田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

鹿沼女性ドライバー水没死  麻屋与志夫

2008-08-27 07:21:28 | Weblog
8月27日 水曜日
鹿沼女性ドライバ―水没死事故

●事件の報道がますますエスカレートしている。

●不幸な事故であった。行政側が一方的に批判されているがともかく、非常に不幸な事故であったとしかいいようがない。

●冠水した道路で車の中にひとり閉じ込められ助けを呼んでもこない。その恐怖と苦痛を思うと痛恨きわまりない。

●これから責任の所在が問われつづけることになるだろう。

●この事件とはまったく無関係なことだが、故郷鹿沼についてすこし個人的なことをのべてみたい。他意はありません。

●わたしはこのブログで小説を書く時には、すこしでも鹿沼の知名度を上げることに貢献出来ればと土地の商店などの名前をそのまま使う。迷惑をかけていなければいいな、と考えながら毎日小説をかきつづけている。

●東京と鹿沼に仕事場をもっているので、つい「東京では」と言ってしまうことがある。これは禁句。いまも市役所の前をとおってきたのだが、テレビ局の中継車が何台も来ていた。プレスの人間が正義の御旗をたてて颯爽と歩きまわっている。それを恐る恐る見る市民の眼差し。あまり東京の人とは、とくにマスコミとはかかわりたくない。そうした因循姑息な考えがこの町にはある。ひとに批判されるのが嫌いなのだ。

●マスコミが去ってしまえばもとの平和な街だ。と市民は思っている。

●そうだろうか。市役所前のゼブラクロッシングに立ってごらんなさい。いくら待っても車は止まってくれません。信号機のある横断歩道でないと道を渡るのは困難です。

●つい先日などは鹿沼信金の脇の横断歩道を渡っていたところ、半ば横断歩道に乗り入れる形で停車していた女性ドライバ―が急発進した。わたしがまだ歩いているのに。車はわたしの足に軽くあたった。ドライバーは涼しい顔。そのまま走り去ってしまった。

●もっと歩行者にやさしい町になってほしいと思う。

●昨年のことだ。府中橋のところの横断歩道をカミサンと渡っていた。向こう側からくる小学生がどん、どんとわたしたちにつきあたる。しゃべりながら歩いている。まさか体をぶちあてることが親愛の情の表現だとは思えませんよね。

●「不注意だな」と低く妻に話しかけた。耳ざとくそれを聞き咎めた交通整理の男の人がいいました。

●「褒めてやってください」

●なにを褒めてやるのか、いまだにわたしにはわかりません。

●「鹿沼みたいに住みいいところは日本中歩いてもなかんべ」

●これは鹿沼ならず栃木県人のすぐれた県民性だと推察します。
「日本一」ということばを使うのがすきなのです。

●マスコミで大々的に鹿沼がとりあげられている。

●いまのところ日本一有名な街だ。これを機会に町のことをいろいろ話し合う会でもだれか立ち上げてくれないだろうか。

●「魔闘学園」ではこれからも鹿沼の事件が書かれていきます。が、これは小説です。現実の事件とはかかわり合いはありません。

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吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園 麻屋与志夫

2008-08-27 05:16:05 | Weblog
小さな公園を路上生活の場としている男だった。
デカ部屋にいるはずの稲垣に。
トイレの建物をとびだすと携帯をいれた。
ドカドカとした足音が署のほうから近寄ってくる。
まだ、犯人がそのへんにいるかもしれない。
携帯から稲垣の興奮した声がする。
武も走りだしていた。
「あたりを、見てくれ。マルタはほかのやっらにまかせろ。まだヤッタやつはこの辺にいる」                  

 Fデパートの非常階段をふりかえっていた。

「あれも、ヤッパ殺人事件だったのだ」
 それは確信となって、武をおそった。

闇のなかに黒々と螺旋階段はとぐろをまきながら屋上にむかっていた。
 そこから中学一年生の女子生徒が転落死(自殺としてかだずけられてしまったが)したのは3月ほど前だ。
 道路にもデパートの駐車場にも人影はなかった。
 犯人はどこに消えてしまったのだ。
 血のながれ具合からみて、兇行がおこなわれて間もないことがわかる。
 武はあせっていた。
 自分が犯行現場にいた。
 ほんの数分前まで、犯人があそこにいたのだ。
 それなのに、ながながと小便垂れていた。
 血が流れだしてくるまではっきりとした気配は感じられなかった。
 だだ、漠とした勘であそこでぐずぐずしていたのだ。

 死体があるとは思ってもみなかった。

 犯人らしい人影がみあたらない。       
 
 武はあきらめて、現場にもどった。

「指紋が出たぞ。それも何人分も」
「公衆トイレだからな、特定はむりか」
「コミにまわれ。聞き込みにまわれ」

 自宅からかけつけた課長の本田がわめいている。
 いわれるまでもない。
 武と稲垣は黒川ぞいの、桜やハナミズキが植えられた『ふれあいの道』にも駐車場にも人影がないのは確かめていた。
 
 河川敷公園に降りた。
 背後で、鑑識のフラッシュが光っていた。

「なんど嗅いでも血の匂いだけはなれない。すきになれないな」
「血の匂いが好きになったら、バァンパイァだろうが」
 稲垣が武をなぐさめるように肩をたたいた。

 あの、たえがたい匂い。
 嗅ぎ慣れた、血の匂い。

 殺人課にまわされたとき。
 はじめて大量の血をみて。
 死体から発散する匂いを嗅いで。
 吐いてしまった。
 
 だが、武にはこれからおきることはわからなかった。
 稲垣が不用意にももらしたバァンパイァということばが。
 現実味をおびてくるのがわからなかった。
 
 血の祝祭にかれらが招待されている!
 
 超能力があるわけではない。
 わかるわけがなかった。
 そんなことが、わかるはずがなかった。
 
 武が稲垣の肘をつついた。
 捜査の範囲をさらに広めた。  
 
 貝島橋の下をくぐる。
 公園の隅の藤棚のした。
 
 東屋でアベックが淫行のマッサイチュウだった。
 公園の常夜燈は明るすぎた。      
 女があわてもせず。
 立ち上がった。

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