軍と警察は、2回目の逮捕状の執行の際には警護に協力しない方針を明らかにした。逮捕状の執行に抵抗することに正当性がないことをよく知っているからだ。

2025-01-12 17:27:26 | 韓国を知ろう
 

【社説】

国と国民に対する最小限の道理だ、尹錫悦は自首せよ

登録:2025-01-11 04:16 修正:2025-01-11 14:48
 
 
パク・チョンジュン警護処長が10日午前、ソウル市西大門区の国家捜査本部に出頭している=チョン・ヨンイル記者//ハンギョレ新聞社

 パク・チョンジュン警護処長が10日、警察に出頭し、「現職大統領の身分にふさわしい捜査手続きが進められるべきだと考える。現在のような逮捕状の執行手続きではない」と述べた。これは、尹錫悦大統領にそのまま返すべき言葉だ。12・3内乱の重要任務に従事した軍と警察の首脳陣が相次いで拘束起訴されているにもかかわらず、内乱の首魁の疑いをかけられている尹大統領だけが捜査を拒否している。現職大統領の身分にまったくそぐわない法治を無視する態度だ。大統領官邸に鉄条網を張り巡らせ、法執行機関を拒否する現実は、国の信用を傷つけ、経済と民生を苦境に追い込んでいる。国と国民に対する最小限の道理をつくすためには、この状況を終わらせ、自ら進んで調査を受けなければならない。

 尹大統領の弁護団のユン・ガプクン弁護士は、前日の外国メディア向け記者懇談会で、12・3非常戒厳について「失敗ではなく、平和的な戒厳」だと述べた。「平和的な戒厳」とは、まともな精神状態なのかどうか疑わしく、言語道断だ。戒厳は本来、戦時や事変などの非常事態に宣言できるものであるにもかかわらず、今回の戒厳はそのような要件を満たしておらず、平和状態を破壊した暴動だった。したがって、違憲・違法的な戒厳であり内乱なのだ。ユン弁護士はまた、「(尹大統領は)意図した非常戒厳宣言の目的が達成されないのではないかと心配しているが、これも一つの歴史として大韓民国の発展のきっかけになるように願っている」と述べた。閉口させられる詭弁だが、尹大統領が今でも正当な戒厳だと思っているのであれば、捜査に応じて自身の立場を述べることが堂々としたふるまいだといえる。口では正当性を主張しながらも、内心では自分がいかに大きな犯罪をしたのか分かっているにもかかわらず、処罰を受けることが恐ろしくて隠れているのではないか。

 軍と警察は、2回目の逮捕状の執行の際には警護に協力しない方針を明らかにした。逮捕状の執行に抵抗することに正当性がないことをよく知っているからだ。いまや尹大統領側に立っているのは警護処だけだが、その内部でも動揺が激しいといわれている。パク・チョンジュン警護処長がこの日警察に出頭したのも、同じ脈絡で読み取れる。パク処長はまた、この日警察に出頭して辞職願を提出し、チェ・サンモク大統領権限代行が受理した。もはや逮捕状の実行を防ぐことは不可能だとみて、事実上、これ以上の抵抗を「放棄」したのだ。警察は特殊公務執行妨害とともに、内乱罪の疑いをかけられているパク警護処長を調査した後、拘束手続きを踏むと予想される。警護処内のいわゆる「キム・ヨンヒョン‐キム・ゴンヒ派」の一部幹部を除けば、大多数は不法な「尹錫悦擁護」に疑念を持っているといわれている。名誉と誇りで仕事をしてきた警護処の職員たちが一瞬にして法律違反者に転落しているのだから、それも当然だ。尹大統領が彼らの人生を台無しにしてまで自分の安全だけを考えるのであれば、これまで大統領の警護に情熱を注いできた人たちに対する最小限の人間的道理さえ踏みにじる、卑劣で見苦しいふるまいだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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尹錫悦大統領を擁護している者たちに問いたい。あなたがたは戒厳を、内乱を、尹錫悦を擁護して、数十年前の韓国に戻りたいのか。あなたがたはどのような国に住みたいのか。民主共和国か、それとも独裁共和国か。

2025-01-12 10:11:30 | 韓国を知ろう
 

尹錫悦の擁護者たちに問う【寄稿】

登録:2025-01-10 23:56 修正:2025-01-11 14:57
 
尹錫悦大統領は就任後、事あるごとに「自由民主主義」を語り、それを脅かしている「反国家勢力」から大韓民国を守らなければならないと主張してきた。しかし、彼は自由民主主義がどのようなものなのかがよく分かっていなかった。彼は「反共反北朝鮮」を自由民主主義だと考えていたようだ。…尹錫悦大統領を擁護している者たちに問いたい。あなたがたは戒厳を、内乱を、尹錫悦を擁護して、数十年前の韓国に戻りたいのか。 
 
パク・チャンスン|漢陽大学史学科名誉教授
 
 
尹錫悦大統領の逮捕令状の有効期間満了日の今月6日午前、ソウル龍山区漢南洞の大統領官邸前の漢南大路で、尹錫悦大統領の支持者たちがスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 大韓民国の国民であれば誰もが知っている。憲法第1条第1項「大韓民国は民主共和国だ」という文言を。しかし大韓民国が名実共に「民主共和国」となったのは、1987年の6月抗争で第6共和国が成立してからだ。それより前の第1共和国から第5共和国までは、実は民主共和国ではなく「独裁共和国」だった。李承晩(イ・スンマン)の民間独裁、朴正熙(パク・チョンヒ)と全斗煥(チョン・ドゥファン)の軍部独裁が続いたことで、韓国は「民主共和国」とはかけ離れた国だった。幸いなことに、1987年の6月抗争以降、大韓民国は漸進的な民主化の過程を経て、民主共和国へと一歩一歩前進してきた。

 ところが、2024年12月3日夜、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領による突然の非常戒厳宣布で、民主共和国はあっという間に危機に直面した。思いもよらないことだった。幸い国会の迅速な戒厳解除決議によって民主共和国の歴史の断絶は免れ、国民の烈火のような要求で大統領尹錫悦の弾劾訴追案も国会で可決され、憲法裁判所に付された。また、戒厳の準備と実行の過程にかかわった軍の将官たちも検察に逮捕され、取り調べを受けている。ひとまず、尹大統領の時代錯誤的な親衛クーデターは失敗に終わったとみられる。

 戒厳宣布の主役である尹大統領は、内乱容疑で裁判所が発行した逮捕状を拒否し、警護処の人員を盾に大統領官邸に籠城している。彼の逮捕状の拒否は大韓民国の法治主義を全面否定したもので、戒厳宣布に続きまたしても国民に衝撃を与えた。彼はまた、極右のユーチューバーとデモ隊に自分は最後まで闘うというメッセージを送り、自身を応援してくれるよう要請した。これに対し極右デモ隊は、尹大統領の戒厳宣布は内乱ではなく、国の危機を克服するためのものだったとして彼を擁護しており、与党「国民の力」の議員の一部もこれに同調している。

 尹大統領は就任後、事あるごとに「自由民主主義」を語り、それを脅かしている「反国家勢力」から大韓民国を守らなければならないと主張してきた。しかし、彼は自由民主主義がどのようなものなのかがよく分かっていなかった。彼は「反共反北朝鮮」を自由民主主義だと考えていたようだ。自由民主主義とは何か。自由民主主義は英語で「リベラルデモクラシー(liberal democracy)」と言い、西欧式の民主主義制度を指す。西欧式民主主義は主権在民、三権分立、権力のけん制と均衡、代議(議会)制民主主義、複数政党制、多数決、言論・出版・集会・結社の自由の重視、人権の重視、法治主義などを原理とする。大韓民国は1987年以降、そのような民主主義を実現するためにたゆまず努力してきた。その結果、アジアで最も模範的な民主主義国として称賛されてきた。

 ところが、12月3日の戒厳宣布の際に出された布告令では、国会と政党の政治活動の禁止、言論・出版に対する検閲、集会・デモの禁止などが語られていた。そして尹大統領は軍人たちに、国会に突入して国会議員たちを引きずり出して戒厳解除決議を防ぎ、主要な政治家を逮捕しろと指示していたという。また国会の解散、全斗煥の国家保衛立法会議のようなものを構想していたような痕跡もある。彼の戒厳宣布は、「自由民主主義」と決別して独裁の時代に戻ると宣言したも同然だった。彼は「民主共和国」を倒し、「独裁共和国」を打ち建てようとしたのだ。彼の戒厳宣布と布告令発布は、一言で言って「民主共和国」に対する真っ向からの挑戦だった。そして、具体的には憲法機関である国会の機能を停止させようとしたものであるため、刑法上の「内乱罪」に当たるものだった。戒厳時、戒厳軍が国会を侵奪する場面を全国民がテレビで目撃した。

 戒厳時、一部の市民は、民主共和国が危機に直面していることを直感し、直ちに国会に駆けつけ、戒厳軍の国会への侵入を身を挺して阻止した。また国会の建物内に侵入した一部の戒厳軍も、決死の覚悟の国会職員に廊下で阻まれると、それ以上無理することなく自制し、本会議場まで入ることはなかった。その結果、速やかに国会に集結した国会議員たちは、本会議場で戒厳解除要求決議案を可決することができた。真夜中に国会に駆けつけた市民、国会職員、国会議員が、危機に直面した民主共和国を辛うじて救ったのだ。1987年以来蓄積されてきた韓国市民の民主主義の力量は、決して小さいものではなかった。そして、民主主義を守るという国民の熱意は一挙に爆発し、汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前への百万人を超える群衆の集結として表れた。そして国会も国民の意を受け、12月14日に大統領尹錫悦の弾劾訴追案を可決した。それによって大韓民国は、民主主義の危機から半分は脱した。

 しかし、与党「国民の力」の議員の多くは弾劾訴追案の採決で反対票を投じた。その後も、戒厳は内乱ではないとして尹大統領を擁護するような態度を取っており、憲法裁判所の判決を遅らせようとしている。数日前には、40人あまりの与党議員が大統領官邸前で高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による尹大統領の逮捕状執行に反対する意思を表明した。彼らは今、大韓民国の民主主義を守ることではなく、何とか政権を守ることの方に関心があるようだ。

 1987年の民主化以降、韓国は目を見張るほどの経済成長を遂げて1人当たりの国民所得は3万ドルを超え、世界10大経済大国の水準に到達することができた。歌謡、ドラマ、映画などで韓流ブームを巻き起こし、韓国は世界の中の文化先進国としての地位を獲得しつつある。最近はハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞したことで、韓国の文化水準の高さが改めて確認された。社会的にも、韓国は比較的中産層が厚く、教育水準も高く、治安も安定した社会を維持してきた。問題がないわけではないが、韓国がこのように経済、社会、文化のあらゆる面で比較的安定し、また飛躍的な発展を遂げることができたのは、政治の民主化がそれを後押ししてくれたおかげだ。民主主義の原理はいつしか経済、社会、文化などのあらゆる部門に浸透し、韓国は自由で民主化された先進国の仲間入りを果たしていたのだ。

 
 
                                                                   //ハンギョレ新聞社

 なのに、だしぬけに戒厳令とは! 時代錯誤にしてもこのような時代錯誤はありえない。民主共和国を破壊して独裁共和国に戻るということは、韓国国民が数十年かけて築いてきたあらゆるものを一気に崩壊させるということと同じだ。いま尹錫悦大統領を擁護している者たちに問いたい。あなたがたは戒厳を、内乱を、尹錫悦を擁護して、数十年前の韓国に戻りたいのか。あなたがたはどのような国に住みたいのか。民主共和国か、それとも独裁共和国か。

 
//ハンギョレ新聞社

パク・チャンスン|漢陽大学史学科名誉教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1177245.html韓国語原文入力:2025-01-10 07:00
訳D.K
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