田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園 麻屋与志夫

2008-08-26 23:32:54 | Weblog


 法眼武は鹿沼警察署に隣接した公衆トイレに入ろうとしていた。
 街角の公園の隅にあるトイレまではほんの数十歩だ。
 デカ部屋をでたときすませてくればよかった。
 縦揺れの地震があったのを機に仲間とわかれてきた。
 尿意はふいにおき、すでにがまんできない。
 お茶をのみすぎていた。         
 そうだ。
 部屋をでるときは、モヨオしていなかった。
 だから……すませてくればよかった、……というのは正しくない。
 なぜふいに……尿意をもよおしたのか。
 つまらないことを理屈っぽく考える。
 トイレの建物にはいった。
 人のはいってくる気配をセンサーでとらえる。
 スタートした音楽がすでになっていた。
 お猿のかごやだ、ほいさっさ。
 というメロデーがなっていた。
 なんだ……この選曲は。
 この夜も更けようとしているのに先客がいた。
 ながながと尿をした。
 
 背後のふたつある扉は開かない。
 
 おおきいほうの用をたしている気配がない。
 それどころか、人がはいっているようすもない。
 
 だが、確かにだれかいる。

 そのまま立ち去れなかった。なにか、ある!!
 刑事のカンが武にもついてきたのかも知れない。
 奥の扉の下から水がながれてきた。      
 配管がこわれて、水があふれている? 水には色がついていた。
 赤い。赤錆色のどろっとしたながれはまるでいきているようだった。
 タイルのつなぎめの凹みをアミダくじのように流れてきた。
 
 蛇行する線となって流れてきた。
 ぶるぶるふるえていた。
 
 血だ。
 
 トイレの悪臭。
 アンモニア臭にまぎれていた血の匂いが濃密にただよってきた。
 まちがいない。
 殺人課の刑事が嗅ぎつけた匂いだ。        
 またかよ、こんな田舎街で。
 おおすぎるよ。
 扉のノッブに素手で手をかけるようなへまはしなかった。
 いつも携帯してる白の手袋をした。

 刑事が第一発見者かよ。
 さえねぇ、事件だ。

 だが、開いた扉のなかには、予想を超えたモノがあった。
 
 便座に男が座っていた。
 喉元が三日月型に大きく裂かれている。
 血はそこからながれだしていた。

 下半身はむきだし。
 もっともトイレの便座にすわっている。
 だから、それは異常なことではないかもしれな。
 ボッキしていた。
 男根が快楽の絶頂といったふくらみをみせていた。
 天をついていた。
 さきっちょから白濁した液がふきだしている。
 しゃぶられていたのか。
 腟のなかにあって快楽をむさぼっていたのか。
 自分でシゴイテいたのか。
 武はそんなことを職業的に考えた。

 男には見覚えがあった。

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吸血鬼/浜辺の少女外伝 魔闘学園 麻屋与志夫

2008-08-26 08:28:47 | Weblog

        
 犬飼ケイコが消えた。
 塾長の麻屋は納得がいかなかった。
 どうしてもっとはやく連絡してくれないのだ。
 月曜日に家をでたきり木曜日になってももどらない。3日も外泊していることになる。
 電話をかけてきたのは、母親だった。
 母親はおろおろしていた。       
 犬飼ケイコ。 
 犬飼中から通ってきている中学2年生の美少女だ。
ふっくらとした顔立ち。
 平安美人もかくやといったしもぶくれの丸顔がのっている。
背が高く細め。
そんな美人の規格からははずれているが、話しているだけでも楽しい。
イヤシ系美少女。           
 アサヤ塾でもすこぶる人気がある。
「アサヤ先生。ケイコになにかあったの。メイルうっても返事ないの」
 女生徒にきかれる。塾なので、鹿沼にある七つの中学から県立高校にはいりたいという成績優秀な生徒があつまってきている。
むろん、勉強onlyという塾生だけではない。だれもこばばない。
ケンカに明け暮れ、塾には余り顔をださない二荒三津夫のような高校生もいる。
番場もいる。塾生がイロイロなのは、塾長、麻屋の包容力の豊かさだろう。
「トラブルにまきこまれたらしい。あとは……なにもわからない」
 易者にきてもらった。
 わからない。
 ハイ、警察へはとどけました。
 でも、行方はまだ、わからない。
 親の不徳のいたすところ。
あとは、だまって待つだけです。
 途中から電話をかわった父親がおろおろした声でいっていた。
「私立探偵を……探偵社にたのんでみたらどうですか」
 それしか手がないだろう。
なんで、易者なんだよ。
そのつぎは拝み屋かよ。
すこしいらいらしてきたが、逆らはずに、静かに聞いてみた。
「パソコンのネットで調べたが……費用がいくらかかるかわからないもんで」
 易者からパソコンと話しが飛ぶ。
費用が不明瞭なので、だから、探偵社には依頼しなかった……ということらしい。
探偵社に頼むと、という主語をおぎなってきかなければ意味不明。
 なにかちぐはぐな、アンバランスな現代の家庭風景を垣間見た思いだった。
容赦なく金をとられるのが怖いのだろう。
かなり経済力のある農家で、土建業も兼業している。
犬飼という、土地の名を氏としている旧家だ。
県議をしている祖父が次期市長戦にうってでるだろうと予想されている。
それでも都会の探偵社などに依頼して、金をバカスカ巻き上げられる恐怖のほうが娘を心配する親心を越えたのだ。
あるいは、政治家として祖父がスキャンダルをきらったのかもしれない。

 ドカっと音がした。
 隣家でガス爆発? 窓がまだ揺れている。
かなり激しい。
 2階で数学を教えている妻のミチコの教室にかけあがった。
「いまのなんなのよ」
 黒板で解いていた二次方程式を背にミチコが青ざめた顔を夫にむけた。
隣家はしんと夜空のもとで静まり返っている。
 直下型の地震だったか。
と麻屋は思った。
 いちどきりの立て揺れだった。
爆発音のようだった。
爆風におそわれた感じだった。
それでこそ近隣のガス爆発と感じたのだ。
 教室の床が跳ね上がった。
衝撃的な縦揺れだった。
それも、一瞬、ドカっとなにか爆発したように揺れた。
教室のテレビをつけたがなんの報道もなかった。
いつもは、ほとんどリアルタイムといってもいいほどの、分差でテレビの上画面に文字がながれるのに。
 おかしいではないか。
 いつもだったら地震があってすぐに臨時ニーュスがはじまるのに。
この辺だけの局地的な揺れだったのだろうか。
 麻屋はそのまま妻の教室の後ろで生徒たちを見ながら立ち尽くしていた。
 10時まであと10分は授業中だ。
テレビで確かめられないからといって、どこかに問い合わせるわけにもいかなかった。
テレビをつけっぱなしにしておくわけにもいかない。
生徒はほとんど地震のことなど気にしていなかった。
 しかし、この縦揺れがこれからおこる変事の前兆(おーめん)だったのだ。


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鹿沼女性ドライバー水死事件 麻屋与志夫

2008-08-26 00:28:38 | Weblog
8月25日 月曜日

●各局で一斉に「鹿沼女性ドライバ―水死事件」を報じている。

●痛ましい事件がおきてしまった。

●ブログでも喧々諤々。いろいろな意見がでている。

●ぜひ関心をもってお読みいただきたい。

●わたしが吸血鬼小説の舞台としている鹿沼で起きた事件だ。

●なんとも痛ましい事件でわたしとしてはコメントのしようがない。

●亡くなった方には哀悼の言葉をおくりたい。

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