フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

zoo  乙一

2012年05月29日 07時49分58秒 | 読書・書籍

 「ZOO」を読了。


 乙一という作家のことはよく知らない。今まで日本の作家はあまり読まなかった。最近、いろんな作家の作品を読んでいる。当たり前だが、いろんな人がいて、よく選ばないと時間がいくらあっても足りない。


 ちょっと今まで読んだことのないタイプの短編小説。
 構成が技巧的で唸ってしまう。しかし、ちゃんと感情の起伏が生まれる。只者ではないうまさ。
 
 10編の短編小説が収録されている。当然、好きなもの、それほどでもないものがある。
 個人的には、「カザリとヨーコ」 「陽だまりの詩」が好きである。


 どれか1つあげるとすれば、「カザリとヨーコ」、児童虐待の話である。
 もし、親が子供を虐待しているとすれば、その子の世界は想像を絶するほど厳しいものになるだろう。小さい時は親との関係がほとんどだからである。
 しかし、その中で誰でもいいからその子供に温かさを示す人がいれば、その子の人生は大きく変る。人間は、ひどさも覚えているが(いつか弱まる)、温かさはもっと強烈に記憶するからである。人から受けた温かさの記憶があれば、人間はそれだけで力強く生きていける。経験的に。
 そういうことがうまく表現されている短編である。


 短いしどれもそれぞれに変わっているので飽きないと思う。それにしても才能のある小説家だ。
 

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