風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

生まれたてのきのこ君へ

2023年05月16日 06時15分30秒 | 詩集

 雨上がりの芝生に生えた
 かわいいきのこ
 ちょこんと生えた
 ベイビーきのこ君
 ようこそこの世界へ

 風は心地よいですか
 おひさまの光はぬくもりますね
 土の匂いもいいでしょう
 気に入ってくれたでしょうか?

 爽やかな日もあれば
 激しい雨が
 冷たく降ることもあります
 いいことも
 悪いことも
 いろいろと起きてしまうのが
 この世界です

 とはいえ
 怖がることも
 恐れることもありません
 この星で起きることは
 すべて
 ミラクルマジックショー
 いいことも
 悪いことも
 どうか
 目一杯
 楽しんでいってください

 雨上がりの芝生に生えた
 かわいいきのこ
 ちょこんと生えた
 ベイビーきのこ君
 ようこそ我らが地球へ

春一番が僕を悩ませる

2023年03月05日 15時34分20秒 | 詩集

 坂道のバス停
 なぜか君は
 僕を見送ってくれた
 春の始まりの風が
 埃を巻き上げて
 ふたりの隙間を吹き抜ける

 出会ったことが
 間違いだっと言いたげに
 くわえタバコの君は
 つまらなさそうに顔を背ける
 嘘でもいいから
 楽しかったと
 言ってくれてもいいのにね

  これで恋は終わり
  これで夢は終わり
  これで未来も終わり
  春一番が僕を悩ませる


 別れのバスがきたよ
 僕を愛したことさえも
 君は忘れてしまうんだね
 いっそのこと
 ふたりの全部を
 忘れてくれたほうが
 すっきりするのかもしれない

  これで恋は終わり
  これで夢は終わり
  これで未来も終わり
  春一番が僕を悩ませる
  僕を悩ませる


 
「小説家になろう」サイト投稿作品。
https://ncode.syosetu.com/n2783hn/

愛の風に

2023年02月05日 21時33分17秒 | 詩集
 夕暮れの地平線に
 愛の風が吹きます
 光から闇へ
 愛の風が吹きます

  人は生まれながらに悲しくて
  抱えた悲しみを
  どうすることもできなくて
  人は悲しいからこそ
  希望を持つのだと識しった時
  愛の風が見えるようになりました

  もうなにも
  怨むことなどありません
  もうなにも
  憎むことなどありません
  一切合切は
  悲しさゆえの過ちだったのです
  許しあいましょう
  許しましょう
  私自身も
  あなた自身も

  少しばかり
  泣かせてください
  ほんのちょっとだけ
  泣くことを許してください
  頰に涙を流したら
  悲しいわだかまりを
  みんな忘れます

 光からあなたへ
 愛の風が吹きます
 夕暮れの地平線に
 愛の風が吹きます

雪のディーゼルカー

2023年01月11日 05時32分56秒 | 詩集
 雪のディーゼルカーに乗って
 あなたに逢いに行きたかった
 あなたの冷めた心を
 あたために行きたかった

 雪煙を上げながら
 白い渓谷を渡り
 雪に埋もれた峠を越え
 短いトンネルを幾つもくぐり抜け
 あなたの住む町へ

  恋は子供がするものなのよ
  あの日あなたは言った
  大人はなにをするものなの
  僕の問いに
  あなたは答えなかった

 あなたとふたりで
 大切にしたいものがあるのだと
 あなたとだけしか
 大切にできないものがあるのだと
 ただそれだけを
 伝えに行きたかった

 雪のディーゼルカーに乗って
 あなたに逢いに行きたかった
 大人になったあなたの心を
 あたために行きたかった

Catch your dream

2022年12月06日 05時28分18秒 | 詩集

 落ち込んでいる暇なんてないだろう
 雨だろうが
 風だろうが
 とにかく道へ飛び出せよ

 君の気持ちなんて
 これっぽっちも知らない人たちが
 君のことをあざけるかもしれない
 だけどさ
 それがなんだって言うんだい

  Catch your dream
  夢よ急げ
  自分で選んだ道が
  ほんとうの道
  夢を叶えて
  自分になるんだ


 太陽を摑むために
 君は生まれてきた
 誰もなにも信じられないなんて
 嘆いていちゃダメさ

 君の気持ちをわかってくれる人が
 この世の中には必ずいる
 素敵な人に巡り合ったら
 どこまでも大切にして
 手放さないことだね

  Catch your love
  愛よ急げ
  自分で選んだ愛が
  ほんとうの愛
  愛を叶えて
  幸せを摑むんだ

秋の探しもの

2022年11月08日 06時27分18秒 | 詩集

 妻とフェリーに乗って
 秋の過ごし方を
 探しに行きます
 海風と陽射しが
 心地よいデッキです

 秋の言葉で書かれた
 地図を広げてみました
 どこがいいかなと
 ふたりでひそひそ話します
 妻はまぶしそうに目を細め
 海の風を見つめます

 ふたり
 仲睦まじく過ごしたい
 のぞみはただそれだけです
 おたがいの息遣いを
 間近に感じて
 おたがいの心で
 たがいにあたためあって

 海鳥たちは
 きらきらと光る波を
 飛び越しながら
 船の後を
 どこまでもついてきます
「どこかいいところがあるなら
 教えておくれ」
 僕はパンをちぎって空へ投げます
 海鳥がするりと降りてきて
 嘴で器用にパン切れを捕らえます

 妻とフェリーに乗って
 秋の過ごし方を
 探しに行きます
 船はゆったりと進みます
 誰に聞かせるわけでもなく
 汽笛が鳴りました

雨の日に君は

2022年10月04日 06時24分15秒 | 詩集
 
 雨の日に君は
 土手の上を歩いていました
 傘をさしていたから
 顔は見えませんでしたが
 それでも僕は
 君だとわかりました
 二階の勉強部屋の窓から
 僕は君に見とれました
 雨が降らなければ
 君の顔が見えるのに
 僕はただ君を見つめていました

 風の強い日に君は
 土手の道の向こうからやってきます
 僕は犬を連れて
 土手の上を散歩していました
 君だと思った瞬間
 僕はどきまぎして
 犬の綱を持つ手が震えました
 ちらっと君を見て
 また顔を伏せます
 いたずらな風は
 君のスカートを揺らしていました

  雲を眺めては君を想い
  星を眺めては君を想います
  一言だけでいいから
  声をかけたいと思うけど
  そんな勇気はどこにもなくて

 心地よく晴れた日に君は
 大きなバックを持って
 土手の上を歩いていました
 都会へ行くのだと
 同級生の噂で聞いていました
 僕は家からあわてて飛び出しました

「重そうだね。手伝おうか」
 僕は君へ言いました
「ありがとう」
 君は僕に荷物を渡します
 川縁には
 さわやかな風が吹いていました
 君はクラスメイトが手伝ってくれたと
 ただそれだけのことだと思ったでしょう
 ですが
 僕にとっては
 宝物のような思い出になりました
 いまでも
 いつまでも
 忘れられない君のえくぼ

九月の渚

2022年09月15日 06時23分09秒 | 詩集

 海風
 白い渚
 あなたとふたりきり
 太陽があふれている

 素足
 熱い砂
 あなたは楽しそうに
 足を踊らせる

 風をめくれば
 素敵な夢が見える
 あなたような人に
 初めて出会った
 九月の渚で抱きしめて


 岬
 赤い灯台
 爽やかな空を横切る
 パラセーリング

 潮騒
 青い波
 あなたはそっと
 手をつないでくれた

 わたしの夢を
 あなたにあずけたい
 ともだちのままで
 終わりたくないから
 九月の渚で抱きしめて


  波の調べ
  恋の鼓動
  いつでもあなたの
  そばにいたい

 海原
 あんな広さで
 わたしを抱きしめて
 九月の渚で抱きしめて

運命よ!

2022年09月01日 06時17分11秒 | 詩集
 
 運命よ!
 貴様こそが全能の神
 すべてにまさる
 神のなかの神
 すべてをあやつる
 至高の神

 運命よ!
 貴様が全能の神だからこそ
 俺は挑発する
 限りなく挑戦する
 俺のすべてが
 貴様を倒せと叫んでいる

 命のすべてを賭けて
 貴様を乗り越える
 俺の心臓を
 喰えるものなら喰ってみろ
 俺の魂を
 潰せるものなら
 踏み潰してみろ

 信じるのは己ただ一人
 貴様が
 なんど俺を投げ飛ばしても
 俺は立ち上がる
 諦めない
 俺の胸を満たすのは
 運命へ挑む恍惚のみ

 運命よ!
 貴様こそが全知全能の神
 俺が打ち破るべき
 神のなかの神
 ほかの誰でもない
 俺が鉄槌を喰らわす神

サイドカー

2022年08月11日 06時21分19秒 | 詩集

 若かった頃みたいに
 無茶して飛ばしたりしないよ
 サイドカーに君がいるからね
 エンジンを響かせて走る
 まっすぐ続く草原の道
 丘の向こうに澄んだ夏の空

 白いマフラー巻いて
 ゴーグルをかけた君は
 まぶしそうに楽しそうに微笑んでいる
 サイドカーも悪くないだろ
 風を切る気分はどうだい
 心が洗われてすがすがしいでしょう

  走れ サイドカー
  白い雲を追いかけて
  走れ サイドカー
  君の笑顔よ
  もっと輝け
  いつか話してくれた憧れの地へ行こう


 ほかのバイクに抜かされても
 もうムカついたりはしないよ
 サイドカーに君がいるからね
 君がしあわせそうなら
 僕はたまらなく嬉しいよ
 君の好きなスピードで走ろう

 カーブをゆっくり曲がる
 もうすぐ海が広がるよ
 磯の香りは心地いいものだね
 愛はそこらじゅうに
 転がっているけれど
 君の代わりはいない
 君しかいない

  走れ サイドカー
  君の夢は僕の夢
  走れ サイドカー
  僕らの風よ
  もっと輝け
  憧れを目指してふたりの旅は続く
  走れ 僕らの愛

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