やれやれ。
なんとか無事、初出勤の1日が終わりました。
まだ新しい朝の太陽のもと出勤し、
会社を出るころには、とうに日が暮れている――。
1日に「夕方」がないこの感覚、なんだか懐かしい。
久しぶりに勤め人に戻った感じです。
退職してから昨日までの約2ヶ月。
ほぼ毎日欠かさなかったのが、夕暮れどきのジョギング。
夕暮れどきというのがポイントで、
赤から紫へ、刻一刻と変わる空の色を眺めながら走るのが
私の健康法にして、最大の精神安定剤。
しばらくはこの夕焼けジョギングともお別れかと思うと、ちょっと残念。
走りはじめたそもそものきっかけは、あるラジオ番組。
北海道に「サロマ湖100kmマラソン」なるものがあり、
上岡龍太郎さんが完走したと聞いたこと。
当時はまだ10代後半、
「上岡龍太郎に走れるなら、私だって」 と思ってしまいました。
…この無謀さが、いつも失敗のもとですね。
その頃、北海道にどっぷりはまっていたこともあり、
「サロマ湖100km、ぜったい走るぞ!」と、気分は盛りあがる一方。
さっそく申し込むべく、本屋で『ランナーズ』なる雑誌を立ち読みすると…
――知らなかった。
100kmマラソンって誰でも出られるわけではないのか。
参加資格として、42.195km フルマラソンの完走者、とある。
「フルマラソンじゃないのよ。100kmマラソンに出たいのに…!」
内心、大いに不満でしたが仕方がない。
あくまで100kmマラソンへの通過点として、
オーストラリア留学中、ゴールドコースト・マラソンに挑戦しました。
留学生仲間を誘ってはみたのですが、みんな “No, thank you” ということで、
参加したのは、ネタ作りのためにわざわざ日本からやってきた
物好きな友人ひとりだけ。
どちらが完走できるか、豪華ディナーを賭けて勝負することに。
準備万端で迎えた大会当日。
スタートは朝の6時半。
…まずその時点で、眠い、体が重い。
スタートラインには上岡龍太郎さんや間寛平さんら、
著名人や有力選手の姿もちらほら。
山ほどいる一般ランナーはその後ろにびっしりひしめき、
まるで花火大会のような混み具合。
号砲も聞こえないまま、のろのろと走り始め、
10分以上走って、ようやくスタートラインにたどり着いたときは悲しかった。
そして3時間後。
…マラソンって、こんなにお腹へるの?
今まで経験したことのない空腹感に襲われている私の横で
場慣れしたランナーさんがウェストポーチからバナナを取り出し、
むしゃむしゃ食べながら走っている。
「たしかリュックの中にマフィンが残っていたよなぁ」
思い出したとたん、100kmマラソンのことはどこかに消え去り、
頭のなかはマフィンでいっぱいに。
足はまだまだ動いた。
けれどもマフィンの誘惑には勝てず、
あえなく20km地点でリタイアしてしまいました。
驚くべきは、私の友人。
たいしてトレーニングもしてないくせに
7時間あまりで意地の完走(完歩?)。
さすが、飛行機代かけて来た人は違います。
悔しさ半分、「おなか減らなかった?」と聞くと、
「ふらふらしてたら、沿道の人がバナナをくれた」とのこと。
どうやら勝負の分かれ目は、バナナだったようです。
――以来、フルマラソンには挑戦してません。
なぜって、そもそも集団が苦手だからひとり気楽に走っているのに、
あの人混みにはちょっとゲンナリ。
やっぱり、夕焼け空を眺めながらのジョギングが一番です!