六庫からバスで四時間ほど怒江を遡って福貢へ。町のつくりは基本的に六庫と同じ。怒江のほとりの小さな平地に建物が並んでいる。
こじんまりしているぶんだけ、なじみやすかった。吊り橋を渡って、川辺でぼんやり景色を眺めていると、なんだか気分が落ち着いた。川は名前のとおりと言うべきか、怒濤のように流れていた。
少数民族の布をかぶった女性たちが露店を出していた。民族衣装を着た人たちがもっといるのかと思っていたけど、案外少ない。二〇〇一年にバックパックを背負って雲南を旅した時は、田舎町に行けば民族衣装を着た女性がけっこういたものだけど。時の流れだろうか。
右はリス族、左は怒族の女の子。
ふたりはホテルの喫茶室の服務員だ。
コーヒーを飲みたいなと思って喫茶室へ行ったのだけど、あいにく缶コーヒーしかなかった。
リス族は怒江で最大の少数民族。中国国内には約六十万人が住んでいる。クリスチャンが多く、ラテン文字をもとにして作ったリス文字を持っている。彼女もクリスチャンなのだとか。クリスマスを新年として祝うそうだ。
怒族は人口約三万人。おおかたの怒族はリス族の言葉を理解するそうだ。宗教は精霊信仰。彼女は、怒語、リス語、漢語の六庫弁(雲南弁の一種)、北京標準語を話す。