3時のロックが開錠されても外を歩いている者は少ない。まだ午後の暑さが厳しい時間帯だ。ぼくはビリを持って7房へ行った。レゲェーを聞きながら取り留めのない話をし、ビリを吸っていた。その間、ショッカンとインド人がパケを買いに来た。ジュドゥは商売人だ。まずお金を受取ってからパケを渡す。何と言い訳しょうが金のない奴は相手にしない。パケが小さいとか効きが悪いとか値下げを含んだ文句には、じゃパケを戻せと強気だ。リズムのある気風の良いジュドゥの会話は聞いていて楽しい。
「トミー俺といると楽しいか」
彼は人気がある。人の出入りが多くいつも賑わっていた。
4時頃、ダイクと身体を洗いに行く、いつもの生活パターンだ。水で身体を冷やしてからベッドの下に潜り込む、この暑さだと扇風機はもう止められない。その風が入らないようにベッドの下は広い布で蔽ってあるのだ。ここでぼくはスタッフをポンプしている事に気付いた。ダイクを待たせてペットボトルの水を持ってトイレへ行った。トイレの内鍵を掛け便器を跨いだ時、どこに座るか迷った。一旦いつもの位置に座ってみたがもしスタッフを落とし穴に落としてしまったら浮いてくる事はないだろう、便槽の中へ沈んでしまう、これじゃ不味い。前へ進む。小便の受け皿は傾斜がついている。丸くパッキングしたスタッフがぽろっと出て転がったら後ろ手では取れない。反対に向いてみる。お尻を入口に向けると目の下がちょうど落とし穴だ。これだったらスタッフを失う事はない、万全だ。ぼくはやっと気が付いた、何故トイレが汚れているのか。ポンプだったのだ。