風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

スタートレック大好き1 ―― 二つのスタートレック

2011年03月06日 23時03分12秒 | スタートレック大好き
 
 子供の頃、サンテレビ(神戸)で再放送していたスタートレックのオリジナルシリーズをよく観ていた。
 もちろん、吹き替え版だ。
 子供の頃の刷りこみのせいか、今でもスタートレックの登場人物は日本語を喋るものだと心のどこかで思いこんでいる。カーク船長も、ミスター・スポックも、ドクター・マッコイも、日本語で話してくれないとどうもすっきりしない。映画版・スタートレックを初めて観た時、やけに恰幅のよくなったカーク船長が英語を話すものだから、びっくりして腰を抜かしそうになってしまった。それまで、カーク船長が英語を話すものだとは思いもよらなかった。もちろん、論理的に考えれば、スタートレックはアメリカのドラマなのだからカーク船長が英語を話すのはごく当たり前の話だし、英語を話すカーク船長もそれはそれで格好いいのだけど。
 そういうわけで、スタートレック・シリーズのDVDを観る時は、必ず吹き替え版と原音声版を両方観ることにしている。音声が違えば印象もいささか異なったものになるから、両方のバージョンで楽しめる。スタートレック・シリーズの吹き替え版の声優さんたちは役作りに力を入れているようなので、彼らの声の演技も聞きごたえがある。
 なんだか、一粒で二度おいしい。


自由 (連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第8話)

2011年03月06日 10時19分06秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
エッセイ『ゆっくりゆうやけ』は「小説家になろう」サイトで投稿している連載エッセイです。広東省の暮らしで感じたことや小説の話などを綴っています。本編はアネクドートです。ご賞味ください。(2010年8月14日投稿)
http://ncode.syosetu.com/n8686m/8/


本文


中国人:「お金さえあれば、今の世の中、なんでも自由にできるよ。どこにだって旅行へ行けるし、家も二軒買って愛人を囲うことだってできるんだからね」
日本人:「お金で買える自由って、ほんとうの自由なのかな? 自由だって言うんだったら、民主化を求める小論文でも書いて新聞に投稿してみなよ」
中国人:「できるわけがないだろ。そんな小論文が掲載されるわけがないし、第一、警察に捕まるのが落ちだよ。今ままで築いてきたものが全部パーだ。そんなことをしようとも思わないけどね」
日本人:「政府の腐敗がひどくて困るって怒っていたよね。君は事情通なんだし、中国社会の暗黒面を風刺小説風にでもまとめて発表してみたらどうだろう。文章だってうまいんだから、きっと売れると思うよ」
中国人:「書いてもむださ。もしベストセラーになったとしても発禁処分になるだけだよ。おまけに、公安の監視もつくだろうね」
日本人:「案外、不自由なものなんだね。君の言う自由っていったいなんなのだろう?」

日本人:「日本はなんでも自由だよ。なにをするのも自由だし、なんでも話していいんだよ」
宇宙人:「その場の空気を乱すようなことでも言えるかい? よくないことはよくないって」
日本人:「そんなこと、言えるわけないじゃないか」
宇宙人:「どうして?」
日本人:「どうしてって、だめなものはだめなんだよ」
宇宙人:「仏滅の日に結婚式を挙げたり、友引の日に葬式をしてもいいのかな?」
日本人:「気にするかどうかは本人の自由だけど、あんまりそんなことをしないほうが無難だよね」
宇宙人:「どうして?」
日本人:「君はうるさいな。なんだか気持ち悪いだろ。結婚式はともかく、友引の日に葬式なんかしたら、怒られちゃうよ」
宇宙人:「迷信にとらわれているんだね」
日本人:「迷信といえばそうだけどね。僕が気にしなくても、周りで気にする人がいると厄介なことになるんだよ。世間の目ってものがあるだろう?」
宇宙人:「なるほど、世間の目ね」
日本人:「あっちへもこっちへも、いろいろと気を配らなくっちゃいけないってことだよ」
宇宙人:「案外、不自由なものなんだね。君の言う自由はいったいなんなのだろう?」

 さて、みなさん。
 自由とはなんでしょうか?



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