フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

飛龍山越え 9月23日

2011年09月29日 06時40分45秒 | 登山

 雲取山山頂から三条ダルミに向かう登山道は、急な下り坂だ。しかも岩場なので、この雨だと慎重に下らなければつるっと滑ってしまう。
 下りは登りと違って心拍数は上がらないが、重力で転がるのを抑えなければならない。下の方に転がるのをストップする役目を果たすのが、大腿四頭筋(ももの筋肉)である。この筋肉が疲れてくると、膝をまっすぐ伸ばした状態でドンと地面をつくことになる。下りがきついと、膝に体重がおもいっきりかかるので、あっという間に膝を悪くする。膝を悪くしないようにするためには、地面に足をつくとき軽く膝を曲げて、自動車のサスペンションのような柔らかい動作が必要である。
 それから、当然であるが、登山靴の裏が減っているとよく滑る。滑った時、膝が伸びきっていると後ろの方にに勢い良く転んでしまう。それを防ぐため、滑った瞬間に膝を曲げ、柔らかくお尻をつくようにしなければならない。そのような一連の動作を無意識的にできるようになるために大腿四頭筋のトレーニングが欠かせない。
 とはいっても、疲れてくると私もよく転ぶ。両神山に行ったときは、岩場で滑って一回転した。場所が場所なら死んでいただろう。ただ、信じられないくらい合理的な転び方だったので、ほとんど怪我はなかった。人の体はすごい。瞬時にかつ無意識に一番いい方法を選んでいる。

 今回の登山は相当鍛えているので体力的にはまだまだ大丈夫だ。だから、これだけ雨にやられても精神的に強くいられる。ただ、それが過信になって危険な場合もある。自信過剰な心に歯止めをかけるには何が必要か。それは危ない経験である。危なかった経験が無鉄砲な行動を抑制する


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 雲取山は東京、埼玉、山梨の一都二県にまたがっているが、山梨側に向かうと急に笹が多くなる。笹は鹿の主食である。だから、山梨方面の飛龍山にいくと鹿によく合う。今日はまだ鹿に会っていないが、鳴き声は聞こえる。鹿は危険が迫るとピイーっと高い声で鳴き仲間に危険を知らせる。私は別に危険人物ではないのだが、私が通ると鹿がピイーと鳴く。



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 三条ダルミに着く。11時40分。
 今日は塩飴だけでまだ何も食べていない。ザックからチョコパンを取り出して、むしゃむしゃと食べる。潰れてへんてこな形になっているが、うまい。腹が減っていればなんでもうまい。

 雨に打たれながら、孤独について考えてみる。孤独とは精神的に孤立した状態である。私の今の状態は、場所的に孤立しているかもしれないが、精神的に孤立しているとはいえない。だから、今現在孤独ではないし、特に寂しくもない。
 では、精神的に孤立しているとはどういう状態なのだろうか。私は、人間関係が希薄とか無いとかではなくて、人間関係に傷がある状態なのではないかと思っている。一応、関係性はあるのだが、信用出来ない人間ばかりだったり、人を平気で傷つける人間だったり。
 私は孤立しているが孤独ではない。それについてもう一度よく考えてみる。私は決して人を裏切ったり傷つけるような人間ではない。しかし、もしそうされたら非情になれる冷酷な人間でもある。そいつを徹底的に叩きのめす。だから、そういう人間はあまり近寄ってこない。金もなく地位も無いからなおさらである。そうすると自然と利害を超えた少数の人間としか関係を持たなくなる。そしてそれでいいと割り切っている。だから、全然寂しくない。少ないけれど信頼できる人間と深く関係を持つから、精神的に孤立することはない。それがいいのか悪いのか分からないが、そういう生き方しかできない。それは今後も変わらないだろう。それが個性というものだから。
 一つ、注意しておいたほうがいいのは、孤独だと人にいいように操られ騙されてしまうということである。寂しさ故に、ついつい簡単に人間関係を結んでしまうからである。そして、また傷を深め孤独になってしまう。負のスパイラルである。救ってあげたいとは思うが、基本的に、自分自身でそこから立ち上がるしか方法はない。
 暗くて重いテーマ。だが、解決可能でもある。



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 狼平に着く。12時30分。広くて気持ちがいい。この写真を撮り終わったと同時に、男女のカップルがやってくる(カップル多いね)。
 話を聞くと、甲武信岳に行くつもりだったが、この雨と体力的な問題で引き返してきたとのことである。まぁ、それもひとつの選択である。勇気のある撤退。
「何とか平だぁ」と彼女
「狼平ね」と彼氏
「まだ、北天のタルはこないのかなぁ」と彼女
「北天のタルは向こうだよ、もう戻ってきているから」と彼氏
 話をしていると、彼女がすこし天然ボケしていて、彼氏がいちいちそれにツッコミを入れていた。笑える微笑ましいカップル。こんな雨の中でも楽しく過ごすことが
できる良い例である。


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 北天のタルに向かう道は、危ない所が多い。特にこの板の橋である。幅は広いが濡れていると滑る。

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 慎重に一歩一歩足を運んでいたつもりだったが、この場所で足を滑らせてしまった。向こう側から渡ってきたのだが、右の部分に丸太が打ち付けられているのが分かるだろうか。
 この橋、気付かない程度に右側に傾いている。その原因はコンクリートが劣化して崩れているからである。
 向こうから慎重に歩いていたら、ツルッと左足が滑った。滑った足が、トンと丸太に止まった。そのおかげで特に問題なく渡れたのだが、もしこの丸太がなければ、5メートル下まで滑落していただろう。死ぬまではいかないかも知らないが(運悪ければ死ぬ)、骨折は確実だ。ほんとうに助かった。
 多分、この橋で実際滑落した人がいるのだと思う。それで危ないから丸太が打ち付けられたのだろう。今回の縦走で一番ヒヤッとしたところである。
 ここを通る予定の人は気をつけてください。


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 北天のタルに到着。14時10分。もう一時間弱で飛龍山だ。さすがに疲れてきた。でもがんばるぞ、と気合を入れる。

 笹が多くてよく見えず、崖(大した所ではないが)の部分に、左足を滑らせてしまった。だが、特に問題はなかった。なぜ問題がなかったのか冷静に分析してみる。
 まず、崖で地面がないのだから左足がズブッと沈む。そのままだと、体全体が左側に倒れ崖に落ちてしまう。しかし、左足が沈んだと同時に、右足を折り曲げバランスを取る。また、ほぼそれと同時に、右手をついて後ろに転ばないように支える。無意識に体はバランスをとっている。本当にすごい。ただ、疲れきっていたらここまで動けない。


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 飛龍山の下の飛龍権現神社に到着。15時00。
 飛龍山の頂上まで、行って帰って40分かかる。だから行かない。前に行ったが、特に面白い所ではない。何もない。


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 大ダルに到着。15時40分。
 今日寝る場所。笹の上にテントを張る。ふかふかしているが、笹が突き抜けないか少し心配。
 まぁー寒い。とにかく寒い。飯を食って早く寝よう。

 今回は詳しく書くつもりなので、まだまだつづく。よろしく。





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