たしか、あれは酒田の山居倉庫を出発してすぐの交差点。
バスの中で、お客様がおっしゃいました。
「山形の人は、気さくやねぇ。あんなにみんなで手をふってくれて」
エッ?とずっこける私。
「ちゃいますよ、あれ、街頭演説ですよ」
「あぁ、そうか、選挙か」
誰かが茶々を入れました。
「言うてこなあかんねぇ、うちら、山形に選挙権はありませんって」
参院選まっただなかの今週、秋田・山形から高知へとつづいた添乗ロード。
必然、それぞれの土地で行なわれている参院選を、
ちらりと拝見する機会となりました。
秋田・山形は県境である鳥海山のふもとにある
「あがりこ大王」のブナの森を訪ねるのがメインでしたが、
それにもまして目を見張ったのが、どこまでもつづく田んぼの広がり。
青々と連なる田んぼに、「瑞穂の国」を実感。
実は、「日本の米どころを訪ねる」時間になっていたのかと、後で気づいた次第です。
添乗で、ふだん住む街の景色とはまったく違う広がりにふれるたびに思います。
地方と都市部の一票の格差が問題になりますが、
本当に人口比だけで考えるべきことなんだろうか、と。
一日おいて訪ねた高知では、北川村の「モネの庭」へ。
1990年代半ば、山深く、人口が1600人ほどに減ってしまった村で、
なにか産業を、という思いから動き始めたガーデン構想。
光と水の豊富な村のイメージと、モネの絵のイメージが結びつき、
フランスのモネ財団に働きかけて、「モネの庭」を名乗ることが許されたのだそうです。
その北川村や、お隣の馬路村などの東高知でもともと盛んだったのは林業。
山から切り出した材木を運ぶ森林鉄道なども通っていましたが、
林業の衰退とともにユズの栽培に切り替えて、今では日本一のユズの産地。
当時の森林鉄道は、今では軽自動車などの走れる橋に生まれ変わっていました。
朝、散歩で、その橋を渡ってみました。
橋を渡ると、小さな集落が見え、参院選のポスター掲示板が立てかけてありました。
当然、地元で見かけるポスターとは顔ぶれがちがいます。
この山深くまで、候補者の方々はやっぱり来たのかしら、
投票所はどこだろう、、
思わずしげしげと見入ってしまいました。
(朝の散歩で見かけたオクラの花)
最後は、観光列車「四国まんなか千年ものがたり」で帰途に。
四国の真ん中を流れる祖谷川。
大歩危・小歩危の景色を眺めているときに、そのニュースを知りました。
投票日直前の街頭演説中に起こった、恐ろしい事件。
皆さんは、どのタイミングで知ったのでしょう。
楽しい旅行の最中、おもてだって口にはせずとも、
それぞれに鉛のようなものを感じての帰路だったはずです。
(田んぼからは、かかし達もお見送り)
もちろん、明日の投票には行くつもりでした。
でも、この一週間の旅を経て、
もう一度しっかり比較検討してから足を運ぼうと思います。
ほとんどすべての候補者が真っ先に口にする「経済」は、もちろん大事。
でも、飛躍するようで実はしていないのですが、ある文章を思い出したのです。
丸山眞男が『三たび平和について』のなかで紹介した、
アメリカの国際政治学者、F.シューマンの言葉より。
「戦争が起こるのは、すべて、人間が平和を尊重する以上に、
何か他のものの価値を重んずるからである。」
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