ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

ミネット・ウォルターズ『火口箱』

2014-03-23 19:56:58 | 本の紹介
成川裕子訳。創元推理文庫。
他に『養鶏場の殺人』を収録。

1998年6月、イギリスの片田舎、ソウアーブリッジで、93歳の老女と住み込みの看護師が殺され、近所に住むアイルランド人の35歳の男性が逮捕されたと報道する新聞記事から物語は始まる。
小さな閉鎖的な村で起こった事件。アイルランド人の犯人の家人を快く思わなかった隣人はじめ村人たちは、犯人の家につめかけ・・・やがて家は放火される・・・そうして真犯人として逮捕されたのは・・・

人は自分の見たいように見て、ストーリーを作りたがる。

たとえば、身体を鍛え、体格のいい男気のある男が実は気が小さかったり、自信ありげにふるまっていた者が自分に自信がなかったり。
ばかだと思われていた者がずる賢かったり。
一般的に人はうわべを見てそのイメージでその人を判断しがち。
また意図してそういうイメージに見られるようにふるまい、邪悪な心を内面に隠していたら・・・判断を誤ってしまう。
そんなことを考えさせられるミステリーでした。


ちなみに、火口箱(ほくちばこ)tindebox・・・火をつけるための道具一式が入った箱。

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