尾崎の代表作として、ILoveYouとか15の夜とかいろいろあるが、一番好きなのが街路樹だ。
歌詞は前後のつながりがなく意味不明である。
しかし、真摯に何かを希求している真っ直ぐな魂がビシバシ伝わってくる。
この歌を聴いていて、村上龍の小説でトパーズという小説を思い出してしまった。
主人公は風俗嬢だ。
彼女は自分が汚れてしまって、誰からも愛されないと思っている。
しかし、こころは誰かに愛されたいと叫び、それを祈っている。
また、罪を犯した人間が、もう自分は誰からも許されないと感じている。
しかし、自分の犯した罪を償おうと心から祈っている。
この純粋な気持ちは、罪深い人間のほうが持っている。
これが悪人正機説のモチーフである。
どんなに汚れて罪深い人間も、心から何かを希求するその祈りは純粋無垢なきれいなものだ。
このような者たちを救おうとするのが、真の意味での宗教だろう。
この街路樹はそのような真っ直ぐな魂の叫びを表現しているような気がする。
その意味でこの歌は宗教的な側面をそなえている。
なかなかすごい歌だと思う。文句なしの傑作だ。