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-アメリカの脱領土的システム支配-(GHQ焚書図書開封 第92回)

2017-10-06 00:10:49 | 近現代史
GHQ焚書図書開封 第92回[桜H23/12/21]
-アメリカの脱領土的システム支配-
「日米衝突の根源」渡辺惣樹 によると、軍事力が優位となるまでは、なんとしても日本と和平を維持する。そして、何れ訪れるであろう日本との激突に備え、軍事力を着実に強化する。開戦となれば必勝を期す。がアメリカのセオドール・ルーズベルト(1901-1909年)以降の大統領の外交姿勢であった。
1893年の大恐慌までは、アメリカは明るい、人道的な国家であり、咸臨丸も岩倉具視の使節団も含め大歓迎するという親日的感情を持っていた。ところが、フロンティアを失い、インディアンの食料であるバッファロー全滅作戦を通じて、インディアン虐殺を続けるうちに、世界に対して野蛮な衝動を露わにするようになった。
19世紀後半から20世紀にかけて、中国への領土的侵略の遅れをとったアメリカは、植民地をなくせという綺麗事を唱え、いわゆる、脱領土的植民地統治法(ドルによる金融支配)に切りかえ、自らの行動を正当化した。支那に対しても反日運動の支援をするなど、文化的事業により支那大陸に食い込んでいったのである。
その内容は、
①1899年ジョン・ヘイによる門戸開放、機会均等、領土保全の宣言。この綺麗事には、支那を分割し始めていたドイツ、ロシアも従わざるを得なかった。その裏でアメリカは、6か国借款などを通じて既得権益をもっている列強を排斥し、そこにアメリカが介入するという狡猾な政策を展開した。
その後②1919年パリ講和会議では民族自決を訴え、
更に③1941年フランクリン・ルーズベルトとウィストン・チャーチルとの間で結ばれた大西洋憲章では領土不拡大(有色人種のためのものでない、アジア・アフリカの植民地に適用しない)などを訴えた。この憲章に対して植民地支配の否定と有色人種に対する人種差別撤廃を掲げ、日本が提唱したのが東條内閣の大東亜共同宣言である。アメリカの言う民族自決、人種平等が本気なら、この時日米は対立することなく、手を結べたはずである。このようにして、アメリカは脱領土的植民地統治法(ドルによる金融支配)を継続させるための巧妙な外交を展開した。
今日の投資し、金利で稼ぐ仕組み(金融資本主義)の原型を作ったともいえる。
このような侵略方法を考え出すに至った背景には、
ヨーロッパ諸国と比べ、アメリカは広大な領土を有し、資源も豊富、人口も希薄、更に、ヨーロッパのように植民地に仮想労働力である奴隷を求める必要がなく、国内に黒人奴隷という仮想労働力を抱えていたため、他国のように領土的野心がなかった。
からである。
アメリカは商売拡大をねらって、利権争いに参入し、金を貸して高い金利を巻き上げる資本侵略に味をしめたのである。
そして、この方法は今日まで延々と続いているのである。
1973年の石油ショック以降、OPECが石油価格決定権を得て資源国が先進国に対して相対的に強くなり、先進国が利益を得られなくなった。
そのしわ寄せが、先進国において賃金カット、中産階級の没落、貧富の格差拡大を招いた。
その対抗策として、先進国は、ニューヨーク、ロンドン先物取引で石油価格を決める方式を導入したが、ドルの金兌換性廃止による紙幣乱発がリーマンショック、ギリシャの破たんを誘発し、現在もなお、世界は経済混乱状態となっている。
その中で円高を維持している日本円は隠れた基軸通貨ともいえる。
参考文献:「GHQ焚書図書開封5,6」西尾幹二 「日米衝突の根源」渡辺惣樹