越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

書評 中村文則『王国』(6)

2012年02月21日 | 書評

 「わたし」は、月の宴の夢を見る。

 その夢の中で、女性たちが支配する乱交がおこなわれている。

 ギリシアの娼婦フリュネ、血と肉を欲した残虐なハンガリーの貴族のエリザベートや

 アンゴラの女王ジンガなどが出てくる。

 月が近づき、誰かが「わたし」にお告げをささやく。

 「お前の中に」と。

 そのお告げは、のちに「わたし」が木崎によって殺されかけたとき、

 木崎の子を「お前の中に」宿せ、そして木崎を殺せ、

 という内なるマゾヒズムの声となって再生する。

(つづく)

 

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