脳の血管に入り込んだマイクロプラスチックが、血液の流れを阻害するなどして、血栓として作用できる可能性を示している。血流を妨害したり詰まらせたりして、運動・認知能力を損なう可能性

2025-01-28 19:44:14 | 問題がないは、大問題

脳血管に蓄積したマイクロプラスチック、

血栓になり認知・運動能力に悪影響

登録:2025-01-27 05:54 修正:2025-01-28 07:38
 
中国北京師範大学の研究チームがマウスを対象に実験 
マイクロプラスチック注入後、脳灌流圧が低下
 
 
昨年9月24日米国サンフランシスコに捨てられたプラスチックのゴミ=サンフランシスコ/AFP・聯合ニュース

 人間が作った各種のプラスチックが5ミリメートル以下に細かく砕かれたマイクロプラスチックは、大気から深海、南極の氷に至るまで、地球の各所で広範囲に発見される。今では人体からも検出されるが、科学者たちはマイクロプラスチックが人体にどのような影響を与えるのかについては、まだ正確には説明できずにいる。日々発表される関連論文は、これに対する不安と懸念を含んでいる。

 最近公開された研究結果は、脳の血管に入り込んだマイクロプラスチックが、血液の流れを阻害するなどして、血栓として作用できる可能性を示している。血流を妨害したり詰まらせたりして、運動・認知能力を損なう可能性がある。

 
プラスチックが細かく砕かれたマイクロプラスチックは、人体の各所、特に脳で多く検出されている=ゲッティイメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 中国北京師範大学に所属の黄蔚(Wei Huang)研究員とその共同研究者は最近、科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に、マウスに注入したマイクロプラスチックがどのように動くのかを蛍光画像で観察した結果を論文に発表した。研究チームは、蛍光で表示したマイクロプラスチック粒子をマウスに注入し、脳の血管を映像化して蛍光画像を読み取る手法で、これを観察した。その結果、口から投与した場合は2~3時間後に、注射を通じて直接血流に注入した場合は10分以内に、脳の血管からマイクロプラスチックを発見することができた。

 この過程で研究チームは、マイクロプラスチックが、病原菌を摂取して破壊する免疫システムの一環である「食細胞作用」を通じて、好中球や大食細胞(マクロファージ)などによって吸収されることを発見した。ただし、マイクロプラスチックは破壊されないため、これを摂取した細胞は血管に絡みつき血栓となり、少なくとも1週間以上は残り、血流を阻害することが明らかになった。脳血管灌流圧は、マイクロプラスチック注入の10~30分後から明確に低下し、この現象は特に細い血管であるほど顕著だった。マイクロプラスチックによる血流が詰まる現象は7日ほど続き、28日後にはある程度回復したが、以前ほどの水準ではなかった。

 
 
中国北京師範大学の研究チームによる実験の結果、マイクロプラスチックを注入したマウスの脳に血栓が生じて血流が減少することが明らかになった=論文より//ハンギョレ新聞社

 研究チームは、このようにしてマイクロプラスチックが起こした血栓塞栓症が「脳組織での血液供給を不足させ、マウスの神経・認知活動に障害を起こした」ことを明らかにした。マイクロプラスチックを注入したマウスが、迷路で道を探す記憶力テスト、棒にぶら下がるなどの運動力テストなどで、明らかに低い能力を示したということだ。研究チームは、今回の研究はマイクロプラスチックが血管の閉塞に及ぼす影響を示したとして、このような障害が「心血管の健康に害をもたらす結果を招く可能性が高く、特に心筋梗塞に類似する基礎疾患がある患者にとっては、さらに深刻な副作用を招くことになる」と明らかにした。ただし、人間とマウスでは、免疫システムや心血管と脳血管の循環システムがそれぞれ違うため、今回の研究を直接人間に適用することにはできず、今後、さらなる研究が必要だと付け加えた。黄蔚研究員は自身の共同研究者が、マウスの心臓と肝臓でも脳と同様の現象を観察したが、現時点ではその研究結果は公開されていないことを明らかにした。

 昨年12月に韓国の研究チームは、韓国の成人10人中9人の血液の中から、平均粒子サイズが20~50マイクロメートルのマイクロプラスチックが、1ミリリットルあたり4.2個のレベルで検出されたという研究結果を発表した。これに先立ち昨年9月には、米国ニューメキシコ大学の研究チームは、8年間に92体の遺体を研究した結果、すべての臓器にマイクロプラスチックが蓄積されており、特に脳では、肝臓や腎臓などの他の臓器に比べ7~30倍多く検出されたという研究結果を発表したことがある。

チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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