風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

ふたりは永遠(とわ)に

2022年08月03日 06時15分13秒 | 詩集
 蒼い島影を
 小舟は進む
 夏の夜空に
 花火があがる

 銀色の波間
 月はさやかに
 浴衣のきみの
 胸のふくらみ

  きみに恋して
  きみだけ愛して
  ぼくのすべてを
  きみへ捧げる

 きみの夢に
 ぼくはなりたい
 愛は輝く
 ふたりは永遠とわに


 海を渡る風
 飛魚が跳ねる
 波に手を濡らし
 はしゃぐきみ

 きみの手をとって
 見上げる星空
 流れ星に
 願いはひとつ

  きみに出会って
  すべてが変わった
  離れられない
  きみを離さない

 きみの瞳に
 星が宿るとき
 愛は輝く
 ふたりは永遠とわに


 蒼い島影を
 小舟は進む
 真夏の恋に
 花火があがる

 
 
 
 
小説家になろう発表作品
この詩のなろうのアドレスは以下の通りです
https://ncode.syosetu.com/n3144hc/

夕暮れの空へ

2022年07月27日 06時10分56秒 | 詩集
 
 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 やさしい夕焼け
 またたく一番星
 悲しかったことは紙飛行機にして
 夕暮れの空へ飛ばしてしまおう

 悲しみは幸せのもと
 幸せは悲しみのもと
 いいこともあれば
 悪いできごともある
 人生の悲喜交交ひきこもごもは
 口笛にのせて
 夕暮れの空へ流してしまおう

  思い返してみれば
  導かれてここへきた
  果てしない黄昏のその先に
  きっとなにかが待っている
  そう信じたい

 終わったことはもういいから
 明日のことを考えよう
 消えてゆく夕焼け
 夜空を流れる星
 愛する君を抱きしめて
 ふたりの願いを抱きしめて

神々が人間を作り、人間が人工知能ロボットを作る

2022年07月08日 06時08分29秒 | 詩集
 
 神々は粘土をこねて人間を作った
 太古の昔は神さまだって
 仕事をしていたのだけど
 毎日働くのはしんどいと感じていた
 畑を耕したり
 狩りをしたり
 魚を獲りに行ったり
 家事をしたり
 そんなことを人間にやらせたかったのさ

 神さまが人間を作った時
 神さまは粘土に神さまの血を混ぜた
 だから人間には魂が宿った
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくて泣いたりするのは
 そんな神さまの血が騒ぐから
 人間の胸には
 神さまが宿っている

 人間はやがて
 ビニールハウスで野菜を栽培したり
 家畜を育てたり
 魚を養殖したり
 石油を掘ったり
 パソコンを叩いて事務をしたり
 工場で物を作ったり
 いろんなところへ配達したり
 家事をしたりと
 毎日の仕事が面倒になった

 人間は神々と同じように
 自分を仕事を誰かにやらせようとして
 人工知能ロボットを作った
 でも人間はずるいから
 馬のかわりに
 機関車を作ったり
 自動車を作った時と同じように
 人工知能ロボットには
 人間の血を混ぜてやったりはしなかった

 人工知能ロボットには魂がない
 アルゴリズムの計算通りに動くだけ
 人生の喜びも苦しみも知らない
 だけどいつか
 天才科学者が
 人工知能ロボットに
 人間の血を混ぜてあげるかもしれないね
 人工知能ロボットも魂を持って
 恋をしたり
 なにかに夢中になったり
 悲しくなって泣いたりするかもしれないね

あとがきもない恋

2022年06月27日 06時03分18秒 | 詩集
 叩きつける雨
 曲がりくねった
 海岸線の国道
 俺はバイクを走らせる
 お前から
 思い出から
 遠く 遠く
 離れるために

 荒れ狂う波
 ヘッドライトに反射する雨
 突然終わった
 あとがきもない恋
 俺がお前を騙したのか
 お前が俺を騙したのか
 光っては消える
 愛のまぼろし

 俺の欲しいものは
 お前にはない
 お前の欲しいものは
 俺にはない
 おたがいをまさぐりあって
 見つけた答えは
 愛してはいないということ

 白く煙る雨
 風が叫ぶ
 海岸線の国道
 俺はアクセルを回す
 嘘だと言ってくれ
 嘘だったと言ってくれ
 このまま
 海へ飛びこんでしまいたい

月の光に踊れ

2022年06月03日 20時40分00秒 | 詩集

 月の光に踊れ
 罪の影を落として踊れ
 悲しみを清めよ
 不自由を慰めよ

 月の心を感じたら
 想いのままに
 手を差し伸べよ
 しなやかに
 体をくねらせ
 力の限り回り続けよ
 消せない悲しみは
 それはそれとして
 胸に抱きながら

  涙があふれたなら
  月が照らす
  大地へ振り落とせ
  大地はなにも言わずに
  あなたの涙を
  受け止めることだろう

  落とした涙は
  いつか芽を吹き
  花を咲かせる
  そうして
  可憐な実を結ぶだろう
  月にそよぐ風に
  夢を口ずさめ

 月の光に踊れ
 罪の影を落として踊れ
 さみしさをいたわれ
 愛を抱きしめよ

新しいことを始めるなら

2022年05月13日 06時10分05秒 | 詩集

 新しいことを始めるなら
 花の香りがくすぶる
 まっさらな青空のもとが
 よいでしょう

 新しいことを始めるなら
 風が透きとおる
 すがすがしい陽射しのなかが
 よいでしょう

 新しいことを始めるなら
 ゆれる若葉に夢が歌う
 そんな心地のいい朝が
 よいでしょう


  扉を開けるだけで
  よいのです
  ためらうことなど
  なにもありません

  踊る心に身をまかせ
  好きなように
  やればいいのです
  自分だけの夢なのだから


 新しいことを始めるなら
 いちばん素敵な人と
 口づけを交わしたあとが
 よいでしょう

名前のない風になって

2022年04月22日 06時09分06秒 | 詩集

 名前のない風になって
 この空を飛ぼう
 太陽をめがけて
 どこまでも
 どこまでも
 夢を追いかけて

 君も
 名前のない風になるといいさ
 手をつないで
 海を渡ろう
 どこまでも
 どこまでも
 愛を抱きしめて

  くるりと宙返り
  右へ大きく曲がって
  それから
  爽やかな白い雲を突き抜ける

  海から海へ
  島から島へ
  名前のない風の
  名前のない旅
  君と僕の
  ふたりだけの旅

 名前のない風になって
 この空を飛ぼうよ
 君の夢と
 ほがらかな笑顔を
 僕は抱きしめる
 いつまでも
 いつまでも
 そばにいるから

抱き寄せてmoonlight

2022年04月08日 20時05分20秒 | 詩集

 きれいだよ君
 うるんだ瞳
 泣きぼくろ
 今夜だけは
 僕の胸を離れないで

 深い悲しみを
 さとったんだね
 夜空に流れ去るのは
 運命さ
 君を苦しめるものは
 もうなにもない

 抱き寄せてmoonlight
 こんな夜は
 さやかな光を
 肌にしみこませ
 愛をあたためよう


 瞬く星々の
 やさしい鼓動を
 聞いてごらん
 天空が語りかける
 純粋な言葉
 愛の言葉

 涙は
 心の海があふれただけ
 君を苦しめる
 つらい記憶も
 いっしょに
 流してしまえばいいさ

  星が鈴を鳴らす
  清らなメロディーが
  鳴り渡る

 抱き寄せてmoonlight
 こんな夜は
 ほのかな夢を
 この手に握りしめ
 愛を確かめよう

さみしさの海の底へ

2022年03月25日 06時06分48秒 | 詩集

 さみしくなったら
 もっと
 もっと
 ひとりになればいい

 深い
 深い
 さみしさの海へ
 もっと深く
 潜ればいい

 そうして
 冷たい
 さみしさの海の深みで
 だれかを
 あてにすることもなく
 なにかに
 すがりつくこともなく
 ただひとりきりになって
 泳いでみればいい

 ほんとうの
 ひとりぼっちは
 ほんとうに
 怖いものだ
 見放されたと思ってしまう
 心臓がきゅっと締まって
 もう生きていかれないと
 なにもかも捨てたくなる

 だけど
 ほんとうの
 ひとりぼっちに
 なってみなければ
 わからないことがある
 気づかないことがある

 さみしさの海の底で
 かすかな光に気がつく
 さみしさの闇のなかでしか
 見つけられない
 光に気がつく
 あとは
 祈ることを覚えるだけ
 愚かな私には
 祈ることしかないのだと

 さみしくなったら
 もっと
 もっと
 ひとりになればいい
 深い
 深い
 さみしさの海の底へ
 潜っていけばいい

海へ還る

2022年03月10日 15時10分00秒 | 詩集

 もしも命が
 海からやってきて
 海へ還るものなら
 祈りを深くして
 あなたを想いたい

 あなたが還った
 海の果ての遠い島
 魂のふるさと
 あなたはそこで
 元気でしょうか

 潮騒に心をゆだね
 水平線を見つめます
 きらめく春の海
 沖ゆく貨物船
 悲しみは悲しみとして
 この胸に抱きしめて

 愛された日々の
 思い出があるから
 もう少しは
 生きてゆけそうです
 いつかあなたに
 再び巡り会う時を
 心待ちにしながら

 もしも命が
 海からやってきて
 海へ還るものなら
 祈りを深くして
 あなたを想いたい

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