今日の出張オペが終了して帰る時に、隣のお爺ちゃんの患者さんが入れ歯が噛めなくて、と言う話をしていて、でもお付きの女性の方がインプラントはお医者さんから反対されててねー、と言っているのが聞こえてしまいました。
見るからに、困っていそうな雰囲気で、入れ歯も支える歯が足りなくなって安定しなくて噛めないのでしょう。
患者さんのお体の状態もあるかと思いますが、インプラントの正しい効用、義歯を要の部位に使って上げて入れ歯を支えるなら、凄く安定して痛みもなく、噛めるようになるのに、と残念で仕方がありませんでした。
どうして、詳しい事情も何も知らないで、簡単に反対をするのでしょうか?
患者さんの余生のQOL,ADLの維持、向上は考えて上げられないのでしょうか?
内科の先生、整形外科の先生のどれ位の方が正しくインプラント治療を理解されているのでしょうか?
患者さんは、歯科の先生の話よりも医科の先生の話を聞きます。
影響力は圧倒的に医科の先生が強いのです。
患者さんは義歯が痛くて、噛めなくて、そのままなら衰弱してしまいます。
インプラントは、肝心な部位にだけ使えば、それだけで義歯は凄く違ったものになってしまうのです。
それを知って下さい。
患者さんの余生の充実を真剣に考えていただけるなら、インプラント治療はかなりの貢献が出来ます。
結果、体の具合や、栄養状態も良くなって、病院のお世話になるのも少なくなるでしょう。
それが嫌で反対するのだとしたら、本末転倒だと思います。
インプラント治療の本当の効用をどうかチャンと知って、正しく勧めて下さい。
医科の世界で使われているインプラントは、関節とかのモノで、交換をしなければいけないとか、色々全身麻酔下の手術とかが必要になり、それで反対されるのかも知れませんが、歯科のインプラントはチャンと治ったものは歯根部は、生涯そのまま使える位大丈夫なものです。
患者さんのお体に掛かる手術の負担も、歯科のインプラントはチャンとした先生を選べば相当に侵襲を少なくしてくれます。
掛かる負担とその成果を天秤に掛けるなら、インプラント治療は凄く患者さんの為になる治療だ、と言えます。
もし間違っている認識を持っているのなら、チャンと勉強して改めて下さい。
患者さんに何時までも美味しく楽しく食事していただけて、健康に過ごしていただける為のインプラント治療、そう言う世界があることを是非知って下さい!
副作用、悪い面ばかりを見ていると、信じられない、大変になった患者さんを見た事がある、と言う経験もあるかと思いますが、それは残念な例外に過ぎません。
それよりも入れ歯の安定しない、噛めない、辛い患者さんの現状を理解して下さい。
流動食のようなものばかりでは、患者さんは衰弱します。
噛める、咀嚼出来る、と言うのは凄く重要な事なのです。
口は単なる食べ物の通り道ではありません。
噛み応え、舌触り、歯触り、食感を味わって食事をする、それが、お爺ちゃんの凄い楽しみなんです。
それを復活させるチャンスを奪わないで下さい。
しかも、重要な事は、本当に駄目になる前、寝たきりとか動けなくなる前に治療して置かないと、動けなくなってからでは間に合わないのです。
動けなくなっては、我々の出番は殆どなくなります。
出来るのは口腔内の清掃による肺炎予防位です。
もうそうなったら、咀嚼、食感を、その患者さんは永遠に味わうことなく亡くなるしかないのです。
可哀想だとは思われませんか?
私は痛切に思います。
病気を治す事、それ以上悪くしない事だけに眼を向けないで、健康の向上、どうしたら元気に復活させて上げられるのか、真摯に考えて上げて下さい。
今日拝見したお爺ちゃんも、入れ歯を支えるインプラントが入れば、全然違ってしまいます。
痛くなく、何ともなく、安定して噛める、咀嚼出来るんですから。
それで、全身の状態がどれだけ改善するのか、是非見て欲しいものです。
話は変わりますが、歯周病を治した事で、糖尿病の方も治って、担当医が驚いた、と言う経験も何度もあります。
歯科の体に与える好影響は凄いものがあるんです。
どうか、患者さんが健康になる邪魔をしないで下さい。
本当に患者さんの人生、余生を考えていただけるなら、インプラントを無碍に否定しないで下さい。