俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

水に落ちた犬

2013-11-14 10:44:13 | Weblog
 中国には「水に落ちた犬を打て(打落水狗)」という諺があるらしいが、最近のマスコミの報道姿勢を見ているとこの諺を思い出さずにはいられない。
 痛感するようになったのはJR北海道の報道からだ。そのあと島民を避難させなかった伊豆大島町長、そして食品偽装へと続く。悪の権化を攻撃してマスコミは正義の味方気取りだが弱い者いじめでしかない。反論できない弱い立場の者を寄って集っていたぶっているだけだ。その余りの醜さに反発して世論とは逆の記事を何度か書いてしまった。
 特に目に余ったのはJR北海道の時だ。勿論、人命を預かる鉄道会社が安全性を蔑ろにして良い訳ではない。しかし金も人材も施設も乏しく経営環境が劣悪な企業を袋叩きにしてどんなメリットがあるのだろうか。経営陣を総入れ替えしても全く無駄だ。金と人を何とかしない限り会社を潰す以外に選択肢は無かろう。それともこんなポンコツ企業を再生できるスーパー経営者が現れるとでも思っているのだろうか。そんな「プロジェクトX」のような夢物語などあり得ない。
 泥棒にも三分の道理と言われているが、不祥事を起こした側にも事情がある。元々、北海道での鉄道事業で利益が出ないことなど初めから分かっていた。企業としての収益性が求められれば、運営すればするほど赤字が膨らむ鉄道以外の駅ビルなどの事業を拡大せざるを得ない。そうすればますます本業が疎かになる。これでは八方塞だ。
 米の偽装をした三瀧商事は廃業した。こんな企業は跡形も無く消え失せても構わないがJR北海道はそうではない。北海道に電車が無くなって困るのは地元住民と国民だ。我々は中国人とは違って「思いやり」や「労わり」の心を持つべきではないだろうか。JR北海道に対してすべきことは非難ではなく支援だろう。攻撃すべき対象は100%出資者の政府であって政府に対して改善を求めるべきだ。政府に株主責任を果たさせるべきだ。JR北海道をトカゲの尻尾にさせてはならない。

風邪薬

2013-11-14 09:44:21 | Weblog
 薬が毒物であることは私の持論だ。薬学の教科書には必ず「副作用の無い薬は無い」と書かれているそうだ。その毒物の中でも最悪なのが風邪薬だ。不快な症状を緩和するだけの典型的な対症療法薬でありながらあたかも治療効果があるかのように宣伝している。治療効果も無いのに副作用だけがある薬なら薬ではなくただの毒物だろう。こんな物を売ることは犯罪的行為であり製薬会社とマスコミは共同正犯だ。
 昨日(13日)の毎日新聞の朝刊にはこんな記事があった。「市販薬による副作用は毎年250症例ほど報告があり、2007年度から11年度までに24人が死亡している。最も死者が多かったのは総合感冒薬(かぜ薬)の12人だった。」こんな文面が薬のネット販売問題の記事の中にサラッと紛れ込んでいた。私は呆れることを通り越して絶望感を覚えた。
 少なくとも毎日新聞はこの事実を知りながら無視していたと思える。もし新たに知ったなら大ニュースになる。総合感冒薬による死者は厚生労働省に報告があっただけでこの5年間に12人もいる。報告されなかった死者あるいは副作用ではなく風邪による死亡とされた人も含めればこの数倍か数十倍になるだろう。
 マスコミは子宮頸癌ワクチンによる副作用が数百件あったと騒ぐ。しかし私が知っている範囲では死亡例は未だ無い。こんな「軽微な」副作用を騒ぎ立てるのになぜ風邪薬の薬害については沈黙を守るのだろうか。私はマスコミの良心を疑う。巨大な薬市場の中で最大のものが風邪薬市場だ。派手に宣伝をするスポンサー様のご機嫌を損なわないために報道を自粛しているのなら許されないことだ。一体どれだけ鼻薬を嗅がされているのだろうか。
 製薬会社もマスコミも利益のためなら人命をも軽視する利潤至上主義の企業だ。偽装表示の飲食店よりも遥かに悪質だ。こんな連中には騙されず、風邪は安静・睡眠と栄養と体を温めることで治そう。薬は緊急時の一時凌ぎ以外においてはただの毒でしかない。
※コメント欄に毎日新聞の記事を添付しています。