紀元後、シリア、パレスティナ、エジプト、
小アジアあたりから中央・東アジアまでをカヴァーしたその思想は、
教団としては、いまイラン、イラクのマンダ教を遺すのみとなっているようだが、
クルト・ルドルフによれば、
グノーシスに特徴的なのは、
みずからの救済論を他のオリエントの土着の宗教の中に溶け込ますことをためらわない、
宗教的なシンクレティズム(混淆)だという。
木崎の思考の中に奇妙にも溶け込んだグノーシス救済論は、
「わたし」の次のような言葉につながる。
「この窒息しそうな世界で、もがいている全ての人達に対して、
何かできないだろうか・・・翔太のような子供の運命を裏切る、わたしらしい何か」
(つづく)