若いときは、客観的には無知だが、主観的には全知全能である。
それゆえ、死について真剣に考えることはない。
しかし、歳をとるとパワーが落ちてきて、死について考えるようになる。
人間だけが、死ぬ意味を理解する。
死は、他人が引き受けることのできない自己に固有のものである。
また、人間のあらゆる可能性を奪う。そして、あらゆる瞬間に起こりうる。
死は人間に恐怖を与える。自己の終わりを意味するから。
死ゆえ人間は人生が限られたものであることを意識する。
「何のために生きているのか」、「何をするのか」を問う。
その中で、行為の選択をする。楽しく刹那的に過ごす生き方もあるし、目的をみつけて過ごす生き方もある。
生き方は時代や環境やに影響される。
例えば、バブルの時代なら消費が美徳であった。今なら貯金するのが美徳だ。
どのように選ぶのか。
デザイナーの川崎和夫さんの言葉
「皆、ここにないもののことばっかりいって文句を言うが、ここにしかないものを捜したらどうだ」
彼は両足が使えなくなっても、何事もないようにデザインを淡々と行っている。
自分だけではなく人に希望をも与えている。両足が使える人より生き生きとしている。
状況は変化していく。金持ちが破産し極貧になることもある。また川崎さんのように突然両足が使えなくなることもある。
現実は残酷だ。
だが、幸せを掴むことも不可能ではない。
誰に役に立つこと、愛する人に受け入れられること。