“あっと驚くタメゴロウ”、もう古いか？・・・

　先日のスポーツニュースを見て、その金額にびっくり。今季で４年契約が満了するイチローが、マリナーズとの契約延長を決めたそうだが、５年契約で年俸総額は日本選手最高となる９０００万ドル（約１０９億８０００万円）とか。その９０００万ドルのうち、再契約金が５００万ドル。残り８５００万ドルを５年で均等割りすれば１７００万ドルだが、イチローに支払われる年俸は毎年１２００万ドル（約１４億６０００万円）で、差額の５００万ドル×５年＝２５００万ドル（約３０億円超）は、引退後２０年間の分割払いになっているという。
　しかし、その額だけでも、現在の１ドル＝約１２２円として計算すると、５年後に引退して５９歳まで毎年１億５０００万円超を受け取ることになる。また、スポーツ紙によると、引退後支給される年俸には５.５％の高金利が約束されているそうであるから、日本の銀行（金利０.２％で計算）に引退後２０年間預金した場合よりも２２万５０００ドル（約２７４５万円）も多く支給される計算だという。金が金を生む論理でゆくと、持てる者は放っておいても増えてゆくのである。
　そのほか、年間３万２０００ドルの住宅手当、ベンツのＲＶ車かジープ、年間４度の日本往復ファーストクラス航空券なども提供されるという。イチローは会見で、地元ファンの存在が残留を決意した最大の理由と説明していたが、ＦＡ宣言すればもっと高額な契約金のオファーがあったはずだともいわれているとか…。
　それにしても、この金額には、“あっと驚くタメゴロウ”で、もう私などの金銭感覚では想像もつかない。現在の国民の標準年金月額は夫婦２人で約２３万８０００円、年総額２８６万円弱である。だがイチローは、その５０倍超の１億５０００万円を毎年、それも２０年間受け取るというのだから、うらやましいなんてものではない。まるで神がかり的な話である。
　年平均ではメジャー歴代５位だそうであるが、これほど大物になるとはちょっと想定外だったろう。イチローは１９９１年のドラフト４位、入団時の契約金４０００万円、年俸４３０万円(推定)だったそうである。それが、１９９３年は８００万円、１９９４年に日本球界初となるシーズン２００本安打の偉業を達成したことにより、１９９５年の年俸は１０倍の８０００万円になったという。２００１年に日本選手初めてのポスティングを利用してマリナーズに移籍。この時の落札額は約１４億８００万円。松井秀喜がヤンキースと３年契約で約２５億２０００万円、松坂大輔がレッドソックスと６年契約で約６０億１０００万円、そうしてみれば当時のイチローの評価はイマイチだったといえよう。それが６年を経て、いまや世界のイチローの名をほしいままにし、９０００万ドル（約１０９億８０００万円）という、異例とも言える年俸でマリナーズに残留することになった。プライドの高いイチローのことだから、松井や松坂を追い越したことで格別の満足感に浸っているのではなかろうか。また、イチローをスカウトした人も鼻高々であろう。
　日本人選手の最高年俸は、阪神・金本の３年契約５億５０００万円だそうである。億とつくだけで見当もつかないのに、アメリカのプロスポーツ界の金銭感覚には、ただただ口あんぐり…。　
　イチローの日々の努力はすごいという。が、これから５年間、今のままのイチローであろうとすれば、日々の鍛錬はもちろん、精神的にも大変な重圧になろう。数字がすべてのこの世界、評価が高ければ高いほど、その期待もイヤが上でも高まってゆく。ここで一番、イチローの真骨頂を見せてもらいたいものだ。