■2023年6月6日■ 続き
ウエストエンドで”Operation Mincemeat”を見て、コヴェント・ガーデンを見て歩いた後、
ソワレで観るのは、ミュージカル「ガイズ&ドールズ」。
日本でも上演されることのある人気作で、最近では2022年6月に帝国劇場にて上演されていました。
2017年にオープンしたブリッジシアターはその名の通り、タワーブリッジ近くにある劇場で
開業後から客席を取っ払い、立ち見で中央の舞台を鑑賞する没入型劇場として話題になっていました。
例えば、2018年の"Julius Caesar"や2019年の"A Midsummer Night’s Dream"など。
今回の「ガイズ&ドールズ」も同じく没入型タイプの公演となっていたので楽しみにしていました。
ドラマなどでよく見かけて親しみのあるダニエル・メイズが出演しているのも気になっていたんですよね。
タワーブリッジまでは今回滞在していたホテルから徒歩圏内。久しぶりにこんなに近くで見ました。
留学中は意外と来る機会がなかったんですよね。
入場はEチケットなのでスマホで画面を提示してもOKですが、
プリントアウトして栞のように折りたためる仕様になっているので、紙の状態で持ってきている人もいます。私も一応どちらも持参。
そして今回はせっかくのブリッジシアターだし安いこともあって、1階の立見席を選んでいました。
実は近年膝を痛めていたので、2階の指定席にするかずいぶん迷っていたのですが、
出発前はかなり調子がよかったので、これなら大丈夫だろう!と思ったのです。
これが甘い考えだったのは実際体験してみて分かったのですが…。
1階の立ち見席を選んだ場合は、安全上荷物をクロークに預けなければいけません。
実際に1階に降りて開演してから分かったのですが、
1階では観客だけではなく、スタッフが装置をあちこちに動かしたりするので、
ショルダーバックを下げていると引っかかる可能性があるかもしれない状態。
そのため、どんなに小さいバッグでも荷物を預ける必要があるようです。
クローク用の番号札をもらって、1階の劇場から入場した時に
フェスやレッドカーペットでもらうような腕に巻くタグをもらいます。立ち見観覧者はこのタグで区別するんですね。
中に入ると、眩しいほどのネオンの装飾が下がっていて、
お酒片手に談笑する立ち見客で大いに盛り上がっています。
開場時には一段高くなっている舞台がまったくない状態ですが、
観客の間にところどころダイナーのテーブルとイスが何気なく置かれていて、
つい座っちゃいそうですが、周りに四角いバミリのような印がついていまることに気づきます。
どうやらこれらもセットの一部みたい。
開演時間が近づくと、警官の扮装をした大道具のスタッフだけではなく、
役に扮した役者たちが観客の間を談笑したり踊ったりしながら行き来し、
先ほどのダイナーのテーブルにも役者が座って、役に入った状態で会話を楽しんでいます。
そして、音楽が始まると舞台がせり上がり、ついに開演!
(せりあがる舞台の周りには警官姿のスタッフがやってきて、舞台スペースを避けるように注意喚起します)
以下、あらすじ。
Guys & Dolls trailer
1930年代のニューヨーク。ギャンブラーのスカイ(アンドリュー・リチャードソン)は
同じく賭博師ネイサン(ダニエル・メイズ)からある女を口説き落とすという賭けを申し込まれる。
婚約者アデレイド(Marisha Wallace)へのプレゼント代を稼ぐつもりなのだ。
ネイサンが指名した女性は、超堅物な救世軍の軍曹・サラ(Celinde Schoenmaker)。
スカイはサラにハバナへ誘い、人のいない伝道所に人を連れて行くと提案する。
誘いを受けたサラは、だんだんとスカイに惹かれていくが、
伝道所に戻り、ネイサンが賭博場として使っていることを知り、
ハバナへ誘われたのはネイサンに場所を提供するためだったのだと勘違いしてしまう。
この辺りが第一幕。
前述の通り、出演者が立ち見客の間を縦横無尽に移動し、
ついすぐそばでダンスを始めたり、警官姿のスタッフが素早く2階席の下のスペースから階段を運んでくると舞台が競り上がり、
出演者がそこから舞台に登って行ったりと、あちこち見逃せない舞台。
時には立ち見客に賑やかしの飾り棒が配られて、劇中のショーの観客として盛り上がる役割が課されたり、本当に刺激的な没入型劇場!
今まで体験したことのない世界でした!
しかし、実は昨日から足首が痛くて若干足を引き摺りながら歩いていた私は、
滞在2日目ということもあり疲れが 溜まっていて立ち見も限界になりつつありました。
元々悪い膝ではなく足首にくるとは…
幕間にロビーの椅子に座ってたら、そこは連れ合いが座るはずだったと他の客に言われて、
倒れそうになりながら立ち上がる私を見て「そんなに疲れているなら座って」と言われたけれど、
意地になって1階に戻り、端っこの椅子に座って体力の回復を試みました。
でも、短時間で元気になれるわけはなく、
第二幕の始まる前に再度劇場に降りて行き、端で項垂れてたらスタッフの方に
「座りたかったらロビーに椅子があるから、休んでから戻って来れるよ」と教えてもらったので、
ロビーで暫く座らせてもらうことにしました。
ロビーではモニターが設置されていて、舞台の進行がわかるようになっており、
私の他にも数人、椅子に座ってモニターを眺めている人がいました。
スタッフの方に「大丈夫? お水飲む?」と心配されながら私もモニターでしばらく中の様子を眺めていましたが、
やはり集中力の限界で、結局途中でホテルに帰らせてもらうことにしました。
半分は見られたし、舞台の雰囲気も知れただけで割と満足出来ていたし、
ここで体力を使い切ったら、この旅の本番とも言える翌日のナショナル・シアターで力尽きてしまいます。
ありがたいことに劇場からホテルまでは徒歩で帰れるので、途中でギリギリ営業中のスーパーでラザニアを買って、
最後の力を振り絞って夕食を食べ、シャワーを浴びた。そんな2日目でした。
マチネで見た”Operation Mincemeat”は新作コメディーミュージカルなので、
かなり今風というか、ポップスやパロディを意識した曲でしたが、
フランク・レッサーが手がけた「ガイズ&ドールズ」の曲は王道の歌い上げるミュージカル曲で、
演出だけでなく、歌の魅力も溢れる舞台でした。
第一幕最後の、惹かれ合うスカイとサラが歌う"My Time of Day"や、
第二幕開幕直後のアデレイドによる"Take Back Your Mink"も華やかかつパワフルで圧倒されました!
Guys and Dolls - My Time of Day
Guys and Dolls - Entr'acte/Take Back Your Mink
おまけでアデレイド役のMarisha Wallaceが歌う「ドリームガールズ」の"And I am Telling You"。
かっこいい女優さんです。
And I am Telling You- Marisha Wallace- London Jazz Voice
ちょっと残念な夜になってしまいましたが、
次の日はこの度の最大の目的である"The Motive and The Cue"を見る日。
万全の状態で挑めるよう、体力の回復に務めました。
続く…
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