エッセイ『ゆっくりゆうやけ』は「小説家になろう」サイトで投稿している連載エッセイです。広東省の暮らしで感じたことや小説の話などを綴っています。本編はアネクドートです。ご賞味ください。(2010年8月14日投稿)
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本文
中国人:「お金さえあれば、今の世の中、なんでも自由にできるよ。どこにだって旅行へ行けるし、家も二軒買って愛人を囲うことだってできるんだからね」
日本人:「お金で買える自由って、ほんとうの自由なのかな? 自由だって言うんだったら、民主化を求める小論文でも書いて新聞に投稿してみなよ」
中国人:「できるわけがないだろ。そんな小論文が掲載されるわけがないし、第一、警察に捕まるのが落ちだよ。今ままで築いてきたものが全部パーだ。そんなことをしようとも思わないけどね」
日本人:「政府の腐敗がひどくて困るって怒っていたよね。君は事情通なんだし、中国社会の暗黒面を風刺小説風にでもまとめて発表してみたらどうだろう。文章だってうまいんだから、きっと売れると思うよ」
中国人:「書いてもむださ。もしベストセラーになったとしても発禁処分になるだけだよ。おまけに、公安の監視もつくだろうね」
日本人:「案外、不自由なものなんだね。君の言う自由っていったいなんなのだろう?」
日本人:「日本はなんでも自由だよ。なにをするのも自由だし、なんでも話していいんだよ」
宇宙人:「その場の空気を乱すようなことでも言えるかい? よくないことはよくないって」
日本人:「そんなこと、言えるわけないじゃないか」
宇宙人:「どうして?」
日本人:「どうしてって、だめなものはだめなんだよ」
宇宙人:「仏滅の日に結婚式を挙げたり、友引の日に葬式をしてもいいのかな?」
日本人:「気にするかどうかは本人の自由だけど、あんまりそんなことをしないほうが無難だよね」
宇宙人:「どうして?」
日本人:「君はうるさいな。なんだか気持ち悪いだろ。結婚式はともかく、友引の日に葬式なんかしたら、怒られちゃうよ」
宇宙人:「迷信にとらわれているんだね」
日本人:「迷信といえばそうだけどね。僕が気にしなくても、周りで気にする人がいると厄介なことになるんだよ。世間の目ってものがあるだろう?」
宇宙人:「なるほど、世間の目ね」
日本人:「あっちへもこっちへも、いろいろと気を配らなくっちゃいけないってことだよ」
宇宙人:「案外、不自由なものなんだね。君の言う自由はいったいなんなのだろう?」
さて、みなさん。
自由とはなんでしょうか?