中国人の友人とホラー映画の話になった。
彼女はホラー映画なんてちっとも怖くないと言い、
「だって、そんなのつくりものだってわかっているでしょ。みんなどうしてつくりものの映画で怖がるのかわからないわ」
と首をかしげる。
女の子ってどこの国でもけっこう現実的だよなあと思いながら話を聞き、
「映画のお化けより実在の人間のほうがよっぽど怖いよな。人間はなにをするかわからないもの」
僕がそう言うと彼女は、
「そのとおりです。いちばん怖いのは人間です」
と激しくうなずいた。
人間は、根も葉もない妙な噂話をばらまいて人を陥れたり、過労死するまで人をこき使ったり、大勢の人が住んでいる街に原爆を落として爆発させたり、原発が爆発したのに安全だと嘘をついたりする。
お化けのやることなんて、人間のすることにくらべればかわいいものなのかもしれない。
(2013年7月16日発表)
この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第245話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/