俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

死亡率100%

2010-01-26 16:43:42 | Weblog
 これは決して恐ろしい疫病についての話ではない。人間は総て死亡率100%の病に罹っている。なぜなら誰もが必ず死ぬからだ。ショーペンハウエルが指摘したとおり「人間は待たされている死刑囚」に過ぎない。
 それならば、いつ、どういう状態で死ぬことが望ましいかということを予め考慮しておく必要がある。哲学は「生を考える学問」であると同時に「死を考える学問」でもある。
 三島由紀夫氏は何かの本に「人は老化を免れないが、私はそれを認めない」と書いていた。そんな信念を持っていれば若い内に死ぬことがベストとなる。質の高い人生を理想とするなら質の低い人生は否定されざるを得ない。
 日本の法律では死亡から24時間以内でなければ死亡診断書を書けないことになっている。つまり死亡後24時間以内に医師が死亡診断書を書かなければ「不審死」として司法解剖をすることが義務付けられている。
 独り暮らしである私の場合、死亡後24時間以内に発見される可能性は極めて低い。新聞や郵便物が溜まり異臭がするということで警察が立ち入り司法解剖をするということになるだろう。しかし私としては死んでからこんな迷惑をかけたくない。そうなると何らかの病気で入院中に死ぬことがベストだろう。
 ところで死ぬまでの1ヶ月の平均医療費は112万円だそうだ。治るための112万円なら惜しくないが、苦痛を引き延ばすために112万円も使うのは全く馬鹿馬鹿しい。
 「いかに死ぬか」は人生で最後の最大級のテーマだ。自分の死に方についてはよ~く真面目に、命懸けで考えたい。

円高のデメリット

2010-01-26 16:23:52 | Weblog
 円高によって不利益を蒙るのは輸出企業だけではない。日本の雇用そのものも悪くなる。それは国内生産が海外生産に切り替えられるという形での雇用の減少だけでは済まない。
 仮にある企業がアメリカに支社を持っていて社員の月給が日米とも40万円だったとする。1ドル120円なら3,333ドルだ。それが円高で1ドル90円になれば40万円は4,444ドルになるが、勿論アメリカの支社はこんな賃上げは絶対にしない。月給3,333ドルに据え置く。つまり円換算では30万円の負担で済む。円高でアメリカ支社の人件費は25%も安くなるのだから、日本のオフィスを縮小してアメリカのオフィスを拡大することによって収支の改善を図ることになるだろう。
 このことは単に支店や営業所で起こることではない。研究開発部門や管理部門でも起こり得る。日本にある研究所を閉鎖してアメリカに研究所を移すなら、問題は雇用だけに留まらず、企業の根幹とも言える技術開発力までアメリカに移転されてしまう。
 外資系企業でも同様だ。日米の月給がともに3,000ドルだったとする。1ドル120円なら36万円だ。これが1ドル90円になれば日本法人での月給36万円を維持するためには4,000ドルが必要になる。日本法人の人件費は33.3%膨らむことになるから日本法人は規模を大幅に縮小されざるを得なくなる。
 この問題は海外に事業所を持つ大企業だけのことではない。今でも多くの企業はコールセンターを沖縄に設けている。沖縄の人件費が日本で一番安いからだ。このまま円高が進めば沖縄のコールセンターを韓国・中国・台湾などに移すということもあり得る。円高は思わぬ形での雇用の空洞化を招く。

宝くじとネズミ講

2010-01-26 15:57:55 | Weblog
 なぜネズミ講は違法で宝くじは合法なのだろうか。私にはどちらも同じくらい、いや宝くじのほうが一層悪いようにさえ思える。
 宝くじは法律に基づくから合法だ。しかしこの法律の根拠は倫理ではなく「利権」に基づく。国や自治体以外が宝くじまがいのものを売れば違法になるのはそれが「悪いこと」だからではなく、国や自治体の利権を侵害しているからに過ぎない。宝くじは胴元が必ず儲かる仕組みになっているからその利権を権力者が独占しているだけのことだ。
 宝くじの儲けの構造は本当にエゲツない。配当率は僅か50%しか無い。これほど低配当のギャンブルは他には無い。宝くじとは正に「多空くじ」だ。普通なら誰も買わないから大量のCMで購入を煽っている。ルーレットの配当率が36/37(0~36で賭けるから)であることと比べればその不当性は明らかだ。
 宝くじは何ら付加価値を生まない。集めた金を再配分するだけだ。つまり庶民の金を搾取するシステムでしかない。国営でカジノでもやったほうが、ホテルやレストランなどの付帯事業の活性化も期待できる分だけまだマシだ。
 実は日本という国ではネズミ講にも手を出している。それは「国民年金」と呼ばれている。
 企業年金の場合は本人が積み立てた資金を運営するのだから、日本航空のように無茶な運用益を約束しない限り破綻することは無い。しかし国民年金は本人の積み立てではなく、現役世代の負担によって成り立っている。従って現役世代の収入が減れば年金額も減りかねない。それを防ぐためには現役世代の収入が永遠に拡大し続けなければならない。これはネズミ講と同じ仕組みだ。
 国は国民には宝くじやネズミ講を禁じて、自らはそれを使って膨大な利益を得ている。最も儲かるギャンブルを排他的に独占しておいて、それでも赤字国債に頼らねばならないのは、年金機構のようなどうしようもないほどの放漫経営をやっているからだろう。