北九州の講演会は、質疑応答で、せっぱつまったお話も聞こえてきていました。思わぬ内容もあり、あすのブログ更新で少しお伝えいたします。
http://www.radiation.org/という組織がアメリカにあります。ニューヨークにある組織で、Radiation and Public Health Project=「放射線と公衆衛生プロジェクト」という組織です。原子力による、健康への影響を追及しています。『死にすぎた赤ん坊 低レベル放射線の恐怖』、『人間と環境への低レベル放射能の脅威 福島原発放射能汚染を考えるために』などの著作でも知られ、アメリカで被曝の問題を追及している代表的な専門家、アーネスト・スターングラス氏(ピッツバーグ大学医学部名誉教授・放射線物理)なども関わっているグループです。
この組織の中核メンバーであるジョセフ・マンガーノ氏などによる調査http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?PaperID=28599に基づいて、アメリカの三大ネットワークのひとつ、ABC系列で、カリフォルニア・サンディエゴにあるローカルニューステレビ局の10Newsが、ニュース番組の中で、福島第一原発の事故が、カリフォルニア州の新生児に影響を及ぼしている可能性があるという警告レポートを報道しました。
甲状腺は放射性物質の影響が最も考えられる臓器です。先天性甲状腺機能低下症(=クレチン症)は、生まれながらに、甲状腺の機能が下がっている病気。新生児に3000人に1人程度の発生頻度と言われています。子どもなら、先天性甲状腺機能低下症で、発育障害や知的障害などとなるケースがありますから、注意が必要です。クレチン症の赤ん坊が、スリーマイル原発事故の翌年には、その周辺地域で平常時の数倍生まれたとの報告も過去にありました。
今回のABC系列のテレビニュースは下記リンクです。内容の大意も翻訳しています。
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福島第一原発の事故が、サンディエゴで幼い子どもの健康に影響しているかもしれません。
「私たちは、これを非常にシリアスに受けとめるべき」とジョセフ・マンガーノ氏が語る。
原発事故がおこった直後にサンディエゴで大気サンプルを8点検査した。
サンディエゴでのベータ線のレベルが通常よりも6倍以上となっていた。
それでもまだ低いレベルだが、Radiation and Public Health Projectは、それでも子どもを傷つけた可能性を否定できないと言う。
太平洋側、西海岸の州で原発事故のすぐ後に生まれた幼児は、先天性甲状腺機能低下症になる可能性が28パーセント。
カリフォルニア州で39パーセントまで増える可能性があると言います。
別の専門家は、この程度の放射能レベルが人間の健康を害する直接証拠がまだないと言います。
「すべての新生児が恐ろしい疾病にかかったのではありません」とマンガーノ氏が言う。「結果は微妙です。」
マンガーノ氏は、幼児の死や先天的な異常についても、さらに研究をおこなう予定。
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アメリカ地質調査所HPにはアメリカの土壌の汚染状況は出ています。
23ヶ所からCs134が0.4-180Bq/m2、33箇所からCs137が0.7-240Bq/m2検出されています。
つまり数Bq/kgの汚染はアメリカ本土でも確認されている訳です。
下記リンクのPDFファイルのFIGURE5-10に分布図があります。特にカリフォルニア州、ワシントン州、コロラド州。
UC Berkeleyも調査はしていて、やはり1Bq/kg前後の汚染は、計測されています。軽微ですが、Cs134があることからも、福島第一原発由来の放射性物質が、西海岸に降下していることは間違いありません。
多分、日本でも同様の降下量は中部や北海道は当然のこととして、北陸や関西でもありえますから、マンガーノ氏らの調査が妥当ならば、西日本や北海道でも同程度の健康被害は想定するべきと思います。
今回の意味合いが大きいのは、アメリカの三大ネットワークABC系列のローカルテレビ局が地元発のニュースとして、この福島第一原発の影響が、実はアメリカ西海岸の子供たちに、健康面で影響を及ぼす可能性を、きちんと伝えたことです。アメリカの場合、三大ネットワーク系列の局は一定程度のステイタスはあります。そして、そうしたところで、まず報道が始まり、それが徐々に全体に認知されるきっかけになるケースがあります。そういうことを、ローカルテレビニュースの記者たちは競って報じます。それで彼らは、更なる上の立場にジャンプアップする切っ掛けをつかむケースもあるのです。
つまり、アメリカでも健康被害がおきるのかもしれないという話が、アメリカのテレビ記者の間で、2年の経過とともにようやく始まったということです。
よろしいでしょうか。
しかし、いまだに日本ではそうした報道が、テレビでは行われませんし、新聞でも、首都圏の被曝による健康被害の問題は言及されません。アメリカ西海岸と比較にならないくらいに危険は大きいのに。
ローカル局であれ、何であれ、そうしたことがおこなわれていません。
これは、1人1人のテレビ記者たちの怠慢に他なりません。
そういう方向性をいろんな言い訳をして押しとどめようとしているテレビ局幹部の犯罪でもあります。
僕は20年以上、テレビ報道の仕事をしてきましたが、このことを2年間ずっとごまかしている、僕が直接知っている人間たちに対して、ずっと怒っています。
ずっとです。
僕に言わせれば、彼方達は犯罪者と同じレベルです。
報じることのできる立場にいながら、そのトライアルを行う気配すらない。
僕は少なくとも10数年間は、下の人間の指導もしました。
しかし、それも何の意味もなかったのだなあと、毎日毎日思い知らされています。
彼方達は、国民、特に子供たちが毎日健康が危険に晒されていることをごまかして報じないようにしている犯罪者です。
その犯罪を行っていることさえ、無自覚のままに生き続けています。
僕には信じられないし、指導した僕の能力不足も痛感します。
しかし、たぶん僕の能力不足よりも、彼方達一人一人の意識の問題、誤魔化しの問題です。
今回、彼方達がごまかしていることは、報道に携わる人間としては、必ず許されない話になります。
彼方のごまかしで人が死んでいきますから。
僕は許せません。
首都圏と比較にならないくらい軽微な汚染しかないアメリカの西海岸でさえ、三大ネットワークの系列局の記者は警告リポートを放送しました。他人ごとでなく、自分たちに降りかかってくるかもしれない危険として。
その数百倍は最低でも汚染されている土地で、何もなかったようにごまかしているのは、彼方達です。
彼方達の責任は必ず追及されます。彼方達に安らかな老後なんてありません。
一人一人に僕は問います。どうするのですか、と。
貴女はどうするのですか。
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「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から二年経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響でさらに蓄積します。食物、飲料のみならず、吸気による被曝は深刻です。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命と健康が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」
健康被害相談などもまずはメールでお話し下さい。⇒
nagaikenji20070927@yahoo.co.jp(コピーして貼り付けて下さい)
講演など、何か業務的な依頼をされたい方も原則このメール⇒電話でお話しする順番です。
事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。 健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。
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まだ少ないので呼びかけます。都内の医師といろいろ考えた末、以下の情報提供が可能な方はメールでお知らせください。僕のアドレスnagaikenji20070927@yahoo.co.jpまで。
被曝による子供の甲状腺に対する影響のうち、甲状腺癌ではなく、免疫機構への影響の結果として、どうなってくるのかを知りたく思っています。このため、次のデータが提供可能な方は教えて下さい。年齢は現在18歳以下とさせていただきます。主に首都圏、関東、南東北の汚染があったエリアを想定しています。特に東京都内。
「血液検査で、抗サイログロブリン(Tg)抗体
抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体を測定した人に、その値を教えて頂きたく思います。」
必ずメールのタイトルを『抗サイログロブリン抗体情報』として下さい。
記載内容は
《1.お名前 2.年齢(現在) 3.性別
4.事故当時3/11~3月末までいた場所。区市町村までは。広い自治体は南部・北部・東部・西部などの区別もつけて下さい。
5.抗サイログロブリン(Tg)抗体の数値 6.抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体の数値 》
でおねがいします。
情報に関しては、僕と医師との間で共有し、被曝に関しての考察を進めるために使います。個人を特定されない形で公表する可能性はあります。なお、特異な数値を探している訳ではなく、単純に検査した数値をそのまま教えて下さい。