おねっと日記

日々の出来事を感じたままにつづります

寄り添って

2008年10月19日 | 暮らし
素敵なご夫婦との出会いがありました。
Yさん夫婦。

仙台のイベントへ向かうバスの中、たまたま私はYさんの奥さんと並んで座りました。
盛岡から仙台までの2時間半、奥さんからご夫婦の歴史を聴きながら過ごす事ができました。

30年前、大工の棟梁だったYさんは・・

これからはいろんな刃物が必要な世の中になる、
その時、みんなが困らないように研磨の仕事をはじめよう。
研磨された刃物で立派な仕事ができる環境を作ろう。

大工の棟梁をやめて、新しい会社を立ち上げましたが
はじめから順調だったわけではありません。

そんな中、月に一度は秋田の川連町に川連仏壇の職人さんたちの
刃物を研磨に出かけました。
職人さんたちはYさん夫婦が訪れるのをとても楽しみにしておりました。
名前のついた刃物が沢山滞在先に届きます。
研いで、夜中や早朝に各家の玄関に置いて歩きます。 
吹雪の冬も休まず続けます。

そしてまた奥さんは川連塗の漆器を仕入れて、岩手に持ち帰ります。
研磨の仕事が安定するまで、奥さんはその漆器の販売を傍らで行いました。
これが大きな経済的支えとなったのです。

現在は川連仏壇も工場が中国へと移り、新しい時代になりましたが、
その頃の、人と人とのつながりを大切にした仕事のやり方は
今なお、Yさんの仕事の根っことなっているのです。

そしてYさんの会社も30年経った現在は工場には40もの研磨機が並び
若手の技術後継者が研磨機の前で作業をしております。

そして無口なYさんの傍らには今もなお、笑顔を絶やさない奥さんが
いるのです。


なんて、素敵なご夫婦なんでしょう!