関西の西部から聞こえてきた話です。
「小学校の教員としてその学区の担当に新たに入ってきた教員は16人いらっしゃるそうです。その半数になる8人が、首都圏から転入された教員だということです。この地域で、30年来、教職をしていた方に、過去にこんなことがあったかと尋ねると、前代未聞ですねと返事がきました。私もここには去年きましたが、関西の他の地域にいても聞いたことがない話です。びっくりしました。」
一度首都圏の教員を辞め再度採用されているのか、都道府県単位での転勤要望もできるシステムもあるらしいので、それを利用したものかは不明です。しかし、間違いなく、なぜか首都圏から関西(しかも結構外れです)に、転入してきた教員が一定数いるということです。関西では、普通の感覚では、こんなことは、殆どありません。
北九州で関係者と密談したのですが、厳しい話も聞こえてきました。この中に関東と行き来している男性がいたのですが、ご自身の知人周りで聞こえてきた話です。
「神奈川県の西部にお住いの小学生なんですが、去年の九月に、突然白血病を発症したそうです。その白血病のみならず、去年の12月に脳梗塞もおこしていて、現在は植物人間のような状況だそうです。」
白血病という話は、勿論以前から一定数あります。一定数はありますが、これがどの位、どのように増えてくるのかが、実は注意しなければならないポイントになります。
以前にご紹介した「チェルノブイリの長い影」http://nucleardisaster.web.fc2.com/には次のような記載があります。
「汚染地域であるジトームィル地方(ウクライナ)の子どもたちと、チェルノブイリ以前の段階で国内でガンと白血病の発生率が最も高かったポルタヴァ州の子どもたちとの比較が行われた。
その調査によると、白血病の率は1987年以降、1996年にピークに達するまでの間ほぼ平行して増加した。しかしながら、新たに白血病と診断されたケースはジトムィール地方のほうが2倍多く、急性リンパ性白血病の新たな診断は男児の間では4倍となり、血液サンプルには明らかに被曝の遺伝子的影響が見られた。」
実は、1990年春には、「白ロシア(現ベラルーシ) 100万人が避難へ 白血病ふえ混乱」という記事が出ています(朝日新聞1990.5. 27)。これは子供たちを中心に白血病がおこりはじめていて、当時の政府対応が変わり、100万人が避難することになるかも(実際の避難数は違うと思いますが)という話がおきていることを伝えています。ソ連という共産主義の連邦の存在で、情報伝達が難しくなっていたのですが、四年後には厳しい現実が、日本にも断片的に伝わっています。伝達のタイムラグも考えると、同じ状態になるまでに、あと2年の猶予があると考えるほうが、不自然です。
放出された核種が、セシウムやヨウ素だけで他の核種がほとんどないというような奇跡が日本におきていても(ほぼ考えられないと思いますが)、そのセシウムやヨウ素だけでも、被曝の厳しい影響が出てくる可能性は高いです。それは、血液疾患、特に白血病という形であからさまになるケースは多いと、僕は認識しています。
さて、北九州の講演会場では、元々北九州に住んでいる妊婦の方が、転勤で千葉の高線量地帯に行けと、家族中から責められている話も出ましたし、会場内で、話の途中や質問の途中で泣き出す女性が一定数いらっしゃいました。
妊婦を敢えて、高線量地帯に行かせようとする日本人の意識は、僕にはまったく理解できません。本当に、少しのことでも、自分で本を読み、勉強する人たちが少ないことに、ぞっとします。わざわざその危険に晒す必要はまるでありませんから。
そして、泣き出す方が多かったのは、いろんな形の健康症状が出ていること、特に甲状腺の疾患が、明確になっている避難者がいること。甲状腺の機能低下や、結節という診断が、一定数存在すること。そして、白血球の好中球減少がふつうにおきていることなどが理由と考えます。健康被害が避難者の間で顕在化するスピードが、徐々に早まっているのが、良くわかってくる感覚です。
ところで、難病情報センター2010年度宮城と福島のデータ欠落が、2011年度難病急増に見えるだけという見解を唱えている方たちがいます。僕もその可能性は全くないとは思いませんが、それでは説明のつかないデータが多いです。それに、一般に難病として認定されるもののすべてが、被曝由来の可能性が想定される疾患ではありませんから、関係性がある可能性が考えられる疾患で確認してみます。
そうすると、例えば、元々減少傾向の特発性血小板減少性紫斑病を見てみます。
2008年度⇒2009年度⇒2010年度⇒2011年度
22,945(-212)⇒22,853(-92)⇒22,220(-633、データ欠落)⇒23,791(+1571)
2008年度も、2009年度も前年度に比較しても減少傾向だった特発性血小板減少性紫斑病。そして、少なくとも2003年度から、この疾患は減少傾向がずっと続いていました。つまりデータ欠落している2010年度も、宮城と福島のデータが追加されても、減少傾向はそのままの可能性が高いです。そうすると、どう考えても、2011年度に、突然増加傾向に転じたことは間違いありません。一昨年と比較しても、1000人近く実数で増加、およそ4パーセントの増加になります。
チェルノブイリでも、紫斑の増加は普通に報告されています。僕も事故以降、紫斑の話は聞き続けている状況です。特発性血小板減少性紫斑病という難病として出てきた数値は、よくわかります。
難病の増加は、シグナルの事象がおきているかどうかを見極めるのがポイントで、「安全だ」「違う」という言説を細かく言い募るメリットはありません。科学知識の精密さを振りかざして、おこりうる危険を無視する感覚は僕には理解不能ですし、リスクコントロールをどこまでも理解しない所業と思います。
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「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。他の皆さんも極力移住してください。被曝から二年経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響でさらに蓄積します。食物、飲料のみならず、吸気による被曝は深刻です。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命と健康が何よりも大切です。一刻も早く移住してください。」
健康被害相談などもまずはメールでお話し下さい。⇒
nagaikenji20070927@yahoo.co.jp(コピーして貼り付けて下さい)
講演など、何か業務的な依頼をされたい方も原則このメール⇒電話でお話しする順番です。
事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。 健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。
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まだ少ないので呼びかけます。都内の医師といろいろ考えた末、以下の情報提供が可能な方はメールでお知らせください。僕のアドレスnagaikenji20070927@yahoo.co.jpまで。
被曝による子供の甲状腺に対する影響のうち、甲状腺癌ではなく、免疫機構への影響の結果として、どうなってくるのかを知りたく思っています。このため、次のデータが提供可能な方は教えて下さい。年齢は現在18歳以下とさせていただきます。主に首都圏、関東、南東北の汚染があったエリアを想定しています。特に東京都内。
「血液検査で、抗サイログロブリン(Tg)抗体
抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体を測定した人に、その値を教えて頂きたく思います。」
必ずメールのタイトルを『抗サイログロブリン抗体情報』として下さい。
記載内容は
《1.お名前 2.年齢(現在) 3.性別
4.事故当時3/11~3月末までいた場所。区市町村までは。広い自治体は南部・北部・東部・西部などの区別もつけて下さい。
5.抗サイログロブリン(Tg)抗体の数値 6.抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体の数値 》
でおねがいします。
情報に関しては、僕と医師との間で共有し、被曝に関しての考察を進めるために使います。個人を特定されない形で公表する可能性はあります。なお、特異な数値を探している訳ではなく、単純に検査した数値をそのまま教えて下さい。