日欧間の物流、シベリア鉄道活用で日数半減 輸送費に課題、船便の1.5~3倍
04/03 05:00
国土交通省は、ロシアを横断する全長約9千キロのシベリア鉄道を活用して2019年度に実施した日本と欧州間を結ぶコンテナ輸送実証事業の結果をまとめた。列車の振動などによる品質面での大きな問題はなく、船便に比べ輸送期間も約半分に短縮できた。ただ、輸送費は船便の1・5~3倍かかり、通常出荷での運用に向けては依然課題を残している。
実証事業には、公募で選ばれた日本通運(東京)などの物流会社4社が参加。19年9月から20年2月にかけて、横浜、名古屋、富山、神戸の4港と欧州3カ国(ポーランド、ドイツ、チェコ)とをつなぐルートで、費用や日数、品質への影響を調べた。シベリア鉄道の極東側の起点となるウラジオストクと日本間は船を利用し、鉄路でモスクワに到着後は欧州域内の別の鉄道やトラックを使った。
日本と欧州間の貿易で実際に需要のある自動車部品や精密機器を運んだ。輸送中に軽度の振動や衝撃はあったが、荷物の損傷はなかった。通関手続きなどで長時間待たされることはなく、日数は船便の従来ルートに比べて半分の20日間前後だった。
ただ、海岸に比較的近いドイツのハンブルクと横浜間では費用が船便の3倍となるなど、価格競争力で課題が残った。国交省は「物流量が今後増えれば輸送運賃が下がる可能性もある」(総合政策局)とし、本年度も実証事業を継続する。
シベリア鉄道を活用した日本企業による輸送事業は8項目の日ロ経済協力プランの一環。18年度から船便との比較調査を進めていた。(長谷川紳二)