どこにも心を置かぬこと。
そうすれば心は我が身全体に行き渡り、全体にのび広がっているから、手が必要なときには手の働きを、足が必要なときは足の働きを、目が必要なときには目の働きをかなえ、その必要なところにすべて行き渡っているので、必要に応じて働きをかなえることができる。
もし、一つ所に定めて置くなら、そこに心を取られて働きが欠ける。
置き所を思案すればその思案しているところに取られるから、思案も分別も残さず全身に心を投げ捨てて置き、どこにも心を止めず、その所々で働きをかなえるがよい。心を一つ所に置くところを偏に落ちるという
これは禅僧・沢庵宗彭の言葉であり、剣術に関する話であるが、「心を一つ所に置かないということ」はいろいろ応用できる。