今日本は超高齢化社会が急速に進行し、社会全体が全く対応出来ずに、それぞれ個人個人が対応するしかない状況に追い込まれています。
実際に老親のお世話をしている方は、大変な思いをされているのではないでしょうか?
苦労していることの一つに、食べ物をどうするのか、入歯で痛いとか歯がなくなってきてて経口栄養摂取が難しくなると言う問題があるでしょう。
今は胃ろう設置等もあり、胃からの栄養は医学的に取れる時代ですが、本当は患者さん自身の健康を考えれば口から普通に食べる事、食感、味などの刺激は凄く大きな意味を持つのです。
特に、老人の場合、食べる事は生き甲斐そのものに繋がり、終末期の生活を穏やかに過ごしていただくに為に凄く重要になってくるのです。
老親が健やかで、家族と同じように全く食べ物を気にしないで食べれる、一緒に食卓を囲めることは、何よりの幸福なのです。
ですから、本当に老親が体が効かなくなって来て、歯とかの調子が悪くなる前に、予防的治療としてでも、早く整えて置く事をお勧めしたいのです。
旅行とかに出掛け、人生を楽しんでいるのは良いけれど、いざ動けなくなってしまってからでは全く遅い、その問題の深刻さは、もっとチャンと理解をされるべきだと思います。
歯はチョイチョイでは治りません。
時間も体力も要るのです。
その中で、貴重な人生の時間を旅行で楽しむのは悪い事ではないのでしょうが、歯をチャンとして置くことの方が実は大切であり、歯の健康を保って置けば旅行には幾らでも行ける、残りの人生が安寧な時間が延び、しかも、寝たきりとかになってしまう可能性もかなり低くなるのです。
歯を守れば、しっかり奥歯で噛んで食べられ、それが良い刺激となって脳を守りますし、血の流れを良くし活性化してくれます。
チャンと噛んで食べれば、唾液の分泌も促進され、唾液中に含まれる免疫物質が体に取り込まれ守ってくれます。
しかも、チャンと噛める事が足腰の筋肉をしっかりさせる事に繋がり、老人にとても多い転倒事故による骨折予防にもなります。
ご存知のように老人の場合、転倒事故で骨折する事が寝たきり、認知症の引き金になっていることはとても多く、歯が噛める事は老人介護の予防対策にもなるのです。
更には、口腔内が綺麗になっていれば、誤嚥性肺炎を始めとする老人特有の病気からも守れます。
このように歯がちゃんとしていることの効果は、患者さんと家族の方が思っているよりもずっとっと重要な価値があるのです。
追加で言えば、痛くなく快適に噛める、と言う状態を作り上げるのにインプラント治療は非常に有効です。
全てをインプラントにしてしまう治療では凄く治療費が掛かってしまう、と思いますが、義歯治療と組み合わせて入歯を支える土台としての使用方法は、費用と治療効果のコストパフォーマンスからも非常に将来性があるモノと言えるでしょう。
具体的には、入歯は奥に支えるものがないとがたついて、入歯の下に細かなものが入り込んで痛みを起こしてしまうのです。
それがインプラントが奥に入れば、入歯の動きはかなり抑制され、患者さんは楽になるのです。
よく老人介護になったらインプラントは、と言う議論がありますが、メインテナンスし易い方式のインプラントの使い方なら全く問題がない、と私は断言します。
この場所に歯の支えがあれば、患者さんは凄く楽になるのに、と言う特定の部位にインプラントの支えを入れる。
これが、今後のインプラント治療の最大の活用方法になる可能性は非常に高いと思います。
その場合、非常に重要な事は老人の患者さんに辛い思いを絶対にさせない事、低侵襲は元より、即時植立とか即時荷重の活用、治療期間の短縮が凄く重要になって来ます。
自費の入歯を何個も作って無駄にするより、インプラントで支える、その方がずっと効果的です。
極端な場合、本当にツッカエ棒としてのみでも良い、と思います。
噛む力は本当に強いものです。
少しでも痛かったら、患者さんは満足して咀嚼出来ません。
インプラントによる支えがあれば、入歯は歯茎を痛め付けないように出来るのです。
チャンと噛めることで、終生寝たきりにならず、認知症も予防し、ピンピンコロリ。
それが出来るのは歯科なんです。
歯科の重要性は人生最期の時にこそ明確になります。
奥歯までチャンと噛める状態の老後を、老親に送って貰いたい、そうご提案します。