ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

ホラー『残穢』

2015-08-26 13:59:12 | 本の紹介
by小野不由美。新潮文庫。

作家のノンフィクションの手記のような形で書かれていて、実にリアルで怖い。
物語はホラー収集家で作家の『私』のもとに久保さんという女性ライターから手紙が届く。

久保さんが最近引っ越したマンションで怪奇現象が起こるというもの。
独身の彼女は自宅ではリビングでパソコンに向かって仕事をすることが多いが。
引っ越して落ち着いた頃、背後の和室で畳の上を何かを引きずる音がする。
そして何かがいるという気配がするとのこと。彼女といっしょに調べていくと・・・

時代をさかのぼり、マンションの土地がどのように変化していったか、そこに住んでいた人の
消息や暮らしぶり、どのようないきさつで亡くなったり、またその土地から引っ越しして他人の手に
渡ったか、事件や事故などがあらわになって・・・

日本には、死穢・・・死によって穢れという概念が存在するという考え方があり・・・
また死穢は伝播する。その感染の仕方が独特で・・・
たとえばAという家で死人が出ると、その家に行った人が穢れに感染し、その感染を自分のうちに持ち帰り、
Aの家の者はすべて感染。また感染しているAの家に行ったBも感染。しかしBが家に帰っても家の者は
感染しないとかの独特の感染の仕方がある。死穢の場合は一定の期間、喪に服すことによって
消滅するが。

恨みを伴う祟りなども感染し、独特のしかたで伝播するのだという。

調べるうちに高度成長期から昭和、大正、明治をさかのぼると・・・
その土地は・・・

この小説は残った穢れと書いて、『残穢』
日本の誰でも住んでいるどの土地にも浄化しない穢れがあるのでは・・・と考えると怖い。



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