ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

内橋克人氏の主張

2014-06-19 20:30:11 | 徒然の記
 経済評論家として著名な人で、端正な風貌をした彼は、穏やかな語り口でマスコミによく登場する。
経済について門外漢なので、私は何となく氏の説に今日までうなづいてきた。しかし、5月24日の千葉日報に掲載された氏の主張を読んで失望した。
 
「政治の向こうに見える荒野」「今再びの暗い時代へ」と、記事のタイトルが掲げられ、戦争の恐ろしさを知らず、命を失うことのこわさを知らない政治家たちの、勇ましい言動に怒りが抑えられないという。氏はこうした政治家を、「戦争を知らない軍国少年」と蔑称する。具体的に名前は挙げていないが、安倍総理を筆頭に憲法改正を言う保守政治家をさしているのは言うまでもない。氏は「急旋回する政治状況への無念が胸にうずく」、と語る。

 氏はこれまで、「協同、参加、共生」を原理とした共生社会を提唱して来た人である。市場原理絶対主義に対する概念として賛同して来たけれど、今日の記事を読んで、私とまったく違う歴史観というか、国への思いと言うのか、彼の原理にも疑問が湧いて来た。彼の意見に従えば、秘密保護法の制定や集団的自衛権の行使に賛成する私は、日本の暗い未来を招く者ということになる。

 けれども私は、氏に問いたい。貴方は昨今の中国の動きを、何と捉えておられるのかと。「丸裸の国を攻めてくる者はいない」と、貴方も村山氏のような見解を持っているのだろうか。軍備費を大きく膨らませ、日本ばかりでなくベトナムやフィリピンと力ずくで争っている無謀な中国については、何も言わない。あたかも安倍総理が自ら中国を挑発し、争いの元を作っていると、中国の主張そっくりの意見に私は疑問を抱く。総理のやることに何でも賛成していないが、少なくとも国際状況については譲れないものがある。どうやら氏の主張の根底には、「誤った戦争をした軍国主義の日本」「侵略戦争をした憎むべき日本」という基本があるらしい。要するに氏もまた「世界で間違っていたのは日本だけであるから、日本だけが悪い。」という思考の人物なのだと理解した。

 日本の首都を焼き尽くしてみせるとか、戦争になったら二三日で降伏させるとか、そんなことを言う中国の将軍には「軍国少年」と言わないのか。氏に限らず日本を悪し様に語る人々の中には、ダブルスタンダードがあるらしく、中国と日本の理解に激しい差別がある。戦争を恐れ、戦争を避けたいから、国の防衛をしようというのが私の主張だ。氏が心配する秘密保護法、集団的自衛権はおろか、他国を攻撃する軍隊だって、世界中の国が持っているのに、なぜ日本が普通の国になるのだけを嫌悪し憎悪するのか。

 「平和憲法のためなら、国民は殺戮されても仕方が無い」という意見を、私は決して受け入れない。直接語っていないが、氏はあの大江健三郎氏に似た危険なものを感じさせる。自分の国の歴史も文化も全てを否定する意見など、そんな愛の無い主張に賛成しないからと言って、「危険な右翼」だの「戦争をやりたがる」だの、よくもそんな短絡的なレッテルが貼れるものだと怒らずにおれない。

 わが家の猫のことだけでも胸が痛む日々なのに、それでも生きている限り新聞も読むし本も読むから、どうしたって黙っておれなくなる。
「無念が胸に疼く」のは、貴方だけでなく、私だって同じなのです。なんでこんなインテリたちが、なんでこんなに沢山日本にはいるのだろう。言論の自由な国とは言え、そっちの方が不思議でならない。
コメント (12)
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