死んだらどうなるかは、誰も分からない。また、宇宙のはじめがどうなっていたか、誰も分からない。このように私たちの頭の中には、わからない世界と現実の世界がある。このような相対する世界を説明する為に人間は神話を生み出した。人類が今のような文明を持ち始めたのは、死者を祭ったところからだと言われている。つまり、死んだらどうなるかということを考え始めたところが、重要というわけである。
古事記は、現実の天皇たちと本当はわからない世界の始まりを橋渡しする物語である。このような神話的思考は、もちろん、現代の私たちの中にも宿っている。日本のアニメーションやマンガは現代の神話である。アメリカにとってハリウッドはアメリカの神話的思考の表れなのかもしれない。
たしかに、科学は私たちにいろんなことを教えてくれる。そのおかげでさまざまな事象を説明できるようになった。しかし科学は万能ではない。説明できないことはまだまだたくさんある。人は説明できない不幸に見舞われたとき、絶望に陥ることがある。絶望しなくても、落ち込むことくらいあるだろう。そのようなとき、不条理と現実の橋渡しをする神話的思考が有効である。というか人間の脳は、わからないものに対してそのように対処するように出来ているのだ。
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