俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

桃太郎(2)

2012-02-03 15:41:24 | Weblog
 桃太郎の御伽噺は何らかの実話がモデルになっているだろう。可能性として①侵略戦争②海賊退治が挙げられる。
 ①侵略戦争
 現代の価値観に従えば検討の余地も無く悪事ということになるだろう。他国の金銀財宝を武力で奪い取るという暴挙だ。但し「他国」は3種類想定すべきだろう。朝鮮・中国などの他民族に対する侵略、沖縄のような現在では日本領になっている地域に対する侵略、戦国時代のように大名が自国領を「国」と呼んでいた時代の他国に対する侵略の3種だ。
 見逃され勝ちだが、沖縄が日本領であった時代は驚くほど短い。17世紀に薩摩藩が琉球王国を滅ぼしたあとも自治領だった。薩摩藩が貿易拠点として利用したからだ。沖縄が正式に日本領となったのは明治の廃藩置県の時だ。
 ②海賊退治
 海賊退治なら正当かとも思えるが事はそう単純ではない。国際法の無い時代の商船は、現代の中国の漁船と同様、海賊船と紙一重の違いしか無かった。商談が成立しなければしばしば戦闘になるからどの商船も武装をしていた。
 海賊そのものも現代の暴力団などと同一視すべきではない。水滸伝の梁山泊のように権力者に対抗する勢力だったかも知れないし、安土桃山時代の堺のような自治区だったとも考えられる。イギリスは海賊の力を借りたからスペインの無敵艦隊に勝てたとさえ言われている。いずれにせよ桃太郎による戦争は正当とは思えない。

済んだこと

2012-02-03 15:25:37 | Weblog
 済んだことはどうしようもない。神ならぬ人間は時間を戻すことなどできない。では済んだことは諦めるしかないのだろうか。そうではない。現在も続いている問題を解決することと、将来二度とこんなことが起こらないように対処することが必要だ。原発事故を例にするなら、現在の状況を改善することと、福島第一原発以外の原発の安全性を高めることだ。すべきことはこの2つしか無い。但し原発の安全性を高めるためにはどこでどう誤ったのかを明確にする必要がある。もし誤らなかったにも関わらずこんな事態になったのなら原発は即時全廃するしかない。
 ではどこでどう誤ったのか。事故調査・検証委員会による最終報告に期待したいが、とんでもない障壁がある。原子力災害対策本部による会議の議事録が作られていないことだ。これではどこでどう誤ったのか検証しようがない。
 メモや記憶などを頼りに遡って記録を作るということになっているがこれは全く不可解だ。私は重要な会議や打ち合わせの時には必ずボイスレコーダーか小型テープレコーダーを持参していた。100人以上が集まる会議で誰一人ボイスレコーダーを持参しないことなどあり得ない。録音はあるにも関わらず無いことにされているに違いない。これは政府の隠蔽体質を証明するものだ。
 今更、誰が何と言ったから誤ったのだという犯人探しなどしたくない。どんな議論に基づいて誤った結論が導かれたのかを解明したいだけだ。発言者名は伏せても構わない。議論内容だけでも公にすべきだ。それが将来のための教訓になる。

収入と支出

2012-02-03 15:09:48 | Weblog
 国は年金などの福祉事業費が足りないからという理由で増税をしようとしている。東電は大幅な赤字だから値上げをしようとする。こんな殿様商売のような発想をするのはお役人と電力会社だけだろう。収入が足りないからという理由で値上げをする小売店や飲食店があるだろうか。値上げをすれば客離れが起こって経営は更に悪化する。収入と支出のバランスが悪い場合に見直すべきなのは支出であって収入ではない。「入るを量りて出ずるを制す」が正論だ。
 年金が財政を圧迫しているのなら年金支給額を減額すべきだろう。先に支給額があってそれを充たすために増税をすべきではない。年金支給額が積立額に見合ったものなら財政負担は必要無い。積立額とアンバランスな大盤振る舞いをしているから不足額を税金で賄うという構造になっている。年金削減か増税かを問うべきだ。
 年金は長寿に対する保険だと思う。人は何歳まで生きられるか分らない。80歳で死ぬと予想して老後に備えた人が100歳まで生きたら20年分足りなくなる。こんなことを防ごうとすれば幾ら蓄財しても不安が伴う。これを補うのが年金の本来の姿だろう。つまり早く死んだ人は損をし、長生きした人は得をするという相互扶助で充分ではないだろうか。
 年金に対する財政負担を極小化して積立金と運用益だけで年金財政を維持すべきだ。収入(積立金)に見合った支出(年金)をすべきであり支出に見合った収入(積立金+税金)を求めるべきではない。