韓国司法「ベトナム民間人虐殺」
賠償責任初めて認める…「韓国軍が銃殺」
事件発生から55年「原告勝訴」判決
ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺の被害者が、韓国政府を相手取って起こした国家賠償訴訟の一審で勝訴した。事件発生から55年にして初めて「加害国韓国」に対し、被害を受けたベトナム人に法的責任を取るよう命ずる判断が出たのだ。
ソウル中央地裁民事68単独のパク・チンス部長判事は7日、ベトナム人のグエン・ティ・タンさん(63)が韓国政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告勝訴の判決を下した。判決は「被告大韓民国は原告に3000万100ウォン(約312万円)と、これに対する遅延損害金を支給せよ」というもの。裁判所は、被害の程度と賠償が遅れた事情などを考慮して慰謝料を4000万ウォン(約416万円)と定めたが、原告の請求金額が3000万100ウォンであったため、その金額の範囲で賠償責任を認めた。
裁判所はベトナム戦争参戦軍人、当時の民兵らの証言、グエンさん側が提出した証拠などをもとに原告側の主張をほぼ事実と認めた。裁判所は「大韓民国海兵第2旅団第1中隊(青龍部隊)所属の軍人たちが、1号作戦を遂行中に原告の家族に銃撃を加えた事実、原告の母親を他の人々と共に1カ所に強制的に集め、銃で射殺した事実が認められる」とし「このような行為は明白な違法行為に当たり、原告には賠償請求権が認められる。被告大韓民国の消滅時効抗弁は権利の乱用に当たる」と判決理由を説明した。
グエン・ティ・タンさんは8歳だった1968年2月、ベトナムのクアンナム省ディエンバン市ディエンアン区フォンニィ・フォンニャット村の自宅周辺で、韓国軍青龍部隊所属の兵士たちに左脇腹を撃たれて重傷を負い、手術で一命はとりとめたものの、今に至るまで後遺症に苦しんでいる。事件で家族5人が命を奪われ、14歳の兄は大けがをした。グエン・ティ・タンさんは「韓国政府が民間人虐殺を認めることのみが、被害者の苦しみを和らげることができる。私をはじめとする多くの被害者の名誉が回復されることを願う」として、2020年4月に韓国政府を相手取って訴訟を起こした。
ベトナムにとどまっているグエンさんは判決直後、弁護団から電話で連絡を受け、「私が話したことを全て真実だと認めてくれた裁判所に感謝する。そして今まで私と共に闘ってくれた弁護団と韓国の仲間たち、市民のみなさまに感謝の言葉を申し上げたい。本当に嬉しい」と話した。弁護団のイム・ジェソン弁護士は「本日の判決は、韓国の司法府がベトナム戦争当時にこのような不法行為があり、大韓民国政府は法的責任を取らなければならないということを初めて確認したという点に、大きな意味がある」と語った。
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