俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

否定者

2010-02-02 15:51:37 | Weblog
 民主党は「政権交代」をスローガンに掲げて政権を奪った。その後、検察と戦うというとんでもない主張をした。基地問題では、普天間はダメ、辺野古もダメと言う。遂には、名護市長選の選挙結果に対して「斟酌しなければならないという理由はない」という暴言まで飛び出した。つまり国の意向に沿わない地域エゴは許さないということだろうか。
 これでは「何でも反対」の社会党の二の舞になってしまう。野党の立場ならそれでも構わない。どんな政策であろうとそれは不備を伴うから、不備の部分を針小棒大に騒ぎ立てることは野党なら許される。しかし今や民主党は与党だ。与党は否定者や評論家ではなく建設的な政策実行者でなければならない。一体いつまで野党気分でいるのだろうか。このままでは自縄自縛に陥る。
 肯定は否定より遥かに難しい。肯定するためには相対立する利害を克服せねばならないが、否定するためには1つの欠点を指摘して騒ぎ立てれば事足りるからだ。
 トヨタには「代案無しに反対するな」という名言がある。肯定して実行することこそ重要なことであり、ああでもないこうでもないと駄々をこねることは政権与党の採るべき姿勢ではない。

存在と所有

2010-02-02 15:39:43 | Weblog
 自分自身であるものと、単に持っているだけのものとは次の点で明確に判別できる。
 自分自身であるものは適度に使うことによって鍛えられる。脳も筋肉も骨も内臓も使えば成長する。逆に使わなければ劣化する。
 内臓は意識して使われる訳ではないので納得しにくいかも知れないが、例えば特定の胃腸薬を使い続ければ胃は薬によって補われる酵素を分泌する機能を低下させてしまう。これも劣化の一種だ。
 一方、単に持っているだけのものは使えば傷んだり減ったりする。服や装身具は使えば傷むし、金は使えば減る。義手や義足も使い減りする。唯一の例外はプロの職人が使う道具だろう。これだけは使い込むことによって一層手に馴染むようになる。
 自分自身であるものを所有物と混同して使い惜しみをしているとどんどん駄目になる。
 当たり前のことだが所有物は自分自身ではない。大切にすべきなのは自分自身であり自分を磨くことだ。所有することばかり考えていると一番大切な自分自身のことが疎かになってしまう。

欲望と貪欲

2010-02-02 15:23:33 | Weblog
 欲望と貪欲は明確に区別されねばならない。欲望は肯定されるべきものであり、貪欲は否定されるべきものだ。つまり欲には良い正常な欲と悪い異常な欲があるということだ。仏教のように「欲一般」として否定するような考え方こそ否定されるべきだ。
 食欲、性欲、所有欲、知識欲、金銭欲などのうち正常な欲は肯定されるべきものだ。これらは生の重要な要素であり、欲望や快楽を欠いた人生など耐え難い。
 空腹を充たしたいとか美味しいものを食べたいとかいった欲望は正常なものだ。一方、一日中食べていたいとか、どんな犠牲を払ってでも美味を求めるとかいった貪欲は異常なものだ。
 生活するために必要な金を得ようとすることは正常なことだ。そのためには働かなければならない。金を得るためなら何でもするという姿勢は異常なものだ。犯罪を犯してでも金を得ようとしたり借金を踏み倒したりギャンブルで一攫千金を狙ったりすることは異常な欲だ。
 正常な欲望は、充分な睡眠が爽快感を与えるように、人を満足へと導く。一方、貪欲はいつまでも充たされることが無く、不満と枯渇感へと導く。
 資本主義は欲求喚起を是とする歪んだ社会だ。やれ新製品だ、やれ一流ブランドだと囃し立てて新しい需要を作り出そうとする。こんな偽の欲に踊らされてはならない。欲望は人生を輝かせて喜びをもたらす。これを人工的・商業主義的な貪欲と混同してはならない。