私の人生は詩吟と切り離すことができない。その詩吟のこれからがとても心配です。46年間続けてきた詩吟です。振り返ってみると、一時期は40数名の弟子さんを抱えて張り切ったものでした。ある時期からプツリと自分から詩吟をやりたいという人は全く出てこなくなった。更に誘ってみても詩吟(しぎん)という言葉すらわからない人が多くなってきた。
現在所属している北詩連も千人以上の会員を擁した時もあったようですが、今は500名ほどになり、平均年齢も70歳近いのではないかと思います。会員増強を必死に叫んでいるけれどこだまさへ返らないありさまです。
漢詩作者が出てきません。レコード会社専属の漢詩作者のような方がいたことがありますけれど、今はそのような方の話を聞くことがない。
詩吟のルーツは江戸の武家に依って立ち上げられたもののようだ。結果、日本の武士道に通ずる思想が底を流れていて、とても現代には認められないような漢詩も教材に入っている。従って伝統芸能として見栄を張ることのむつかしい中身がある。芸能なのだからと、高をくくるわけには行かないところもある。戦後一時は歌謡曲や民謡などと同等に扱われたこともあったけれど、「のど自慢」などから詩吟が省かれるようになって勢いを失っていった。
もうかつてのような隆盛は期待できない。現在やっている方たちを大切にしながら成り行きを見守るしかないように思う。それでも、伝統芸能として保存する運動などが起きて、保存芸能として残されるようになるかもしれませんね。
私にとってはとても寂しい話です。