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ドイツ『登録公益社団法人』 さよなら原発デュッセルドルフ:http://www.sayonara-genpatsu.de/ による
福島原発事故による健康被害-小児科医の報告(アレックス・ローゼン医師) Part2 日本語字幕
食品の放射能汚染についての検査が大変重要です。
それによって国民の健康に関する 放射能汚染リスクの大きさを把握できるからです。
ですから、正しく且つできるだけ広範囲に サンプリングを行うことが必要です。
その際、線量の低い食物だけ、又は、 高いものだけを検査するのではなく、平均的に選び、
食物中、どのくらい放射能が含まれているかを、 平均的に出すように努めるべきです。
例えばWHOは、福島事故後、 食物中の放射能汚染を計算するために、1年間に47個の卵を調べました。
鶏卵の放射能汚染を調べるために、 たった47個のサンプルです。
米や鶏肉についても同じような量のチェックを行いました。
即ち、サンプルの選択によって、 全く違った計測結果が得られます。
これは、次のスクリーンから説明すると、これはWHO調査で、福島事故が 健康に及ぼす影響を推測する数値です。
WHOの調査では、 『水道水には重大な汚染はない』と発表されています。
しかし、ご承知のように水道水からは、 965 Bq / リットル、見つかりました。
つまり通常の1万倍もの量が検出されています。
本来、1リットル当たり 200 Bq を超える水は、 放射性廃棄物であって、飲む事は許されないのです。
それにも拘わらず、 WHOの報告では 『該当ナシ』となっているのです。
魚については、文科省の発表とWHOの数字との間に それほど大きな差はありません。
しかし野菜については、 ヨウ素-最高汚染量 250万 Bq / kg、の数値が見つかり、
セシウムに於いても 260万 Bq / kg の最高汚染量 と書かれた資料を見つけました。
しかしWHOの報告では、それぞれ、最高5万、4万 Bq しか検出されておらず、これは大変大きな違いです。
このようにサンプルの選び方によって、少ない線量を検出する、 即ち健康被害のリスクを小さく見積もることが可能なのです。
次に、第3のテーマ、 今後どのような健康被害が予測されるか、について。
写真は昨年5月と今年2月に出版された2つのWHOレポートです。
『Health Risk Assessment』 つまり、健康リスクの計算、についてのものです。
ここで知っておくべき重要なことは、WHOには放射線に関する専門部署がない、ということです。
放射線の研究者もおらず、放射線問題に関しては IAEA(国際原子力機関)と共同で働いています。
そしてIAEAの目的は、 世界中の原子力エネルギー利用を促進することです。
つまり、IAEAの科学者が集めたデータをWHOに提供し、WHOがそれを用いてレポートを作成した、という訳です。
これは、例えて言えば、タバコの健康リスクについてWHOがPhilip Morrisにレポートを書かせるようなものです。
この報告書の問題点は、第一に 大気中に放出された放射能の量を過小に評価していることです。
東電が発表している数値を更に下回っているのです。
東電の数値を用いれば、 WHOレポートの結果を何倍も上回ります。
第二の問題点は、福島県以外の地域の 健康影響を完全に無視していることです。
つまり、放射線量の極端に高い 福島県での健康状態のみを問題にし、同様にかなり汚染された食品を食べている 福島周辺の地域や
やはり汚染されている、日本中の人々は 考慮されていないのです。
そして、既に述べた通り、サンプリングされた食品の量も選択も 不十分であることが問題です。
余りにも少ない量、しかも恐らく間違った、 非常に汚染の少ないものを 選択していると思われるのです。
また、著者の間に利害相反があります。
このWHOレポートに引用されている、小児白血病の専門家は英国核燃料会社の30年来の職員なのです。 (British Nuclear Fuels)
つまり、原子力エネルギー会社で 30年間働いている原子力研究者がWHOに、放射能が子供の健康に どのような影響を及ぼすかについて説明しているのです。この事も WHO報告に対して 私達が批判している重要な事の一つです。
健康への影響に関して、 私達の調査結果をいくつか説明します。
先ずは、乳児死亡率についてです。勿論これは私達医師にとって非常に興味深い点です。
福島事故の9ヶ月後に乳児死亡率が上昇しました。図に示されている通り、原発事故の2ヵ月後に、2011年 5月と、12月の2度、 乳児死亡数が上昇しています。
今この図の上で、二つの点が見えますね。
これは2011年の5月と12月に、 乳児の死亡率が平常時よりも、増えている箇所です。
この時点で、乳児75人が多く死亡しています。重病や著しい早産の為に亡くなるような、 平常の場合に加え、更に75人という事です。
このグラフの動きは、チェルノブイリの場合と似ていて、事故後、2ヶ月後、9ヶ月後に、 乳児死亡率の上昇が現れたわけです。
これは潜伏期です。次に、放射線にさらされた時、まず考えるのは放射性ヨードによる 甲状腺ガンの可能性です。
これは甲状腺ガンの図です。2013年2月までに、福島県で18歳以下の子供達のうち、およそ15万人が、超音波検査を受けました。
その結果、約 5万人、 37% の子供たちの甲状腺に のう胞が見つかりました。
のう胞は甲状腺内の空洞を指します。 そしてこれは比較的、多い人数です。のう胞は、ただちにガンというわけではありません。
検診で目立ちますが、まだ危険な状態ではありません。
そして約1% 、1000人以上の子供たちに結節がありました.結節は、持続的に数年間 ガンに進まないかどうかを、観察する必要があります。
チェルノブイリの経験から ガン発生は2年から3年後くらいから始まり、28年後の現在にいたっても、 ガン発生率の上昇が続いています。
ですから福島の被災地の方々にも、残念ながら 同じように 甲状腺ガンの危険性が 上昇していくと思われます。
今まで述べましたように ガンは3件見つかりました。しかし、それについての細かい報告はありません。
もともと遺伝子に危険因子があったのか、 または、健康に問題があったのか、あるいは全く健康な子供に 放射線の影響によって、 甲状腺ガンが発生したのかを 知る必要があります。
非常に保守的なWHO調査では、 健康についての影響をとても甘く見ていて、甲状腺ガンになる危険性の上昇は、 男子で20%、女子で77%、と報告しています。私たちは その危険性は、もっと高いと推測しています。
というのも WHOは放射線量、食料からの内部被爆を 明らかに低く見積もっている為、実際の影響はもっと大きくなると思われるからです。
チェルノブイリの場合 10万人の甲状腺ガンが発症した内、約5万人が子供でした。そして、チェルノブイリの被災者は ヨード不足の地域に住んでいました。甲状腺ガンに対する 大きな危険性があったと言えます。福島のように 海産物を多く摂取している子供たちは ヨード不足ではありませんから、すでに多くの自然ヨードが 甲状腺内にあったはずで、 放射性ヨードを、取り込む隙間は少なかったといえます。
ですから、チェルノブイリと同じようになるとは言えず、 おそらく全く違った結果になるでしょう。
チェルノブイリ事故の後、 大変多くの 小児甲状腺ガンが発症しました。
子供の甲状腺ガンは、平常時、大変まれで、 決してと言っていいほど、発症しません。
でもチェルノブイリでは 今現在でも、 33%増加という高い小児甲状腺ガンのリスクがあるのです。
他のガンについてはどうでしょう。
もう一度、私たちが批判している、WHO報告に戻ってみると、骨や腸のガンのリスクが4%高まり、乳がんでは6%増え、白血病では7%上昇すると伝えています。
これは福島県内の、18歳以下の子供における数値です。
しかし私たちは、 危険性はもっと格段に高いと推測しています。そして福島県以外の 大変多くの人々にも、この危険は及ぶでしょう
原発から離れるほど、放射能を受ける量は減り、 危険性は減るのですが、地域は広くなり 全体の住民数は大変多くなってくるのです。
ということは、 国民全体の危険率としては低かったとしても、全人口で見てみると、 ガンの発生件数は増える訳です。
例えば、100万人の人口であれば、 ガン発症件数は多いのですが、
小さな村の中で起きた場合だったり、 福島だけに絞ると発症数は減り、危険度は少なく見えるのです。
放射線はガンだけでなく他の病気の原因にもなります。
心臓をめぐる循環器障害、動脈障害、視力障害、目も放射線によって損なわれます。
生殖機能も損なわれ、子供が出来なくなる場合もあります。。
さらに遺伝子変異により 子供や孫にまで影響を与える可能性があります。
そして、忘れてならないのは社会的心理影響です。
たとえば4歳の子供が、 これから毎年必ず 甲状腺の超音波測定を受けねばならず、甲状腺の穿刺を受けたり、ガン発症の危険性を告げられたりします。そのような不安を一生抱えて生きることは、 常に剣を突きつけられている、という事ではないでしょうか?
この社会的心理影響は無視されてはなりません。
この写真では子供たちが 福島県の学校の庭で普通に遊んでいます。しかし良く見ると、 マスクをして放射性物質の埃が 肺に入るのを防ぎ、胸には放射線測定ガラスバッチをつけねばならない、
それで毎年、どのくらいの放射能を受けたかを測るのです。
この報告を聴かれて、皆さんはこの人物のように、 かなりグロッキーになったことでしょう、
学術的な数字や事象がたくさん挙がりましたから。しかし、私は一度そういう事実を知ることは重要だと思います。
実際、学術的報告や厳しい事実があることを知って、単に原子力エネルギーに反対するのではなく、 他の人達に示して、どのように説明出来るかを考える為です。
最後に、この講演の内容からまとめて私達は個人として一人一人、何が出来るかを説明します。
こうした講演会を聴いて、圧倒されて倒れてしまわない為です。
最も大事なのは情報を集め、 現状を知り、それを理解する事です。そして、それを人に伝える事です。
情報を拡散し、分かりやすく説明する。 友達や職場で、このテーマについて話す。
このように色々な集まりで、多くの人達に知ってもらう。
より多くの人がこの問題に気付き、意識が高まり、「汚染は大したことはない、原子力エネルギーはやはり必要だ」 という様な、原子力業界の嘘言にだまされないことです。
そして次に大事なのは、そういう人に、 批判的な質問をすることです。
本当かどうか、 根拠はどこにあるか、証明させる事です。
先日福島県では 山下俊一(福島県立医大副学長)のような人が、 人々を安心させる為にやって来て、
「笑っている人には放射能はやって来ない、 年100ミリシーベルトでも安全です。」
では、その人に批判的質問をすると、
「実際には良く分からない、放射能はリスクの一つではあるが、 生活する事自身が、既にリスクなんだから、しょうがない」
などと言っています。 さらに政治家とも対峙して、 個々の問題や心配を訴えるべきです。
これは東京での脱原発のデモの写真です。
ドイツではエネルギー転換が決定されました 。 しかも2度も決定されたのです 。
それは民衆からの圧力により実現したのです。
政治家が原子力ロビーと 癒着していなかったからでもなく、 原子力ロビーが弱かったのでもありません。
民衆の圧力が非常に強くなり、 政党がこれ以上民衆の意思に逆らえないと気がついたからです。
これは大変重要です。『危険な形のエネルギーを持ちたくない!』 という民衆の意志を 政治家にぶつける事です。
政治家に私達の意志を示すことは、 日本のエネルギー転換に貢献することになるのです。
それについてこれからお話します。私は昨年の夏に初めて日本に行って 長崎から広島まで 600キロを自転車で走り、
原発事故の結果を説明して来ました。
日本は太陽に十分恵まれています。 ドイツよりずっと、風も十分に強い、それを自分の体で体験しました。 自転車で600kmも走ったのですから。そして水がたくさんあります、水力もあります。地熱もあり、実はかなり多くの自然資源があるのです。
でも日本人に質問すると 「日本にはエネルギー資源は無い」 という答えが殆どです。
それは間違っています。例えば 市庁舎や家屋の屋根に太陽電池を置き、ソーラーパネルで、自家発電している町々を見学しました。
日本人は個人が出来ることについて、 どこか懐疑的に見ているように思います。
例えば、ヨーロッパやカリフォルニア、中国などでは、地方自治体や個人の家屋が、 電気を自家発電することにより、
エネルギー自治区となっている例が、いかに多いか、エネルギー自家生産は日本でも同じように出来るのです。
ある研究によれば、日本が必要なエネルギーの 100% が再生可能エネルギーで補えるといいます。
ただ、その実現には政治的な力が必要です。 集団の強い意思が必要です。ドイツでは、個人が電力会社を変更することが出来ます。
脱原発を自分で実行するには、例えば原発電力を供給する会社から、 再生可能エネルギーだけの会社に変更するのです。
需要と供給の選択により、個人が原発から離れ、 脱原発に貢献できるのです。このような電力の自由化が、他の国でも、日本でも必要です。
「石炭、原子力、ガス発電から脱したい!」
「環境に良い水力・風力・太陽光による電力を使いたい!」 という声を集団で上げるのです。
エネルギー節約、効率改善、再生可能エネルギー、 これが三つの重要な項目です。
「もし原発が無くなると電力が足りなくなってしまう」 と言われても、それを信じてはいけません。
それはドイツでも日本でも同じです。 もちろん私たちはエネルギーを必要としています、
エネルギーを節約する必要はあります、 将来、エネルギー使用量を減らすためです。
でも原発は必要ありません、 ドイツでも日本でも同じです。
さて、この写真は如何でしょうか?ここに写っているのは、福島の子供達です。
彼らが年に1~2度、沖縄で休暇を過ごせるように 組まれたプロジェクトでの写真です。
そこでは、放射線やストレスから解放されるのです。
今だに解決されず、これからも続く汚染災害からの解放なのです。
このプロジェクトは、ドルトムント独日協会が可能にしたもので、
これによって福島の子供たちはようやく、 再び笑顔を取り戻し、砂浜を走り、
海で泳ぎ、その海で摂れた魚や貝を バーベキューで焼いて食べることが出来たのです。
マスクを付けずに自然の中で遊び、 良い空気を吸い、そして毎日、放射線測定器を付けずに学校へ通い、 原発を忘れて過ごせたのです。
この写真をもって、私の話は終わりますが、世界から原発をなくし、 核エネルギーを使わぬ世界を実現するために、
一人一人が現実的に何か出来ることを、行ないましょう! と、呼びかけているのです。 有難うございました。
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あす京都講演、夜の部は当日参加可能(昼の部は満員で当日参加不可)
【7/15(月・祝) 夜 バンダジェフスキー博士京都講演 with 木下黄太】
17:30受付開始。18:00スタート。 途中10分休憩。20:15頃終了予定。
場所:ひと・まち交流館 京都 大会議室 参加費1500円当日支払いのみ
詳細&参加申込⇒http://kokucheese.com/event/index/98253/
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