昨日から奈良へ里帰り
思えば半年ぶりです
いつ帰っても変わらない古くさ~い風景
今私と母は紅白を見ながら、
大晦日だけは女は台所に立たない?という、よく分からない習わしにのっとって
父が下で雑煮を作っています
さて、今回は何をもって帰ろうか―
と考え、両親への土産少々と、仏壇へのお供えと
一冊の本を持って帰りました
「語りだす奈良118の物語」 西山厚著
先日先輩スタッフからもらった一冊の本「逢はなくもあやし」は私の故郷橿原が舞台
ひどく感銘を受けた私は、さらに奈良のことを知りたくなって先ほどの本を見つけました
著者の西山厚氏とは、奈良国立博物館の学芸部長
専門は日本仏教史
私が大学の時、博物館学芸員の実習で奈良博に行っていた際
西山厚氏の実習を受けさせていただいた時のことをふと思い出したのです
西山先生の実習とは、博物館の宝物の「梱包」でした
割れているもの、剥落寸前のものなど、触ることもできないような宝物を
丁重に梱包し、お寺などから博物館へ運ぶ作業で、学芸員の大切な仕事のひとつ
西山先生は、それはそれは宝物をまるで自分の子供のように
慈しみ、守るように、やさしく梱包して私たちに教えてくれました
この人は心から宝物を愛しているんだと、
博物館実習の中で唯一記憶に残っている一日でした
あの西山先生の書籍、と思うと、手に取らずにはいられませんでした
118の奈良や仏教に関する、西山先生らしいあたたかい言葉にあふれていました
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奈良にはたくさんの物語がある
悩み苦しみ、 傷つき、悲しみながらも、精一杯の人生を送った人々が生み出した物語
聖武天皇の苦しみが大仏を生み出し、光明皇后の悲しみが正倉院宝物を生んだ
すべての生ある者の幸せを心から願い、
しかしそんな世の中などできるはずはないと苦しみ続ける聖武天皇
苦しみ抜いた果てに大仏を造ることを決意
「大きな力で造るな、たくさんの富で造るな」と命じた
一本の草や、一握りの土をもって協力を申し出た人には手伝ってもらうように、とも命じた
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このとき、西山氏はアニメ「風の谷のナウシカ」を思い出すのです
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大地との絆が失われた時代に、たったひとりで世界を救おうとする女の子の物語
そこでは、青き衣をまとう者が大地との絆が失われた時代に、
大地との絆をふたたび結ぶという古い予言が繰り返される
ナウシカこそがその人だったのですが、ナウシカがまとう青い衣は、
傷ついたナウシカが傷ついた王蟲を抱きしめたときに、その体液で青く染まった衣だった
もしも世界が本当に救えるのだとして、
世界を救うことができるのは、
深く傷つき、深く苦しみ、その真っ只中を歩み続けている人だけだろう
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今年一年、のんべんだらりんと過ごした私とは対照的に
深く傷つき、悲しみに包まれ、苦しみ続けた多くの方々に
来年は明るい未来が訪れますように
古くさ~い風景が残るこの町がいつまでも変わらず
たくさんの物語を紡ぎ続けていきますように
下から雑煮のにおいがしてきました・・・
あと2時間で年が変わります
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