国情院「北朝鮮-中国間の列車、11月に再開の可能性」…
「金正恩影武者説」は一蹴
コロナ禍の長期化で途絶えていた北朝鮮の新義州(シンウィジュ)と中国の丹東間の列車運行が、11月に再開される可能性があると、国家情報院(国情院)が国政監査で明らかにした。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最近20キロ減量したが、健康には問題がなく、「金正恩主義」という用語も初めて登場したことも報告された。
国会情報委員会は28日、ソウル内谷洞(ネゴクドン)の国情院庁舎で非公開で行われた国政監査で、北朝鮮の動向について報告を受けた。国民の力の情報委幹事のハ・テギョン議員はブリーフィングで、「丹東-新義州間の列車運行が11月に再開される可能性がある。中国・ロシアと運行計画を協議している」と伝えた。また、今年7月から緊急物資を搬入するための船舶の運航が増え、8月からは医療防疫物資の搬入を一部許可していると、国情院は報告した。ハ議員は「コロナ防疫のために搬入物資が一定期間北朝鮮の港に滞積し、現在唯一の朝中間の貿易通路であり最大貿易港が飽和状態になっているため、平安北道の龍川(ヨンチョン)港の開放に向けた動きがみられる」と伝えた。
中国との貿易が減り、経済難が深刻化したことを受け、北朝鮮も新型コロナウイルス感染症の防疫のため、これ以上封鎖を維持できなくなったものとみられる。ハ議員は「今年9月までの朝中貿易額は1億8500万ドルで、前年同期に比べ3分の1水準に減少した。9月の貿易量も2019年同期の29%にすぎない」とし、「物価が依然として高く、経済管理にも支障をきたしている」と明らかにした。国情院の報告によると、造幣用紙と特殊インクの輸入が困難で、北朝鮮中央銀行は臨時貨幣を製造している。また、必須薬品が底をつき、消毒薬が不足して腸チフスなど水因性伝染病が拡散しており、食糧難も続いていることを受け、金正恩委員長は「薄氷の上を歩いている心情」だとし「一粒も残さず確保せよ。ご飯を食べる者は全員農村支援に出るように」と指示したという。
最近急激に体重が減り、「影武者説」まで浮上した金委員長の健康については、異常はないと国情院は判断した。また、政権に就いて10年を迎え、一部の党会議場の背景から金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の写真が消え、「金正恩主義」という用語が使われ始めた。国情院はこれについて、「独自の思想体系を確立しようとする動き」だと説明した。また、金委員長の妹のキム・ヨジョン労働党副部長が先月国務委員に任命されたのは「地位にふさわしい肩書が与えられたもの」だとし、「外交・安全保障を総括する枠割を果たしている」と報告した。
2018年末に稼動が中止された寧辺(ヨンビョン)の5メガワット原子炉が、最近再稼働している動きも捉えた。共に民主党幹事のキム・ビョンギ議員は「寧辺の再処理施設は今年2月から7月の間に稼動の兆しが見られたが、同じ期間中に核燃料棒再処理作業が進められた可能性がある」とし、「これはプルトニウムを追加で確保して核能力を強化し、寧辺が戦略的価値があるという事実を浮き彫りにするための布石だと(国情院は)判断している」と伝えた。
一方、パク・チウォン国情院長は、検察の「告発教唆」に関する告発に関与したという疑惑について、「最近、政界で私の名前が取り沙汰されており、理由の如何によらず申し訳なく思っている。国民にお詫び申し上げる」と述べたと、ハ議員は伝えた。