おねっと日記

日々の出来事を感じたままにつづります

Requiem

2007年12月20日 | 暮らし
貴女に初めて出逢ったのは29年前

私は真っ赤なスプリンターを乗り回していた
真っ赤な車に合わせて赤いニットのワンピース
そしてベレーが私の定番スタイルだった

カーステレオではサンタナがガンガンうなってる

ブラックマジックウーマン 
オイコンバ

そんな風に格好つけていた私
貴女の家の前で雪で車が動かなくなってしまった・・
貴女は家から出てきて一緒にタイヤのまわりの雪掻きを手伝ってくれた
私も必死に雪をどけた
挨拶もそこそこに二人で黙々と雪をどけたっけ

やっと動き出した赤いスプリンター

それが貴女との近所付き合いの始まりだった

それからというもの
家族の事、仕事の事 
いろんな愚痴を沢山聞いてもらった

貴女はいつも静かに聞き役だった・・・

義父が突然家で倒れた時
ナースの貴女はとてもてきぱきと処置をしてくれた
義父はそれで一命をとりとめた
貴女は命の恩人

子どもの誕生会やクリスマスパーティー
手作りのフライドチキンやケーキを持ち寄って
一日中おしゃべりに夢中になった

コーヒーと一緒にラーメンが出てきた
味噌ラーメンがとっても上手だった
あっという間に作ってくれた

そんなステキな時間を沢山共有した
本当に沢山共有した



私たち家族はは引越しをした

思い出したように貴女は電話をくれた

「たまには顔を出しなさいよ」

そんな私はどんどん足が遠のいて行った

「娘が結婚したのよ」
嬉しそうな電話の声

そして最後はつらくせつない電話・・



一瞬のような29年間だった




友よ安らかに・・

友よ

わが友よ・・