フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

愚か者死すべし 原尞

2021年05月06日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

ゴールデンウィーク中に、原尞さんの「愚か者死すべし」を読了

原尞さんは、作品数が少ないので、

味わって読まないと、読むものがなくなってしまいます。

彼の作品は、長編が5冊、短編が一冊、エッセイが一冊のみです。

そのうち長編を4冊読んでしまいました。

すべて探偵の沢崎シリーズです。ちなみに長編の作品をあげてみると、

そして夜は甦る 1988年 B+

私が殺した少女 1989年 A

さらば長き眠り 1995年 S

愚か者死すべし 2004年 B

それまでの明日 2018年

右のアルファベットは、僕が読んで面白かった評価値です。

「愚か者死すべし」は、今のところ一番評価が低くなってしまいました。

しかし、面白くなかったかといえば、そうでもなくて、

最後まで一気に読ませる筆力はさすがと言わざるを得ません。

この作品には、今まで出てこなかった携帯電話が出てきます。

2004年ですから、携帯電話がなければ作品は書けないでしょう。

沢崎はうまく携帯電話を使えません。

だんだん時代遅れになっていく沢崎が、ハードボイルドの運命と交差しているのかもしれません。

ハードボイルドは時代遅れなのか?

一般的に、ハードボイルドは、感情や状況に流されない非情な人物が、主人公になります。

沢崎は、まさしくそういう人物です。

僕たちは暴力に対して「恐怖」し、嘲笑に対して「怒り」ます。

他人との関わりの中で、いつも感情に流されて生きていますね。

しかし、沢崎は与えられた目的(依頼)を達成するためだけに、気持ちを集中し、感情を押し殺し、行動します。

時代遅れのハードボイルドな男です。

僕はそういう人物が、すごく好きなんですね。たとえ時代遅れと言われても。

ただ、沢崎はある瞬間にフッと感情的なところを見せるときがあります。

寡黙な男が決して見せない情の部分です。彼はやさしいのです。

今回も、そんな場面がありました。

好きなハードボイルド作家の藤原伊織さんは死んでしまったし、原りょうさんは作品が少ない。ほんと残念です。

読んでない長編は「それまでの明日」だけになってしまった。

寂しいです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 陣馬山 | トップ | 大勢の中のあなたへ ひきた... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日々の出来事・雑記」カテゴリの最新記事