめいたものに流されず、そう問い続ける姿勢が、今の日本には必要なのかもしれません。