俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

福祉

2012-06-26 14:44:52 | Weblog
 法人税率の低い国に企業は集まる。所得税率の低い国に大金持ちは集まる。同様に福祉サービスの篤い地域に貧者は集まるだろう。では最も福祉サービスの篤い地域はどこだろう。多分、大阪市だろう。
 福祉サービスは官と民の両面を見る必要がある。
 官に注目すれば、生活保護費が最も支給され易いと言われる西成区がある。これは決して区役所の職員の怠慢のせいではない。申請が余りにも多くて処理が追い付かずに甘い審査となっているからだ。
 全国に類を見ない高齢者無料パスもある。以上の2つだけでも高齢失業者にとって充分に魅力的な土地だが、民にも注目しよう。
 大阪にはディスカウントショップが多い。価格にうるさい大阪人の嗜好に適っているからだろう。昔から簡易宿泊所も充実していたし病院も多い。
 鉄道網も魅力だ。田舎に住んでいれば移動のために自動車が欠かせないが大阪市内にはJR・私鉄・市営地下鉄が揃っているので公共交通は至便だ。
 これだけ条件が揃っていれば日本中から貧しい人が集まるのは当然だろう。大阪府の生活保護受給者が日本一多いのは官と民が福祉サービスを充実させたからだ。福祉を充実させたことが好ましからざる住民を増やしたとは皮肉な話だ。

中絶と犯罪

2012-06-26 14:30:49 | Weblog
 1990年代にアメリカでは若年層による犯罪が激減した。その理由として厳罰化の効果や景気の回復などが挙げられることが多い。
 ところがスティーヴン・レヴィットという経済学者が統計資料に基づいて思わぬ説を発表して全米を驚かせた。それは「1973年に人工妊娠中絶が事実上合法化されたから」という内容だった。
 トンデモ学説と思われるかも知れないが私は妙に納得する。どんな胎児の中絶が許されるようになったかを考えれば充分にあり得る話だ。キリスト教的モラルが支配するアメリカでは中絶が厳禁されていた。つまり強姦による妊娠であろうと中学生の妊娠であろうと極貧家庭であろうとあるいは重い先天性異常が見つかっていようとも中絶は許されなかった。これでは母子共に不幸になる。
 強姦による出産なら母子関係は二重・三重に歪む。憎むべき強姦犯との「愛の結晶」を愛して育てられるだろうか。
 中学生なら子ではなく弟か妹として育てられるだろう。しかし嘘に基づく家族関係は歪み易い。
 極貧家庭にとって子供は穀潰しに過ぎない。栄養も教養も不充分なまま育てられる。
 こういった望まれない出産が歪んだ子供を育てる可能性はかなり高い。社会における因果関係は複雑であり意外な因果があり得る。

早期治療

2012-06-26 14:14:42 | Weblog
 癌は早期発見・早期治療をすれば治療できると言われている。それならなぜ癌が1982年に日本人の死亡原因のトップになり、その後もシェアを拡大し続けているのだろうか。寿命が伸びたからと説明されることが多い。つまり癌は基本的には老人病であり、若い間に他の病気で死ぬことが少なくなったから老人病の癌が死因の1位になったという理屈だ。
 もしかしたら癌は全く克服されていないのではないかという疑問を持つ。早期治療が成功したとされるのは実は良性腫瘍だったからに過ぎず、これは治療しなくても自然治癒していたかも知れない。一方、悪性腫瘍(癌)の場合は早期に発見しても殆んどが既に転移していて治療不可能な状態になっているのではないだろうか。
 悪性と良性の区別は専門医にも難しいらしい。8人の専門医に33の検査標本を見せたところ、5つは全員が癌と判定し、6つは全員が癌でないとし、残りの22標本(66.7%)については意見が分かれたそうだ。結局、転移が見つかったら癌であり転移が無かったら良性腫瘍ということだろう。
 癌の治療は手術か放射線か抗癌剤しかない。しかし困ったことにどの治療方法にも発癌性がある。それどころか癌の検査方法であるレントゲンやCTも放射線を使うので発癌性がある。もしかしたら良性腫瘍の人が検査や治療を受けたために本当の癌になってしまったというケースもあるのではないだろうか。