自分の伝えたいことを誤解されないように書こうとすると、どうしても説明が長くなり冗長になる。
できるだけ削って文章をシンプルにすれば、自分の意図した内容と違う意味で受け取られることがある。
オッカムの剃刀という原則がある。
「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くの論理を仮定するべきでない」というものである。
これは、できるだけシンプルに削っていくほうが物事の本質に近づくという立場だといえる。
ただ、シンプルに分かりやすいものが、すべていいとは思わない。人間は分かってしまうと興味がなくなるからである。
分かりそうで分からないもの、かつ、何か大切な事をいっているような感じのある文章、こういうものが再読される文章だと思う。
カフカの短編もそうだ。いってることはさっぱり分からないのだが、ついつい再読してしまう。
美しい文章はシンプルなものが多い。しかし、必ずしも分かりやすいわけではない。
受け取り側の多様な解釈を誘発するような挑戦的な構造をしている。そのような文章が時代を超えて再読されるものなのかもしれない。