モスクワ 日本大使館前で北方領土引き渡し反対の集会
2019年1月22日 18時55分北方領土
日ロ首脳会談が行われるロシアの首都モスクワの日本大使館前では、野党の支持者たちおよそ100人が集まり、北方領土を日本に引き渡さないよう訴えました。
北方領土問題を含む平和条約交渉を進めるため安倍総理大臣とロシアのプーチン大統領は22日、日本時間の22日夜、モスクワで首脳会談を行います。
これを前にモスクワの日本大使館前では、北方領土を日本に引き渡すことに反対する抗議集会が、日本時間の22日午後5時ごろから行われ、野党の共産党の支持者を中心におよそ100人が集まりました。
参加した人たちは「島々は渡さない」とか「日本は島から手を引け」などと書かれたプラカードを掲げながら抗議を繰り返し、中には「ロシア政府は島の主権について日本と協議するべきでない」などとロシア政府を批判する演説を行う人もいました。
現場では、参加者が警備にあたっていた警察官と小競り合いになる場面もあり、集会を呼びかけた政治団体などによりますと、11人が拘束されたということです。
安倍総理大臣とプーチン大統領は去年11月、「平和条約を締結したあと、歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意しましたが、これを受けてロシア国内では、北方領土を引き渡すことに反対する世論が高まっています。
プーチン大統領 “条約締結には時間と信頼関係が必要”
2019年1月23日 1時14分北方領土
ロシアのプーチン大統領は、安倍総理大臣との記者発表で、平和条約の締結に向けて解決策を見いだすには時間がかかるとの見方を示したうえで、「課題は、両国関係を長期的、包括的に発展させ質の高いレベルにすることだ」と述べ、より一層の信頼関係が必要だという考えを強調しました。
ロシアのプーチン大統領は22日、安倍総理大臣との首脳会談の終了後、そろって記者発表に臨みました。
この中でプーチン大統領は平和条約交渉について、「安倍総理大臣とわたしはこの問題に長い時間を割いた。お互い条約締結に関心があることを再確認した」と述べ、日ソ共同宣言に基づいて平和条約を締結することに意欲を示しました。
ただ「交渉担当者が提案する解決策は、双方の国民が受け入れ可能で、支持されるものでなければならない」と指摘し、「双方が受け入れ可能な解決策を見いだすための条件を作り出すには、長く、忍耐を要する作業がこの先にあることを強調したい」と述べ、時間がかかるとの見方を示しました。
さらに、「課題は、両国関係を長期的、包括的に発展させ質の高いレベルにすることだ」と述べ、安全保障など幅広い分野でより一層の信頼関係が必要だという考えを強調しました。
一方、プーチン大統領は両国の経済関係に関して、「進展はあるが、質を伴う大きな発展は見られない。数年以内に両国の貿易額を最低でも1.5倍にして、300億ドルに引き上げるという目標を設定することは可能ではないか」と述べ、日本との経済関係が抜本的に拡大することに期待を示しました。